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これからの幼保小の架け橋プログラム
越境する実践、溶け合い高め合う専門性
- 出版社在庫情報
- 不明
- 初版年月日
- 2026年3月20日
- 書店発売日
- 2026年3月23日
- 登録日
- 2026年2月17日
- 最終更新日
- 2026年3月19日
紹介
これまで行われてきた幼保小の架け橋プログラムの成果を踏まえ、「越境」を鍵に連携・接続の本質を捉え直す一冊。好事例の模倣に頼らず、園・学校の現場と行政の協働を通して、地域に根ざした持続可能な仕組みとそのプロセスを、理論と実践の両面から描き出す。
目次
本書の趣旨[無藤隆]
はじめに[古賀松香]
第Ⅰ部 理論編:これからの架け橋プログラムを創る「越境」とは
第1章 幼保小の架け橋プログラムとは何を目指すのか[無藤隆]
1.架け橋プログラムとはどういう考えで何を目指すのか
2.園と小学校の接続・架け橋のための基本となる捉え方
3.架け橋期の教育の現状と今後
4.「ああいうやつ」をどう変えていくか――越境方略の構築に向けて
5.架け橋の進め方の多種多様な方略
6.小学校への広げ方――例えば、架け橋とかしなくても困っていないという小学校をめぐって
7.架け橋プログラムがもたらす公教育の可能性の拡大
8.幼保小の架け橋に向けて――提言のまとめ
第2章 専門性の越境――幼小間を越境した教師の挑戦を読み解く[古賀松香]
1.架け橋期の実践と専門性の越境
2.環境を通した教育の越境
3.援助の思想の越境
4.心情と意欲を育む教育の越境
5.プロセスを重視した評価の越境
6.専門性がせめぎ合うジレンマに対峙し対話し続けること
第3章 組織的な越境――持続可能な協働を実現する[岸野麻衣]
1.架け橋プログラムにおける組織的問題
2.問題を捉える視点
3.各系の間での葛藤
4.変革への抵抗
5.持続の困難
6.協働での探究と省察を重ねていく仲間へ
第4章 越境する私、横断する実践――架け橋という「間」としての場の生成に向けて[吉永安里]
1.幼小接続から架け橋プログラムへ
2.越境する私
3.実践の中に生じる境界
4.幼保小の架け橋の今後に向けて
第Ⅱ部 実践編:「越境」の道筋を多様に創る
第5章 構造の越境――組織、カリキュラム、要録
事例01 幼保が越境し、実践共同体を創る[中岡雄介・木原圭]
事例02 園がコーディネートしてつなぐ幼保小連携・接続[岡部祐輝]
事例03 要録と指導のあいだをつなぐ[幸村奏]
事例04 誰もが主体の合同保育・授業を創造する協働実践[川崎哲兵]
第6章 内容の越境――保育、授業の改善
事例05 好きが広がり、高め合う鉄棒遊び[上田晴之]
事例06 しっぽとりから広がる学びの世界――児童の姿からつくるカリキュラム[金城愛梨・宮城利佳子]
事例07 絵本でつなげる架け橋[安藤浩太]
事例08 子どもの姿と教科としての学びをつなぐ学校づくり[笠原知明]
第7章 行政組織の越境――模索、開発、発展
事例09 協力から協同へ、そして協働へ――架け橋プログラム事業における模索のプロセス[村地和代]
事例10 幼児教育センターの設立と幼小の接続・架け橋へ[米持武彦・眞田貴弘]
第8章 座談会 実践から学び、実践に届く理論をつくり出すために――現時点での成果と課題、今後の展望[無藤隆×古賀松香×岸野麻衣×吉永安里]
おわりに[吉永安里]
謝辞[岸野麻衣]
文献案内――幼保小の架け橋に向けて、もっと学びたい人のために
前書きなど
本書の趣旨[編者 無藤隆]
本書は、幼保小の「架け橋」をめぐっての実践とその考察をまとめたものです。正確に言えば、幼児教育(幼稚園・保育所・認定こども園)と小学校教育の接続を進め、特に幼児の5歳児の1年間と小学校1年生の1年間をカリキュラムとしてつなごうというものです。
この「架け橋プログラム」は2022年度から開始されたものです。といって、それ自体がまったく新しいことを始めたというより、それ以前からの幼小の接続の試みを拡大しているのです。その趣旨はそもそも2017年の要領・指針等の改正において示されており、三要領・指針とともに小学校の学習指導要領に提示されています。そこでは特に小学校として総則および各教科ごとに幼児教育からの発展を受けて小学校の低学年教育を進めることと、小学校1年の最初のスタートカリキュラムを含めて、低学年全体での合科関連的指導とともに、幼児教育における資質・能力と幼児期の終わりまでに育ってほしい姿を受けて、その先へと進める小学校教育のあり方を構想しています。同時に、幼児教育では幼児期にふさわしい保育を進める中で、そこに生じていく学びの芽生えを生かし、広げていくという提言になっています。それぞれの時期の特質を生かすことを通して、子どもの学びというところにおいてそれらはつながるのだといわば宣言したのです。
とはいえ、それぞれ発達の時期が異なり、その特質に応じて行う教育(保育)に特徴の違いがあり、これまでの数十年以上の実践の歴史の積み上げがあります。そこでは、平成期の始まりにおける生活科の発足から幼小の接続を意識して試みが広がってきたのですが、なお多くの困難があります。そこを乗り越えるために、年長の1年と小学校の1年の2年間に的を絞って全国的な改革運動としたのが「架け橋」なのです。
私自身は生活科の発足以来、幼小の接続の問題に関わってきました。無論、幼児教育においては幼稚園・保育所の実践への関わり、さらに認定こども園の発足への関与があり、小学校では生活科や総合的な学習の「助言」を行うなどして、それらをメインの仕事にしてきました。そうやって特に幼小の接続に関わる時、いくつもの「境界」があり、それを越える必要があることに気づきました。幼小の間、幼稚園・保育所・認定こども園の間、小学校の教科の間、実践と行政の間、研究と実践の間、それぞれに壁があり、ギャップがあり、理念と実践の双方に境界があって、そこに向けて、各々の受け持つところの特質を生かしながら、各自が境界を越える工夫をしなければいけないことが見えてきたのです。
境界を越えようと果敢に挑戦している研究者・実践者の方々が全国に数多く出てきています。それらの方々の協力を得て、本書は形を得ました。多くの人にとって実践の開拓の参考になることを願ってやみません。
上記内容は本書刊行時のものです。
