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生みの親支援 ジョアン・アルパー(編著) - 明石書店
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生みの親支援 (ウミノオヤシエン) 子どもを養子に出した親を理解し支えるために (コドモヲヨウシニダシタオヤヲリカイシササエルタメニ)
原書: Supporting Birth Parents Whose Children Have Been Adopted

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発行:明石書店
A5判
288ページ
並製
価格 3,300 円+税   3,630 円(税込)
ISBN
978-4-7503-6019-5   COPY
ISBN 13
9784750360195   COPY
ISBN 10h
4-7503-6019-8   COPY
ISBN 10
4750360198   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2025年11月25日
書店発売日
登録日
2025年11月18日
最終更新日
2025年11月28日
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紹介

イギリスでは養子縁組において、養子・養親だけでなく生みの親も支援する制度が整い、喪失感や心の傷への包括的ケアが進められている。本書は、生みの親に対する実際のケアやグループワークの事例を詳しく紹介。社会的養育を拡充する日本にも示唆に富む一冊である。

目次

日本の読者の皆様へ[ジョアン・アルパー]
日本語版へのまえがき[津崎哲雄]

まえがき[ジョン・シモンズ博士 OBE/アンドリュー・マクファーレン卿]
謝辞[ジョアン・アルパー]

序章[ジョアン・アルパー]

第Ⅰ部 生みの親へのセラピューティックな支援の評価(ハートフォードシャー大学)

第1章 生みの親をどう支援するのが最善か――専門家の見解[リゼット・ノルテ、ハンナ・モーガン、キーヴァ・フォーブズ]

第2章 アダプションプラスによる生みの親カウンセリングサービスの評価――暗闇の中の光のように[リゼット・ノルテ、ハンナ・モーガン、キーヴァ・フォーブズ]

第Ⅱ部 トラウマと関係性に配慮した生みの親支援(アダプションプラス)

第3章 養子縁組によって子どもを失うことの痛み――残された穴[カロル・グリーン]

第4章エンゲージメント(関係づくり)と柔軟性――プレ・カウンセリングの実際[ジョアン・アルパー、パトリシア・ダウニング]

第5章 生みの父親への支援[イアン・オー=キャンベル]

第6章 トラウマと虐待の複雑な背景を持つ生みの親への長期的カウンセリング:キャリーの物語――すぐに解決する方法はない[キム・S・ゴールディング、ジェーン・グールド]

第7章 生みの親の視点から見たコンタクト(交流)[カロル・グリーン]

第Ⅲ部 グループワークモデル(After Adoption[アフター・アダプション])

第8章 生みの母親のグループワーク――連鎖を断ち切る[ダルジット・ギル、ベサニー・ランバート]

第Ⅳ部 変化のための場づくり――繰り返し子どもを保護された女性たちへの支援(Pause[ポーズ])

第9章 複数の子どもが保護されてきた女性への新たなアプローチ――Pause(ポーズ)[ソフィー・ハンフリーズ、エレン・マークス]

終章[カレン・トレイスマン]

参考文献
用語説明

解題――養子縁組における生みの親への社会的支援の必要性とそのあり方[林浩康]
監訳者あとがき[久保樹里]

編著者・著者・監訳者・訳者紹介

前書きなど

日本語版へのまえがき[津崎哲雄]

 (…前略…)

 本書では、養子縁組を社会的養育の選択肢の一つと捉え、生みの親や親族の包摂と固有の支援のあり方に焦点が当てられています。その支援が養子縁組全体に与える影響、また支援の制度化が実際にどのように展開されているかが、主要なプログラムを通して示されています。社会的養育、養子縁組、里親委託、法的手続き、そして当事者のトラウマといった要素が複雑に交錯する領域において、本書は新たな専門的知見を提示しています。各章には、執筆者の使命感と現場実践に裏づけられた記述が息づいており、強い説得力を持っています。
 特筆すべきは、本書全体に流れる「剥奪のサイクル(Cycle of Deprivation)」への問題意識です。かつては「剥奪循環」や「剥奪再生産」と呼ばれ、現在では「剥奪連鎖」として「社会的排除」に含まれ議論されているこの概念は、戦後の社会政策の根底に通奏低音のように響き続けてきました。第8章・第9章に示されるように、Breaking the CycleやPauseなどのプログラムは、繰り返し子を養子に出さざるを得ない母親を対象に、再保護や再委託の連鎖を防ぐことを目的としています。調査によれば、子を養子に出した母親の24%が7年以内に再び同じ経験をしており、ある地域では49人の女性が205人の子を出産し、そのすべてが保護対象となっていました。2012年の調査では、裁判所に出廷した母親4万6094人のうち約15.5%が再保護手続きに関与し、申請件数は全体の29%に達していました。こうした数字は深刻な現実を示しており、Pauseの使命は女性自身の視点に立った体系的な支援を通じて、この連鎖を断ち切ることにあります。

 (…後略…)

著者プロフィール

ジョアン・アルパー  (ジョアン アルパー)  (編著

ジョアン・アルパーは、先駆的なセラピューティック・アダプション機関であるアダプションプラス(Adoptionplus)の共同創設者兼ディレクターである。資格を持つソーシャルワーカーでありセラピストでもあり、地方自治体における児童福祉の実務経験を有する。CVAA理事会の理事を務め、NICE(国立医療技術評価機構)の愛着に関する質指標委員会で専門顧問を務めた経歴を持つ。子どもと家族の理解を深め、利益をもたらす研究と評価の推進・共有に強い関心を抱いている。著書は8冊に及び、関係性に基づく実践の有効性を情熱的に訴えている。

久保 樹里  (クボ ジュリ)  (監訳

日本福祉大学社会福祉学部准教授。福祉社会学修士、社会福祉士、公認心理師。児童相談所において長く児童福祉司として多くの子どもと家族の相談支援に従事。退職後、スクールソーシャルワーカーを経て、大学教員となる。児童相談所・施設などのアドバイザーや研修講師として活動。困難を抱える子ども・若者とその家族を地域で支えるラップアラウンドの研究と実装に取り組む。著書に、『すき間の子ども、すき間の支援』(共著、明石書店、2021年)、『日本の児童相談所――子ども家庭支援の現在・過去・未来』(編著、明石書店、2022年)などがある。

山口 敬子  (ヤマグチ ケイコ)  (監訳

京都府立大学公共政策学部福祉社会学科准教授。福祉社会学博士。日英における子どもの代替ケア、とりわけ里親委託や養子縁組に関する研究を専門とする。国内外の実践者から学んだ知見を基盤に、日本の里親委託におけるソーシャルワークの課題に取り組んでいる。訳書に、『養親・里親の認定と支援のためのアセスメント・ガイドブック――パーマネンシーの視点から子どもの人生に寄り添うためのヒント』(共監訳、明石書店、2023年)、『里親トレーナーのためのガイドブック――スキル・トゥ・フォスター【里親認定前研修・里親用】』『同・講師用』(共監訳、明石書店、2024年)などがある。

德永 祥子  (トクナガ ショウコ)  (

セラピューティックライフストーリーワークジャパン代表。福祉社会学博士。児童自立施設勤務、立命館大学などを経て現職。社会的養育におけるライフストーリーワークの実践と研究が専門。共編著に『ライフストーリーワーク入門――社会的養護への導入・展開がわかる実践ガイド』(明石書店、2015年)がある。

安發 明子  (アワ アキコ)  (

ソーシャルワーカー養成校AFRISパリ理事。フランス子ども家庭福祉研究者。生活保護ワーカーとして勤務したのち2011年渡仏。著作に『一人ひとりに届ける福祉が支える フランスの子どもの育ちと家族』(かもがわ出版、2023年)、翻訳書に『NO!と言えるようになるための絵本』(ゆまに書房、2025年)がある。

上記内容は本書刊行時のものです。