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スーダンの文化遺産 関広 尚世(著) - 明石書店
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スーダンの文化遺産 (スーダンノブンカイサン) 歴史・現状・復興 (レキシゲンジョウフッコウ)

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発行:明石書店
A5判
232ページ
上製
価格 5,000 円+税   5,500 円(税込)
ISBN
978-4-7503-5999-1   COPY
ISBN 13
9784750359991   COPY
ISBN 10h
4-7503-5999-8   COPY
ISBN 10
4750359998   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2025年11月25日
書店発売日
登録日
2025年11月18日
最終更新日
2025年11月21日
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紹介

2023年の紛争を契機に、スーダンの文化遺産の意味と未来を考える本書。考古学・文化財学の視点から、紛争前の豊かな遺産と保護の試み、衝突後の専門家たちの奮闘、そして復興への展望を描く。「スーダンをスーダンから見る」ための視座を提示する、渾身の書。

目次

 はじめに

第1章 なぜ「スーダン学」なのか
 Ⅰ.出会いと始まり
 Ⅱ.日本の考古学との関係
 Ⅲ.「闇」の根源と認識
  1.スーダン文化財/文化遺産とレイシズム
  2.スーダン文化財/文化遺産とディアスポラ
  3.「闇」の存在

第2章 スーダン通史
 Ⅰ.二つの通史
 Ⅱ.「博物館ガイド」の叙述
  1.「博物館ガイド」の通史
  2.「博物館ガイド」の特徴
 Ⅲ.「ユネスコ本」の叙述
  1.「ユネスコ本」の通史
  2.「ユネスコ本」の特徴と「博物館ガイド」との比較
 Ⅳ.通史を比較する意義

第3章 スーダン文化財/文化遺産の思想的背景
 Ⅰ.展覧会にみるレイシズム
 Ⅱ.ドキュメンタリー上のレイシズム
 Ⅲ.スーダン文化財/文化遺産から見た革命といま
 Ⅳ.スーダン学的文脈での主要用語の再定義
  1.背景と手法
  2.スーダン資料の日本国内展示
  3.遺跡の調査研究からみた古代スーダン本来の姿
 Ⅴ.用語の再定義
 Ⅵ.歴史叙述軸の転換とその意義

第4章 スーダン文化財/文化遺産の保護活動
 Ⅰ.プロテスト・スローガンにみるスーダン学の本質
 Ⅱ.スーダン文化財/文化遺産に見るディアスポラ
  1.ダム反対運動に見るディアスポラ
  2.サウジアラビアによる「ダム建設資金援助協定」後の反対運動
  3.国際クシュ・ヌビア会議に見るディアスポラ
 Ⅲ.スーダン文化財/文化遺産保護活動のこれまでとこれから

第5章 スーダン文化財/文化遺産の調査研究
 Ⅰ.古代スーダンの鉄研究
 Ⅱ.20世紀の研究成果
  1.はじめに
  2.メロエ遺跡の概要
  3.スーダンにおける冶金考古学の概要
  4.製鉄関連遺構の調査研究
  5.鉄器生産関連遺物の調査研究
  6.鉄滓の理化学分析
  7.鉄器の形式分類とその宗教的側面についての研究
  8.鉄器の理化学的研究
  9.メロエ採取試料とその評価
  10.20世紀の研究成果の意義
 Ⅲ.21世紀の研究成果――メロエとハマダブの調査と操業実験
  1.メロエとハマダブの調査概要
  2.2014年操業実験の成果
  3.2015年製鉄フェスの概要
 Ⅳ.21世紀の研究成果――ムエイスの調査とメロエ/ハマダブ調査成果との比較
  1.調査概要
  2.ムエイスとメロエやハマダブとの比較
 Ⅴ.エジプトの(隕)鉄研究
  1.エジプトの初期鉄器
  2.エジプトの「鉄」を指す言葉
  3.エジプトの(隕)鉄製品
  4.文献にみられる古代エジプトの(隕)鉄製品
  5.古代エジプトにおける(隕)鉄使用
 Ⅵ.鉄から見た古代スーダンとエジプトの相違点

第6章 スーダン文化遺産を生かす
 Ⅰ.SDGsの必要性
 Ⅱ.研究対象
  1.ヌビア遺跡群救済キャンペーン
  2.ヌビア遺跡群救済キャンペーン移築建物
  3.ヌビア遺跡群救済キャンペーン関連遺物
 Ⅲ.SDGsとの接点
  1.ゴール1 ターゲット5
  2.ゴール4 ターゲット7
  3.ゴール8 ターゲット9
  4.ゴール10 ターゲット2
  5.ゴール12 ターゲットb
 Ⅳ.SDGsの有効性と今後の接点

第7章 スーダン文化遺産の現在
 Ⅰ.文化遺産保護における紛争被害対応と自然災害対応との比較
 Ⅱ.紛争の始まりと経過
 Ⅲ.文化遺産保護対応
  1.スーダン人専門家と関連機関の対応
  2.日本からの対応
 Ⅳ.日本における紛争下対応の事例と課題
  1.原本研究との比較
  2.東京文化財研究所シンポジウムとの比較
 Ⅴ.自然災害と紛争災害の共通点
 Ⅵ.紛争下における文化遺産保護の課題
  1.初動と情報共有
  2.関係者との連携
 Ⅶ.専門家としての自覚

第8章 スーダン文化遺産の未来
 Ⅰ.スーダンをスーダンから見る
 Ⅱ.スーダン学の意義
 Ⅲ.スーダンを主軸とした通史の意義
 Ⅳ.レイシズムからの脱却
 Ⅴ.ディアスポラと文化遺産
 Ⅵ.スーダン文化財/文化遺産の調査研究活動
 Ⅶ.スーダン文化遺産を生かす
 Ⅷ.スーダン文化遺産の現在
 Ⅸ.スーダン文化遺産の未来

 参考文献
 おわりに

前書きなど

はじめに

 (…前略…)

 本書は8章構成とした。第1章は前提と問題提起、第2章から第6章は紛争以前、第7章は2023年の軍事衝突後から現在、第8章は未来を取り扱う。考古学や文化財学の初学者や専門家以外の読者も対象としており、両分野への認識が改まり、より社会性が高まることを目的として執筆した。
 さらに本書では考古学や文化財学をスーダン学の一分野として叙述する。また、近年は文化遺産という表現が一般的となり、文化財とは異なる定義がなされているが、本書では基本的に文化財/文化遺産、有形文化財/有形遺産、無形文化財/無形遺産としてほとんど同義に取り扱う。詳細は第1章で述べるが、あらかじめご了承いただきたい。

 (…後略…)

著者プロフィール

関広 尚世  (セキヒロ ナオヨ)  (

考古学・文化財学を専攻。日本国内の埋蔵文化財の調査研究に従事する傍ら、古代スーダンの製鉄技術をはじめとする文化遺産の調査・研究に長年携わる。ナイル川流域で計画されたダム建設により水没の危機に瀕した遺跡群の保護活動や、スーダンの歴史文化を紹介する文化イベントでの講演・企画など、文化財をめぐる国際協力にも尽力している。
著書に『スーダンの未来を想う――革命と政変と軍事衝突の目撃者たち』(石村智と共編著、明石書店、2024年)、『イスラームと文化財』(スーダン担当、新泉社、2015年)などがある。本書『スーダンの文化遺産』では、現地の声に耳を傾けながら、歴史と文化の奥深さを伝える。文化財と現代社会の接点を探る論文も多数執筆。過去を記録するだけでなく、文化の未来を構想する――研究者としての探究心と文化実践者としての使命感の両輪によって支えられ、日々活動を続けている。

上記内容は本書刊行時のものです。