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ロシアの暮らしと文化を知るための60章
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2024年10月15日
- 書店発売日
- 2024年10月11日
- 登録日
- 2024年9月19日
- 最終更新日
- 2024年10月17日
紹介
ロシアの多面性をこの一冊で実感。都市生活、自然、文化、芸術、食生活など、現代ロシアのさまざまな側面を、執筆者の専門知識と経験をもとに解説。広大な国土に息づく豊かな生活と多様な文化を鮮やかに描き出し、ロシア理解の新たな視点を提供するガイドブック。
目次
はじめに
Ⅰ 広いロシア 赤の広場から宇宙まで
第1章 モスクワ――つねに新しい時代を夢みて
第2章 サンクト・ペテルブルクに潜る――次に町を訪ねる人のために
第3章 我が家、シベリアだ。――地元の人の観点から
第4章 「ロシア文化」をかたちづくる「帝国的」な多民族性――当たり前のようにそこに「ある」多様な文化
第5章 森と川――その歴史的・文化的な意味
第6章 なぜ宇宙飛行は「人類の夢」なのか?――コスモナフトのふたつの顔
【コラム1】ウクライナとロシア――ウクライナ語とロシア語
【コラム2】ベラルーシとロシア
【コラム3】ジョージアとロシア――グーリャの記憶から
Ⅱ 世の中のしくみ
第7章 ロシアの軍隊と軍事制度――軍事国家の成り立ち
第8章 ツァーリと強い指導者――イワン雷帝からプーチンまで
第9章 流刑と秘密警察――陸の帝国の暴力
第10章 権力と法に縛られたジェンダー平等――ロシア社会における「伝統的家族」の桎梏
第11章 マスコミ――ロシアで規制下を生きるメディア
第12章 地下鉄――大都市の由縁
第13章 学校教育――最後のベルが鳴るまで
第14章 大学――「しっぽ」を残さないように
第15章 世論調査にみる今のロシア――市民の本音は?
第16章 ロシア人とのビジネス――ロシア式ビジネスの特徴と国情
Ⅲ 日常を生きる
第17章 モスクワの一日――「笑顔」でお買い物
第18章 エチケット・マナー――笑顔はなくても!
第19章 出産と育児――ベビーシッターと外国語
第20章 インターネットとSNS――自己表現の自由を求めて
第21章 余暇と休暇――憧れは暖かい海
第22章 笑いとユーモア――「冗談は犯罪じゃない」
【コラム4】マロース「切っても切れない仲」
Ⅳ 魅惑される ロシア芸術・芸能・スポーツの世界
第23章 生活の中の映画――娯楽か、芸術か
第24章 ロシアにおけるアニメ――アニメは誰のためのものか
第25章 クラシック音楽とロシアの生活――伝統と歴史に支えられた音楽文化
第26章 ロシア・ポピュラー音楽の現在――21世紀の動向と分断のゆくえ
第27章 栄光と苦難のロシア演劇――自由に魅せられた俳優たち
第28章 サーカスは魔法の輪――ロシアサーカスの魅力
第29章 生きる伝統との邂逅――ロシアバレエの留学体験記
第30章 スポーツ――スポーツ大国の光と影
第31章 日本文化受容――ロシア歌舞伎公演から100年たって
【コラム5】ロシア演劇の今
Ⅴ ことばの世界
第32章 ロシア語とはどんな言葉か――ロシア語で「偉大で力強い」と言えば
第33章 現代のロシア語――書き言葉の変遷、造語の力
第34章 禁止がなければ生きられない?!――アネクドート(一口話)は不滅です
第35章 ことわざと「翼の生えた言葉」――どこまで文脈を読めるかな
第36章 文学――何よりも大事なもの
【コラム6】日本におけるロシア紹介者――江戸時代から現代まで
Ⅵ 愛する・信ずる
第37章 恋と結婚の内側――恋愛は人生の華
第38章 友人と家族――家族と友人がいるからこそ、人生に意味がある
第39章 正教の国ロシア――信じてないけど信じてる
第40章 信仰と日常生活――結婚指輪は右手に
第41章 生きている祈りの場――正教会の聖堂とイコン
第42章 ラスプーチンとその他の霊能者たち――ロシアと「超能力」
第43章 ロシア魂の謎――ロシアは頭ではわからない?
第44章 ロシアにおける日本の人気――日常の中の非現実
Ⅶ 伝統
第45章 民芸――マトリョーシカだけじゃない
第46章 昔話――昔話の昔から今まで
第47章 迷信――異界に通じる小さな窓
第48章 ロシア民謡と大衆歌謡――収集と普及
第49章 サモワール――家庭の幸福、日常生活の美学
第50章 クリスマス・マースレニッツァ・パスハ――お正月の後に来るクリスマス
Ⅷ 衣・食・住
第51章 食生活――テーブルの脚が折れるほどのご馳走を!
第52章 ロシアにおける外食の諸相――レストランからファーストフードまで
第53章 寒冷地の生活の知恵と北国の飲み物――ミョード、ワイン、クワス、ビール、ウォッカ
第54章 ザクースカで幕が開くロシアの食卓――キャビア、チョウザメ、ピロシキ、ペリメニ
第55章 ボルシチとその他のスープ――スプーンが倒れないほど具だくさん!
第56章 スイーツ・アイスクリーム――デザートにカーシャはいかが?
第57章 住宅事情――集合住宅から見る現代ロシアの暮らし
第58章 ロシアの建築の二面性――建築政策と都市計画の変遷
第59章 ダーチャのある暮らし――心豊かに過ごすロシア式セカンドハウス
第60章 日常の衣服・ファッション――限られた期間で思いっきりおしゃれを楽しむ!
【コラム7】ペット事情
おわりに
ロシアの暮らしと文化を知るための参考文献
前書きなど
はじめに
この「はじめに」を書いている2024年9月現在、ロシアは異常な事態にある。改めて解説するまでもなく、プーチン政権下のロシアは2022年2月に独立国であるウクライナに対して軍事侵攻(特別軍事作戦)を開始し、いまなおロシア・ウクライナ間の戦争は続き、停戦・和平への道も見えてこない。
その結果、日本ではウクライナに同情する世論が急速に高まると同時に、ロシアに対する嫌悪感が強まった。戦争を背景に対ロシア感情が悪化するのは避けがたいことだとしても、戦争に直接関係のないロシアの芸術や文物まで忌避する傾向さえ一部に見られるようになったのは憂えるべき事態ではないだろうか。
当たり前のことだが、ロシアが何世紀にもわたって築いてきた素晴らしい文化や芸術がすべて戦争のせいで突然価値を失うはずはないし、戦争のさなかでもロシアの人々は普通に人間としての日常の営みを続けている。むしろ、「謎の国」ロシアを理解するためには、国際的ニュースの陰に隠れて外国人には見えにくい普通のロシア人の暮らしや文化をもっとよく知ることが必要ではないだろうか。そもそも最近の日本ではロシアはもっぱら戦争報道で取りあげられるばかりで、大統領の顔はよく知られているが、普通の暮らしを営むロシア人の素顔はあまり知られていない。考えてみれば、人はよく知らないものを好きになることはできないだろう。多くの日本人がロシアをなんとなく恐ろしい国だと思い、好感を抱かないのも、実はロシア人を知らないからという面もあるのではないか。
本書はこういったことを念頭に置きながら、ロシアの暮らしと文化に焦点を当てたものである。扱う時代は、19世紀以前にさかのぼる場合もあるが、大部分は20世紀以降から現代を視野に入れている。ロシアを知るためのガイドブックの類はこれまでもかなり出ているし、本書の編者たちもこれまでそういった本の編纂に携わってきた。しかし、本書が従来の類書と異なるのは、普通のロシア人が何を食べ、何を考え、何を楽しみ、何を大事にしているか――要するにどのように生きているのかを描き出すことに努めている点である。現代的な感覚を生かすために、各章はなるべく若手のロシア事情通に書いていただいた。ここには専門的知見や情報が分かりやすく盛り込まれているが、可能なかぎり執筆者の個人的なロシア経験や生活感覚を生かすような書き方になっている。そのほか時節柄、やむを得ず何人かは匿名での参加になったが、ロシア人にも執筆していただいた。
本書は初めから順番に通読する必要はない。読者の皆様には興味を惹かれた章から気の向くままに読んでいただきたい。どの章を読んでも、きっと巨大で多様なロシアの知られざる一面が見えてくるだろう。
本書を通して浮かび上がってくるのは、決して100%バラ色の理想的なものではないにせよ、ロシア人が創意工夫を凝らし、可能なかぎり豊かで人間的な生活を送っている姿ではないかと思う。
日本での対ロシア好感度の低さとは対照的に、ロシアでは日本文化の人気は高く、日本との文化交流は意外にも盛んに行われてきた。しかし、残念ながら、複雑な歴史的経緯から日ロ関係は正常とは言えず、両国間には平和条約さえ結ばれていない現状である。政治的な問題はさておき、この困難な時代にも文化交流の火を絶やすことなく進めていくことこそが大事だろう。ただし、ここで言う文化交流とは、国家的プロパガンダのためのものではなく、あくまでも人間と人間の心が通い合うような交流のことだ。本書もそのための一助となれば幸いである。そして、最後に、今なお続いている戦争が一刻も早く終結し、ウクライナとロシアの両方の人々に平和な暮らしが戻ってくることを願って、「はじめに」を結ぶこととしたい。
追記
【執筆者一覧】
赤尾雄人(あかお・ゆうじん)
1960年東京生まれ。ロシア文化/バレエ研究。1991-95年、2001-04年、2009-2015年モスクワ駐在。著書に『バレエ・テクニックのすべて』(新書館、2002年)、『これがロシア・バレエだ!』(新書館、2010年)、訳書にヴォルィンスキィ『歓喜の書』(共訳、新書館、1993年)、クレイン、マックレル『オックスフォード バレエダンス事典』(共訳、平凡社、2010年)、モリソン『ボリショイ秘史』(監訳、白水社、2021年)。
安島里奈(あじま・りな)
東京外国語大学大学院総合国際学研究科博士後期課程。専門は、ロシア文学、ロシアフォークロア。
新井滋(あらい・しげる)
元ソニーロシア現地法人社長、ロシア進出支援コンサルタント、東京外国語大学で実施された大学の世界展開力強化事業『日露ビジネス人材育成プログラム』コーディーネーター兼特任教授(2017-2021年度)、サンクト・ペテルブルク日本センター支部長(2022-2024年度)。ロシアNIS貿易会調査月報にビジネスロシア語のコラム記事を連載(2016-2021年)したほか、ロシア人事労務等に関する記事を多数寄稿。通算ロシア在住歴28年。
池田嘉郎(いけだ・よしろう)
1971年秋田県生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科教授。専門は近現代ロシア史。著書に『革命ロシアの共和国とネイション』(山川出版社、2007年)、『ロシア革命 破局の8か月』(岩波新書、2017年)、『ロシアとは何ものか』(中公選書、2024年)、訳書にミヒャエル・シュテュルマー『プーチンと甦るロシア』(白水社、2009年)、アンドレイ・プラトーノフ『幸福なモスクワ』(白水社、2023年)がある。
伊東一郎(いとう・いちろう)
1949年札幌市生まれ。スラヴ文化史専攻。早稲田大学名誉教授。主な著書に、『ガリツィアの森 ロシア東欧比較文化論集』(水声社、2019年)、『マーシャは川を渡れない――ロシア民謡のなかの文化』(東洋書店、2001年)、『ヨーロッパ民衆文化の想像力』(共著、言叢社、2013年)、編著に『ロシア・フォークロアの世界』(群像社、2005年)、『スラヴ民族の歴史』(山川出版社、2023年)など。
A. A.
ロシア出身の研究者。
大島幹雄(おおしま・みきお)
サーカス学会会長。サーカス学、日ロ交流史。著書に『サーカスと革命――道化師ラザレンコの生涯』(水声社、2013年)、『ボリショイサーカス』(東洋書店、2006年)、『明治のサーカス芸人はなぜロシアに消えたのか』(新潮社、2015年)、『サーカスは私の〈大学〉だった』(こぶし書房、2013年)、『〈サーカス学〉誕生』(せりか書房、2015年)など。翻訳にレザーノフの『日本滞在日記』(岩波書店、2000年)
折田智水(おりた・ともみ)
舞台俳優。日本舞踊家(上方舞山村流六世宗家 三代目山村友五郎直門)。東京木山事務所俳優養成学校卒業。ロシア国立演劇大学演出学部俳優学科研修課程修了。現在モスクワで、芥川龍之介「羅生門」、一人芝居「あなたが島だったら」に主演中。
神岡理恵子(かみおか・りえこ)
中央学院大学現代教養学部専任講師。早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)。専門は現代ロシア文学・文化、ソ連アンダーグラウンド文学・文化、冷戦期比較文化。NHKラジオ「まいにちロシア語応用編:Назад в СССР~知られざるソ連への旅」講師(2024年10月~2025年3月)。
亀田真澄(かめだ・ますみ)
中京大学国際学部講師。専門は現代文芸論、表象文化論、感情学。主な著書に、『マス・エンパシーの文化史――アメリカとソ連がつくった共感の時代』(東京大学出版会、2023年)、『国家建設のイコノグラフィー――ソ連とユーゴの五カ年計画プロパガンダ』(成文社、2014年)など。
北川和美(きたがわ・かずみ)
ロシア語通訳・翻訳者。訳書にフレーブニコワ『ティルとネリ』(未知谷、2003年)、エリザーロフ『図書館大戦争』(河出書房新社、2015年)、スタロビネツ『むずかしい年ごろ』(共訳、河出書房新社、2016年)、ヴェルキン『サハリン島』(共訳、河出書房新社、2020年)、ペトゥルシェフスカヤ『人間じゃないものの冒険』(『小学館世界J文学館』所収、小学館、2023年)など。
北原柊(きたはら・しゅう)
ロシアウォッチャー。2000年代よりロシアに滞在。
工藤順(くどう・なお)
1992年新潟生まれ。ロシア語翻訳労働者。訳書にプラトーノフ『チェヴェングール』(共訳)(作品社、2022年)、ワッサースタイン『ウクライナの小さな町』(作品社、2024年)など。
熊野谷葉子(くまのや・ようこ)
慶應義塾大学教授。専門はロシア民俗学。著書に『マトリョーシカのルーツを探して 日本起源説の謎を追う』(岩波書店、2023年)、『ロシア歌物語ひろい読み 英雄叙事詩、歴史歌謡、道化歌』(慶應義塾大学出版会、2017年)、『チャストゥーシカ ロシアの暮らしを映す小さな歌』(東洋書店、2007年)、訳書に『アイヌ民族の歴史と文化』(チューネル・タクサミ、ワレーリー・コーサレフ著、明石書店、1998年)ほか。
小泉悠(こいずみ・ゆう)
東京大学先端科学技術研究センター准教授。専門はロシアの軍事・安全保障政策。著書に『「帝国」ロシアの地政学』(東京堂出版、2019年)、『現代ロシアの軍事戦略』(筑摩書房、2021年)、『オホーツク核要塞』(朝日新聞出版、2024年)、『サイバースペースの地政学』(早川書房、2024年)などがある。
鴻野わか菜(こうの・わかな)
1973年生まれ。専門はロシア東欧美術・文学。東京外国語大学、東京大学人文社会系研究科、国立ロシア人文大学大学院修了(博士、Ph.D)。早稲田大学教育・総合科学学術院教授。共著に『カバコフの夢』(越後妻有里山協働機構、2021年)、訳書にレオニート・チシコフ『かぜをひいたおつきさま』(徳間書店、2014年)、マリーナ・モスクヴィナ『ぼくの犬はジャズが好き』(小学館、2023年)など。
斎藤慶子(さいとう・けいこ)
早稲田大学文学学術院講師(任期付)。専門は日露バレエ交流史。著書に『「バレエ大国」日本の夜明け:チャイコフスキー記念東京バレエ学校1960-1964』(文藝春秋企画出版部、2019年)、『ジゼル:初演から現代まで』(共著、せりか書房、2024年)ほか、訳書にサイモン・モリソン『ボリショイ秘史:帝政期から現代までのロシア・バレエ』(共訳、白水社、2021年)。
坂上陽子(さかのうえ・ようこ)
編著者紹介を参照
坂本里沙子(さかもと・りさこ)
1994年、福島県生まれ。ピアニスト。桐朋女子高等学校音楽科を経て、ロシア国立モスクワ音楽院卒業。若いピアニストのためのリガ国際コンクール第1位、スクリャービン国際コンクール第2位ほか、国内外のコンクールで受賞多数。帰国後、早稲田大学文学部卒業。著書に、モスクワ音楽院での6年間の留学生活を綴った『私の音楽留学』(群像社、2020年)。
佐藤貴之(さとう・たかゆき)
福島県二本松市出身。東京外国語大学、上智大学等で非常勤講師としてロシア語教育に従事する傍ら、日露演劇交流にも携わる。専門はロシア文学、ロシア演劇。訳書に『ブルガーコフ戯曲集』(共訳、東洋書店、2017年)。NHKまいにちロシア語応用編(2022年)の講師を担当。
鈴木佑也(すずき・ゆうや)
新潟国際情報大学国際学部准教授。ロシア・ソ連芸術史/建築史。ロシア国立芸術学研究所にて准博士号(Ph.D. 芸術史)取得後、東京外国語大学大学院にて博士号(学術)取得。日本学術振興会特別研究員を経て現職。主な著書に『ロシア文化事典』(共著、丸善出版会、2019年)、『都市科学事典』(共著、春風社、2021年)、『ソヴィエト宮殿 建設計画から頓挫まで』(水声社、2021年)などがある。
五月女颯(そうとめ・はやて)
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了(博士(文学))ののち、日本学術振興会特別研究員(PD)、東京大学大学院人文社会系研究科助教を経て、現在、筑波大学人文社会系助教。専門はジョージア文学、エコクリティシズムなどの批評理論。単著に『ジョージア近代文学のポストコロニアル・環境批評』(成文社、2023年)。
高橋沙奈美(たかはし・さなみ)
九州大学人間環境学研究院講師。専門はロシアとウクライナの正教会。著書に『ソヴィエト・ロシアの聖なる景観』(北海道大学出版会、2018年)、「過去でも、記憶でもなく――ミュージアム化とロシアの宗教遺産」『宗教遺産テクスト学の創成』(勉誠出版、2022年)、『迷えるウクライナ』(扶桑社新書、2023年)など。
高柳聡子(たかやなぎ・さとこ)
早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。専門はロシア語圏の女性文学とフェミニズム。著書に『ロシアの女性誌 時代を映す女たち』(群像社、2018年)、『埃だらけのすももを売ればよい ロシア銀の時代の女性詩人たち』(書肆侃侃房、2024年)、訳書にイリヤ・チラーキ『集中治療室の手紙』(群像社、2019年)、ダリア・セレンコ『女の子たちと公的機関 ロシアのフェミニストが目覚めるとき』(エトセトラブックス、2023年)など。
田中まさき(たなか・まさき)
早稲田大学ロシア東欧研究所招聘研究員。専門はロシア文化研究(ソ連時代の映画、現代ロシア演劇)。論文:「ソ連時代後半の娯楽映画――リャザーノフの挑戦」(浅岡善治・中嶋毅 責任編集『ロシア革命とソ連の世紀4 人間と文化の革新』岩波書店、2017年、所収)、「イヴァン・プイリエフの幻の『雷帝』プロジェクト」(ロシア史研究、第89号、2012年)。
地田徹朗(ちだ・てつろう)
名古屋外国語大学世界共生学部准教授。ソ連史、中央アジア地域研究。主な著作:『牧畜を人文学する』(シンジルトとの共編著、名古屋外国語大学出版会、2021年)、(論文)「旧ソ連の軛:ウクライナ戦争と中央アジア」『世界』952号、2022年、50-61頁。
塚崎今日子(つかざき・きょうこ)
北海道科学大学未来デザイン学部准教授。専門はロシア・フォークロア。共著に『北ロシアの暮らしとフォークロア』(丸善雄松堂、2023年)。共翻訳に「ロシア民話集」『小学館世界J文学館』(小学館、2022年)。論文に「シュリクンとポルードニッツァを繋ぐ環としてのヴォジョ:『フライパンを持つシュリクン』の考察から」『ロシア語ロシア文学研究』第53号、2021年、23-43頁など。
鳥山祐介(とりやま・ゆうすけ)
東京大学大学院総合文化研究科教授。ロシア国立人文大学大学院修了(Ph.D)。18-19世紀ロシア文学・文化史専攻。共著書に『〈超越性〉と〈生〉の接続――近現代ロシア思想史の批判的再構築に向けて』(水声社、2022年)、『18世紀ロシア文学の諸相:ロシアと西欧 伝統と革新』(水声社、2016年)、共訳書にオーランドー・ファイジズ『ナターシャの踊り』(白水社、2021年)など。
豊田菜穂子(とよだ・なほこ)
フリーライター・翻訳家。著書に『ダーチャですごす緑の週末~ロシアに学ぶ農ある暮らし』(WAVE出版、2013年)、『ロシアの大人の部屋』(辰巳出版、2011年)、『ロシアの正しい楽しみ方』(共著、旅行人、2001年)、共訳書に『プロコフィエフ短編集』(群像社、2009年)、『猫のユーユー クプリーン短編集』(群像社、2020年)など。
奈倉有里(なぐら・ゆり)
ロシア詩研究、翻訳。著書に『夕暮れに夜明けの歌を 文学を探しにロシアに行く』(イースト・プレス、2021年)、『ロシア文学の教室』(文藝春秋、2024年)、『文化の脱走兵』(講談社、2024年)、訳書にサーシャ・フィリペンコ『赤い十字』(集英社、2021年)、『理不尽ゲーム』(集英社、2021年)など。
ナザランカ、カチャリーナ
ベラルーシ出身。ベラルーシ国立大学の国際関係学部を卒業。東京外国語大学で日露比較文学を専攻、修士号、博士号を取得。現在、東京外国語大学で非常勤講師としてロシア語を教えている。
沼野恭子(ぬまの・きょうこ)
編著者紹介を参照
沼野充義(ぬまの・みつよし)
編著者紹介を参照
原真咲(はら・まさき)
東京外国語大学TUFSオープンアカデミー講師。専門はウクライナ文学。著書は「コサックのバーイダ、またはドメィトロー・ヴィシュネヴェーツィケィイ公のマニエリスト的転回」『国際シンポジウム「文化の汽水域:東スラヴ世界の文化的諸相をめぐって」報告集』東京外国語大学、2017年、27-53頁、選・訳「ウクライナ人の世界を知るための四文献」『現代思想2022年6月臨時増刊号 総特集=ウクライナから問う』青土社、2022年、346-381頁。
馬場朝子(ばば・ともこ)
1970年よりソ連・モスクワ国立大学文学部に6年間留学。帰国後NHKで番組制作に従事。「スターリン 隠された家族の悲劇」「トルストイの家出」「プーチンのロシア 膨張するロシア正教」などソ連・ロシアのドキュメンタリー40本以上制作。現在フリー。著書に『タルコフスキー:若き日、亡命、そして死』(青土社、1997年)、『ロシアのなかのソ連:さびしい大国、人と暮らしと戦争と』(現代書館、2022年)など。
平松潤奈(ひらまつ・じゅんな)
東京大学大学院人文社会系研究科准教授。専門はロシア・ソ連文学。共著書に『講座ユーラシア世界 第4巻 公共圏と親密圏』(東京大学出版会、2012年)、『ロシア革命とソ連の世紀 第4巻 人間と文化の革新』(岩波書店、2017年)など、共訳書にミハイル・ヤンポリスキー『デーモンと迷宮:ダイアグラム・デフォルメ・ミメーシス』(水声社、2005年)などがある。
プーリク、イリーナ
日本語教育専門家、翻訳者。ノボシビルスク国立大学言語学科卒業。国際交流基金による「日本語教育指導者養成プログラム」に参加し、日本語教育修士号を取得。20年以上にわたり、シベリアにおける日本語教育のキーパーソンとして活動。『どうぞよろしく:コミュニケーションのための20 Can-do』日本語教科書(2012年および2016年)開発チームのリーダー。ノボシビルスク市立「シベリア・北海道」センターの元館長。
プシュコーワ、アナスタシア
モスクワ国立大学付属アジア・アフリカ諸国大学言語学部日本語学科卒。少年期から青年期にかけてロシアと日本を行き来していたため、幼い頃から両国の文化の違いに興味を持つようになる。両国の相互理解促進に関わる仕事に就き、現在に至る。
ベルタシュ、アレクサンドル
1964年レニングラード生まれ。モスクワ総主教庁ロシア正教会ベルリン・ドイツ教区、長司祭、史跡・文化財保護責任者。学術誌『バルトの正教』(ラトビア大学、リガ)の編集委員、サンクト・ペテルブルク教区建築・芸術問題委員会副委員長を務める。著書にThe Spread of Orthodoxy and Orthodox churches in the Baltics: Influence of Russian church architecture from the 1840s–1917(Tallinn, 2024)など。
堀口大樹(ほりぐち・だいき)
京都大学人間・環境学研究科准教授。専門はロシア語学、ラトヴィア語学。著書に『ニューエクスプレスプラス ラトヴィア語』(2018年、白水社)。
本田晃子(ほんだ・あきこ)
岡山大学社会文化科学研究科准教授、専門はソ連建築史および表象文化論。主な著書に『天体建築論――レオニドフとソ連邦の紙上建築時代』(東京大学出版会、2014年)、『都市を上映せよ――ソ連映画が築いたスターリニズムの建築空間』(東京大学出版会、2022年)、『革命と住宅』(ゲンロン、2023年)など。
松枝佳奈(まつえだ・かな)
九州大学大学院比較社会文化研究院講師。専門分野は、日露比較文学比較文化。主著に『近代文学者たちのロシア――二葉亭四迷・内田魯庵・大庭柯公』(ミネルヴァ書房、2021年)、「森鷗外のロシア――『椋鳥通信』にみる帝政ロシアの政治と社会の問題」『鷗外』111号、21-40頁、2022年7月。
三浦清美(みうら・きよはる)
早稲田大学文学学術院教授。博士(文学)(東京大学)。ロシアのサンクト・ペテルブルグ国立大学研究生、電気通信大学教授を経て現職。専門はスラヴ文献学、中世ロシア文学、中世ロシア史。著書に、『ロシアの源流』(講談社選書メチエ、2003年)、『ロシアの思考回路』(扶桑社、2022年)。訳書に『キエフ洞窟修道院聖者列伝』(松籟社、2021年)、『中世ロシアのキリスト教雄弁文学(説教と書簡)』(松籟社、2022年)、『中世ロシアの聖者伝(一)――モスクワ勃興期編』(松籟社、2023年)、『中世ロシアの聖者伝(二)――モスクワ確立期編』(松籟社、2023年)など。
三浦良子(みうら・ながこ)
北海道大学大学院博士後期課程中退、修士。母親業・著述(ロシア食文化史)。「スメタナとクリーム」「お茶とクワスとジュース」『ロシア文化事典』(丸善出版、2019年)、「ロシアの有名人とロシア料理」「ソ連崩壊後25年を経たロシアの食文化」『夕方ホットトーク!:先読み!夕方ニュース』(NHKラジオ第1、2017年3月31日、2016年7月27日)、「食のペレストロイカ」『ロシア文化の方舟』(東洋書店、2011年)、Чай и чайная церемония в традиционной культуре японцев // Хмельное и иное: напитки народов мира. М: Наука,2008. С.329-341. など。
上記内容は本書刊行時のものです。