版元ドットコム

探せる、使える、本の情報

文芸 新書 社会一般 資格・試験 ビジネス スポーツ・健康 趣味・実用 ゲーム 芸能・タレント テレビ・映画化 芸術 哲学・宗教 歴史・地理 社会科学 教育 自然科学 医学 工業・工学 コンピュータ 語学・辞事典 学参 児童図書 ヤングアダルト 全集 文庫 コミック文庫 コミックス(欠番扱) コミックス(雑誌扱) コミックス(書籍) コミックス(廉価版) ムック 雑誌 増刊 別冊
中国共産党とメディアの権力関係 王 冰(著) - 明石書店
.
【利用可】

書店員向け情報 HELP

書店注文情報

注文サイト:

在庫ステータス

在庫あり

取引情報

直接取引:なし

出版社への相談

店頭での販促・拡材・イベントのご相談がありましたらお気軽にご連絡ください。

中国共産党とメディアの権力関係 (チュウゴクキョウサントウトメディアノケンリョクカンケイ) 改革開放期におけるメディアの批判報道の展開 (カイカクカイホウキニオケルメディアノヒハンホウドウノテンカイ)

このエントリーをはてなブックマークに追加
発行:明石書店
A5判
288ページ
上製
価格 4,800円+税
ISBN
978-4-7503-4627-4   COPY
ISBN 13
9784750346274   COPY
ISBN 10h
4-7503-4627-6   COPY
ISBN 10
4750346276   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2018年1月
書店発売日
登録日
2018年1月25日
最終更新日
2018年1月25日
このエントリーをはてなブックマークに追加

紹介

改革開放以降、批判報道に関する共産党の認識と、メディアによる批判報道の展開が、それぞれどのようなものなのかを明らかにし、その上でメディアが批判報道を行う際、どうやって共産党の報道方針に抵抗し、またなぜ共産党の報道方針に抵抗できたのかを解明。

目次

序章 問題の所在及び研究対象
 第1節 問題の所在
 第2節 研究対象
  1 中国メディアの批判報道
  (1)批判報道の概念
  (2)中国と自由民主主義国家の批判報道の差異
  2 『南方週末』と『南方都市報』
  (1)2紙の報道の自主性
  (2)2紙の経済的自立性
  (3)2紙の批判報道の大胆さ
 第3節 中国新聞の発展状況及び新聞界における『南方週末』と『南方都市報』の位置づけ
  1 中国新聞の発展状況
  2 新聞界における『南方週末』と『南方都市報』の位置づけ
 第4節 本書の構成

第1章 本書の分析枠組と分析手法
 はじめに
 第1節 中国メディア研究の分析枠組の問題点
  1 「ソビエト共産主義理論」の限界性
  2 「自由主義理論」の問題点
  3 「コミュニケーションの政治経済学的アプローチ」の問題点
  4 「国家・市場・社会とメディアの相互関係的アプローチ」の限界性
 第2節 本書の分析枠組
  1 党とメディアの間の権力関係
  2「党のメディア認識層‐メディアの報道層‐抵抗層」3層構造
 第3節 本書の分析手法
  1 新聞記事の内容分析
  2 アンケート及び聞き取り調査
  3 文献分析

第2章 批判報道に関する中国共産党の認識
 はじめに
 第1節 1980年代の批判報道をめぐる党の認識
  1 単なる党の代弁道具論からの脱却
  2 報道の自由をめぐる改革方案としての批判報道
  (1)報道の自由をめぐる論争
  (2)報道の自由をめぐる方案としての批判報道
 第2節 天安門事件後の批判報道をめぐる党の認識
  1 メディアの「党派性」原則の再強調
  2 「党派性」原則下の批判報道
  (1)「プラス宣伝を主とする」方針下の批判報道
  (2)「正しい世論の方向性の堅持」方針下の批判報道
 第3節 1990年代の批判報道をめぐる党の認識
  1 党の統治手段としての批判報道
  2 党の政治システムにおける批判報道
 第4節 2003年以降の批判報道をめぐる党の認識
  1 党の意思に挑戦する批判報道
  2 批判報道にブレーキ
 むすび 批判報道に関する党の認識

第3章 中国メディアによる批判報道の展開の経緯
 はじめに
 第1節 メディアの宣伝機能の打破期における批判報道
  1 党機関紙の「輿論監督」版の発行
  2 党の報道「禁区」の突破
  3 記者のプロフェッショナル報道意識の目覚め
 第2節 メディアの宣伝機能の衰退期における批判報道
  1 「都市報」による批判報道
  2 調査報道ブーム
  3 メディアによる監視の自主性の向上
 第3節 メディアの宣伝機能からの脱去期における批判報道
  1 「民生ニュース」による批判報道
  2 「民生ニュース」の批判報道の公共性
 第4節 批判報道に関する記者の認識及び日常の報道活動
  1 調査概要及び記者の基本状況
  2 批判報道に関する記者の認識
  (1)記者の批判報道に対する重視度
  (2)記者の批判報道への期待度及び満足度
  (3)記者の批判報道に対する重視度と記者になった動機のクロス集計
  3 批判報道の展開をめぐる記者の日常の報道活動
  (1)記者の批判報道に対する重視度と報道の情報源のクロス集計
  (2)記者の批判報道に対する重視度と取材手段のクロス集計
  (3)記者の批判報道に対する重視度と被代弁者のクロス集計
  (4)記者の批判報道に対する重視度と党の「禁令」に対する態度のクロス集計
  (5)記者の批判報道に対する重視度と突発的事件に対する報道の活動のクロス集計
  4 批判報道の展開における記者の報道戦術
  (1)「禁令」に先行して記事を掲載する戦術
  (2)「禁令」の隙間を狙う戦術
  (3)ペンネームを変える戦術
 むすび 中国メディアによる批判報道の展開の経緯

第4章 中国共産党の不正に対する批判報道――『南方週末』を事例に
 はじめに
 第1節 記事の抽出及びコーディング方法
  1 記事の抽出方法
  2 コーディング方法
  (1)記事のカテゴリー化
   ①「批判記事」
   ②「宣伝記事」
   ③「一般記事」
  (2)「批判記事」に対するコーディング
 第2節 党の宣伝メディアの役割に抵抗する手段としての批判報道
  1 抵抗手段としての批判報道
  2 党に対するメディアの批判
  (1)批判対象の分類
  (2)批判内容の分類
  (3)批判手段の分類
  (4)被代弁者の分類
  (5)記事ソースの分類
  (6)不正の原因の分類
  3 小括
 第3節 批判報道の戦術
  1 党への提言
  2 党・政府の公式文書の引用
  3 小括
 むすび 批判報道の実態及びその限界

第5章 突発的事件に対する批判報道――『南方都市報』の炭鉱事故報道を事例に
 はじめに
 第1節 記事の抽出方法及びコーディング方法
  1 記事の抽出方法
  2 コーディング方法
  (1)記事のカテゴリー化
   ①「批判記事」
   ②「宣伝記事」
   ③「一般記事」
  (2)記事の内容に対するコーディング
  (3)記事の重要性に対するコーディング
  (4)「調和のとれた社会価値」に対するコーディング
 第2節 党の宣伝機能に抵抗する手段としての批判報道
  1 記事の割合の分類
  2 記事の内容の分類
  3 記事の重要性の分類
  (1)記事の掲載面の分類
  (2)記事の大きさの分類
  (3)記事の体裁の分類
  4 小括
 第3節 批判報道の報道戦術
  1 「専門家・読者の評論記事」の掲載
  2 「調和のとれた社会価値」の提示
  3 小括
 むすび 突発的事件に対する批判報道の実態及び限界

終章 結論と中国メディア研究の視座への提言
 第1節 本書の結論
  1 批判報道をめぐる権力関係
  2 批判報道をめぐる権力メカニズム
 第2節 中国メディア研究の視座への提言
 第3節 今後の課題

 【付録資料一覧】
  付録資料1 『南方週末』の1997年から2010年までの第1面トップ記事サンプル
  付録資料2 『南方都市報』の2004年から2010年までの炭鉱事故記事サンプル
  付録資料3 メディアの「與論監督」機能に関する党と中央政府の言及年表
  付録資料4 『南方週末』に関する年表
  付録資料5 『南方日報』グループのジャーナリストへのアンケート調査票(第1回)
  付録資料6 『南方日報』グループのジャーナリストへのアンケート調査票(第2回)
  付録資料7 『南方日報』グループのジャーナリストへのインタビュー一覧

 【参考文献】
 【初出一覧】

 あとがき
 索引

前書きなど

序章 問題の所在及び研究対象

 (…前略…)

第4節 本書の構成

 本書の目的は,中国メディアの批判報道をめぐり,党とメディアの間に生じる権力関係と権力メカニズムを明らかにしようとするところにある。分析にあたってはまず,批判報道をめぐる党の認識及びメディア側による批判報道の展開がそれぞれ一体どのようなものなのかを解明したうえで,次に党とメディアの間にどのような権力構図が展開しているのかを明らかにする。
 本書の構成は以下のとおりである。
 第1章では,これまでの中国メディア研究の分析枠組を整理し,それぞれの問題点を指摘したうえで,本書の分析枠組及び分析手法を示しておきたい。
 第2章では,批判報道をめぐる中国共産党の認識が一体どのようなものなのかを明らかにするために,改革開放以降の1980年代(1979~1989年),天安門事件後(1989~1992年),1990年代(1992~2002年),2003年以降(2003年~現在に至る),4つの時期に分け批判報道に関する党の認識の形成,変化について歴史的な考察を行う。(……)
 第3章においては,メディア側は批判報道をどのようなに展開してきたのかを解明するために,政治的,市場的,社会的要因というマクロなレベル,及び記者の報道意識,日常の報道活動というミクロなレベルの分析アプローチから,メディアによる批判報道の展開と,党がメディアに要求している党の宣伝機能の打破,同機能の衰退,及び同機能からの脱去という連動図式を歴史的に考察することによって,メディアによる批判報道の展開の経緯を明らかにする。
 第4章では,『南方週末』を事例に,党の不正に対する同紙の批判報道はどのように行われているのかについて考察を行う(……)
 第5章は,『南方都市報』の炭鉱事故報道を事例に,突発的事件に関する同紙の批判報道が如何に党の宣伝機関としての機能に抵抗しているのかという問いの解明を目的とする。(……)
 終章では,批判報道をめぐる党の認識とメディア側の独自の展開の隔たりに注目し,党とメディアの間に生じる権力関係を再度整理したうえ,中国メディアの批判報道をめぐる権力関係と権力メカニズムの実態を明らかにした結果を本書の結論として提示する。最後に,こうした党とメディアの間に生じる権力関係に注目した分析視座を中国メディア研究に提言したい。

著者プロフィール

王 冰  (オウ ヒョウ)  (

2005年来日。筑波大学大学院地域研究研究科修士課程,筑波大学大学院人文社会科学研究科博士課程修了,博士(学術)。
筑波大学人文社会科学系リサーチアシスタント,非常勤研究員等を経て,現在は中山大学コミュニケーションと設計学院講師,中山大学国家治理研究院研究院研究員。
主要著作:『中国市民社会・利益団体:比較の中の中国』(共著,木鐸社,2014年),『大震災・原発危機下の国際関係』(共著,東洋経済新報社,2015年),「メディアの『世論監督』機能に関する中国共産党の認識」(『筑波法政』,2013年),「中国メディアによる「批判報道」――『南方週末』の事例」(『アジア研究』,2015年),「中国における「突発的事件」をめぐる「批判報道」の展開――『南方都市報』の炭鉱事故報道を事例に」(『中国研究月報』,2017年),ほか。

上記内容は本書刊行時のものです。