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バルト三国の歴史
エストニア・ラトヴィア・リトアニア 石器時代から現代まで
原書: A HISTORY OF THE BALTIC STATES
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2014年3月
- 書店発売日
- 2014年3月31日
- 登録日
- 2014年4月2日
- 最終更新日
- 2014年4月2日
紹介
大国が覇権を競い合い、地政学的思惑に翻弄されてきたバルト海沿岸地域。本書は、石器時代から現代までを射程に入れ、バルト諸国、とりわけエストニア、ラトヴィア、リトアニアというバルト三国の歴史を叙述した通史として他に類を見ない。
目次
はじめに
第1章 ヨーロッパ最後の多神教の民
初期の住人たち
先史時代の社会
北の十字軍
第2章 リトアニアの拡大と中世リヴォニア(一二九〇~一五六〇)
リトアニアの興隆
ヨガイラとヴィータウタス
ヤギェウォ朝
リヴォニアの封建社会
都市、交易、農民
宗教改革とリヴォニアの解体
第3章 ポーランド・リトアニア「共和国」とスウェーデンおよびロシアの勃興(一五六一~一七九五)
ポーランド・リトアニア同君連合とリヴォニアの覇権をめぐる戦い
スウェーデン支配と大北方戦争
ロシアの西への窓
ポーランド・リトアニアの衰退と分割
第4章 専制下での長い十九世紀(一七九五~一九一七)
バルト諸県における農業改革
ロシア帝国の中のリトアニア
民族覚醒
ロシア化と近代化
一九〇五年のロシア革命と第一次世界大戦
第5章 短い独立時代(一九一七~一九三九)
ロシア革命とドイツによる占領
独立戦争
民主主義体制から権威主義体制へ
経済的、社会的、文化的発展
安全保障を求めて
第6章 前門の虎、後門の狼(一九三九~一九五三)
ソ連による併合
ナチス帝国管区「オストラント」
他国の軍服を身にまとい戦うこと
抵抗、抑圧、集団化
第7章 ソヴィエト体制の下で(一九五三~一九九一)
雪解け
停滞
歌う革命
独立への道
第8章 西への回帰(一九九一~二〇一二)
民主化
二十一世紀の政治
経済改革
社会的移行
ヨーロッパへの回帰
ロシアとの関係
訳者あとがき
注
文献案内
年表
地名の言語別対応表
索引
前書きなど
はじめに
これから紹介するのは、今日、エストニア、ラトヴィア、リトアニアとなっている領域で、氷河時代から現在までの間に起きた出来事とその流れ、すなわち通史である。その意味では、『バルト三国の歴史』というこの本のタイトルは誤解を与えてしまったかもしれない。というのは、本書は、狭い意味でのこの三国の独立時代(一九一八~四〇年と一九九一年以降)の歴史のみを扱ったものではないからである。さらに付け加えれば、民族的な意味でのエストニア人、ラトヴィア人、リトアニア人の歴史だけを語る本でもない。本書を読み始めてもらえばすぐに明らかになるが、この三国が今日のようにバルト三国として一般に知られるようになることは、運命の定めではなかった。「バルト三国」は英語ではthe Baltic statesである。そのstatesの最初のsは「アメリカ合衆国」(The United States)とは異なり大文字で表記すべきものではない。また、バルカンにならって、バルト(Baltics)と省略すべきでもない。
しばしば「とても小さい」と形容されるにもかかわらず、バルト三国の中の最小国であるエストニアの領土面積は四万五二二七平方キロメートルであり、これはデンマーク、スイス、オランダといったヨーロッパの歴史ある国ぐによりもわずかに広い。しかしながら、これらの国と比べると、バルト三国は人口密度が低い。エストニアは、独自言語を使う国民高等教育制度と国家行政制度を有する国としては、大陸ヨーロッパの中で最小の国である。
(…後略…)
上記内容は本書刊行時のものです。