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ガーナを知るための47章 高根 務(編著) - 明石書店
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ガーナを知るための47章 (ガーナヲシルタメノヨンジュウナナショウ)

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発行:明石書店
四六判
308ページ
並製
定価 2,000円+税
ISBN
978-4-7503-3439-4   COPY
ISBN 13
9784750334394   COPY
ISBN 10h
4-7503-3439-1   COPY
ISBN 10
4750334391   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0336  
0:一般 3:全集・双書 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2011年8月
書店発売日
登録日
2011年8月1日
最終更新日
2012年2月20日
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紹介

チョコレートの商品名にもなっており、日本人なら誰もが名前だけは知っている西アフリカの国・ガーナ。近年、政治経済が安定し西アフリカの「優等生」として発展を続けるガーナの魅力を、歴史、社会、文化、日本との関係などの様々な面から紹介する。

目次

 はじめに

I 私たちとガーナ

第1章 野口英世とロックフェラー医学研究所の熱帯病研究――ガーナで没した日本の偉人
第2章 カカオ――チョコが結ぶガーナと私たち
第3章 日本に暮らすガーナ人――移民と日本人家族の生活
 【コラム1】ガーナ人ってどんな人たちなのか?
第4章 もう一つの絆――日本の対ガーナ公的援助(ODA)
 【コラム2】ガーナでよさこい踊り
 【コラム3】失われたオリンピック銅メダル――IOCへの復活の働きかけ
第5章 ガーナに進出する日系企業と日ガ貿易――原油生産と近年の動向
【コラム4】ガーナと世界を結ぶシアバター――アフリカの大地の恵み・アフリカ女性の誇り

II 自然と地理

第6章 自然環境――平坦な土地に広がる多様な植生
第7章 民族と言語――民族誌を読んで調査に出よう
第8章 動物と昆虫――暮らしの中の生き物たち
第9章 土壌と農林業――豊かな大地と農産物
第10章 天然資源――枯渇しつつある豊富な資源
第11章 北部の観光――北部の中心都市からガーナ最大の国立公園まで
第12章 南部の観光――白い雲、青い空、そして紺碧の海を行く

III 文化と暮らし

第13章 農村の生活――民族集団や外部環境に左右される農村生活
第14章 農産物の多様な流通形態――国内向け作物と輸出作物
 【コラム5】ガーナ人の名前
第15章 サッカー熱――ブラック・スターズはガーナの夢と誇りと情熱
第16章 エンターテインメント事情――ハイライフと映画と小説と
第17章 通信・IT事情――グローバル化の最前線
第18章 葬式天国――弔いの文化と人々
 【コラム6】アディンクラのシンボル
第19章 おしゃれは働く女性の誇り――服と飾りと髪型と
 【コラム7】吊るす? 並べる?――ガーナにおけるディスプレイ考
第20章 祭礼――祭りは結衆の原点である
第21章 乗り物――トロトロは行く、いつまでも、どこまでも
第22章 豊かなメニューと思いやり――食文化
第23章 「語り」とことわざ――ガーナの口承文化の粋

IV 社会と人々

第24章 王制社会や首長制社会の宝庫――新たなアフリカ歴史学の曙
第25章 伝統的首長制――近代化と共存する伝統的首長のいる暮らし
第26章 伝統的首長――エリート化で近代化に適応
第27章 伝統宗教、呪術と現代社会――ガーナ南部の精霊祭祀とオコンフォたち
第28章 キリスト教の多様な姿と人々の生活――西洋のキリスト教との違い
第29章 イスラーム教徒の信仰と生活――イスラームの規則正しい生活習慣?
第30章 エリート教育の歴史と伝統的な教育――コフィー・アナンの先達たち
第31章 教育――アフリカの学歴社会は教育格差を是正できるか?
 【コラム8】都会の子と田舎の子
第32章 都市と農村のつながり――人々のネットワークと都市の社会問題
第33章 病気との闘い――ウイルス研究者の見たガーナ

V 歴史

第34章 17世紀ごろまでのガーナ――北からはじまるガーナの歴史
第35章 奴隷貿易――オットバー・クゴアノのたどった道
第36章 現地エリートの登場――ガーナ初の法廷弁護士ジョン・メンサ・サーバー
第37章 皇太后が率いた反植民地戦争――アサンテ王国の皇太后ヤァ=アサンテワァと黄金の床几
第38章 イギリスによる植民地支配――ゴールドコースト植民地総督グギスバーグの国家整備事業
第39章 パン・アフリカニズムと独立闘争――海を越えた連帯
第40章 ガーナ独立の父エンクルマ――エンクルマの光と影
第41章 短期政権時代の混乱――アサンテ老人の回顧
第42章 ローリングス時代――救世主か、それとも独裁者か?

VI 世界の中のガーナ

第43章 ローリングス以降の時代――混乱の時代から安定の時代へ
第44章 民主主義の定着――2008年の大統領選挙
第45章 外交――国際社会とアフリカへの貢献
第46章 経済――21世紀はじめの10年と石油の発見
第47章 国外移住――頭脳流出から頭脳還流へ

 おわりに
 ガーナを知るための参考文献

前書きなど

 はじめに

 (…前略…)

 この本は、短い文章を集めたもので、どこから読みはじめていただいても構いません。とりあえず面白いと思うところからつまみ食いしてみてください。ただし、1冊読み終わったら、ガーナの政治、経済、社会、文化のいろいろな側面を過去、現在にわたって、だいたいのあらましを理解していただけるように構成してあります。全体は6部に分かれています。
 第I部は、日本に暮らしている私たちとガーナのつながりを、異なる切り口から示しています。野口英世、チョコレートの原料であるカカオのほか、日本に暮らしているガーナ人の様子や、ガーナに対する日本の援助、そして、日本とガーナの貿易関係について述べています。日本でもガーナの人に出会うことが珍しくなくなってきました。留学や仕事等で日本に暮らす人が増えたことは、日本とガーナの経済的、社会的なかかわりが増えてきていることを示しています。ガーナは、アフリカでは日本の援助の重点国の一つでもあります。そんな日本とガーナとのつながりを第I部では取り上げています。
 第II部は、ガーナの自然環境や地理について扱っています。ガーナの人々はどのような自然環境の中に生きていて、そこには、どのような生き物が生息しているのでしょうか。どういう土地に生活しているかは、そこに暮らす人々の農業をはじめとする生業の形態や作物、生活パターンや文化に影響します。ガーナは、人口2400万人程度で、日本の2割未満ですが、面積は日本の本州ぐらいあります。つまり、人口密度が低く、自然環境や土壌、資源などの条件が異なる多様な地域にさまざまな人が暮らしているのです。また、ガーナは観光資源も豊富です。南の海岸部には、奴隷貿易の拠点となった砦をはじめ、ヨーロッパ人とのかかわりを示す植民地時代の史跡などが多くあります。中部のクマシは、アサンテ(アシャンティ)王国の中心だった町で、王宮博物館をはじめ、王国の豊かな文化を感じることができます。そして、北部は、イスラームの影響が強い地域で、古いモスクなど、海岸部や中部とはまったく違った文化遺産があります。
 第III部は、ガーナの人々の文化と暮らしについて取り上げます。一つの国を理解するのに、政治や経済も重要ですが、人々が実際どうやって暮らしているのかが、私たちには一番身近な興味ではないでしょうか。ガーナは、古い王国の時代からの伝統ある織物や装身具などが今も生活の中に生き生きと残っています。それと同時に、新しい独自の音楽ジャンルがあったり、サッカーに夢中になったり、携帯電話でしゃべったりと、新しい文化や楽しみもたくさんあります。実際、ガーナに行って、そこの人々とつきあうと、彼らが身につけているもの、参加する行事、聞いている音楽、食べる物、朝起きてから寝るまでにやること、というのが、彼らを理解するためにいかに重要かがわかるのです。そして、そういう彼らの生活の側面を知ると、ますますガーナは身近で楽しい場所になるでしょう。
 第IV部では、ガーナの社会の成り立ちを知るために欠くことのできない宗教や伝統的首長制、町や村での暮らしなどについてお話しします。ガーナ人の半数程度はキリスト教徒ですが、北部はイスラーム教徒が多い地域です。また、中部や南部でも、都市には、イスラーム教徒が移住して集まって暮らしている地域があります。また、伝統的宗教も人々の生活に深く根づいています。ガーナの人々はとても信心深く、宗教は、彼らの日常の行動や行事、人とのつながりの根本に存在しています。
 また、ガーナには、この国がイギリスの植民地支配を経て独立し、国家となるずっと以前から、王を頂点として、位階の違う伝統的首長(チーフ)によって支えられている王国がいくつもありました。近代国家制度が導入され、選挙で代表が選ばれる議会や行政制度、裁判所などができた今も、伝統的首長制はガーナ人の生活の中に生き続けているのです。首長制とそれにまつわる慣習や人間関係を理解していないと、ガーナ人の社会のメカニズムはよくわかりません。第IV部ではまた、教育や保健医療など、人々が生活していくうえで必要な知識や健康を保つために、どのような活動が行われてきたかについてもお話しします。
 第V部は、ガーナの歴史を紹介します。先に、ガーナには、奴隷貿易の拠点になった砦がいくつも残されているといいました。西洋人の側からでなく、ガーナの人から見たら、奴隷貿易はどんな体験だったのでしょう。ガーナにはいくつも王国があったといいましたが、王国同士はどんなふうにかかわり合っていたのでしょうか。やがて、19世紀以降、イギリス人がガーナの王国を次々と支配し、植民地化が進みます。イギリス人が建設した植民地の中で、次第に、ガーナの人たちが、ヨーロッパ人の支配を排除して、自分たちで国を動かそうとしていくプロセスを追ってみましょう。そして、独立運動の英雄・エンクルマが初代国家元首となった時代から、クーデターがたくさん起きた1970?80年代、そして80年代後半に現れたローリングス大統領の時代までをこの第V部では扱います。
 第VI部は、現代のガーナの政治、経済、国際関係を概観しています。ガーナは、ローリングス大統領が任期を終えた後、二度の国政選挙において、大きな混乱もなく政権交代してきました。選挙に敗れた政党が敗北を認めず、騒乱が起きるということは、残念ながら、アフリカではしばしば耳にすることです。しかし、ガーナはこの試練を二度乗り越えました。
 また、ガーナは資源が豊富でもあります。資源輸出に依存していると、資源の国際市況に輸出収入が左右されやすいことが問題になっていますが、政治が安定し、また、油田が開発されていることもあり、ここのところ、急速に外国からの投資が進んできていて、経済も好調な兆しが見られます。
 日本を含む諸外国からの援助もたくさん入っていますが、同時に、政治経済が安定したガーナは、今後、行政改革や経済運営などの点で、西アフリカのモデルとしての役割も果たせるのではないか、と国際社会から期待もされています。

 さて、概要のご説明はここまでにしましょう。どの章からでも、あなたのガーナへの旅をはじめてみてください。そして、もっとガーナについて知りたいと思われた方は、巻末の「ガーナを知るための参考文献」も参考になさってください。もちろん、ガーナ行きの航空券を買いに走っていただくのもいいと思います。

   2011年7月  山田肖子

著者プロフィール

高根 務  (タカネ ツトム)  (編著

東京農業大学国際食料情報学部教授
在ガーナ青年海外協力隊、アジア経済研究所研究員(この間、ガーナ大学客員研究員、マラウイ大学客員研究員)を経て現職。
専攻:開発学、アフリカ地域研究
主な著書:
『マラウイの小農――経済自由化とアフリカ農村』(アジア経済研究所、2007年)
『ガーナ――混乱と希望の国』(アジア経済研究所、2003年)
『ガーナのココア生産農民――小農輸出作物生産の社会的側面』(アジア経済研究所、1999年)

山田 肖子  (ヤマダ ショウコ)  (編著

名古屋大学大学院国際開発研究科准教授
民間財団、国際開発コンサルタント、広島大学、政策研究大学院大学助教授を経て現職。コーネル大学修士課程(国際開発学)、インディアナ大学博士課程修了(アフリカ研究、比較国際教育学)。博士論文で、英領ガーナのエリート教育に関する言説を研究。教育をテーマに、歴史から現代、政策から実践まで幅広く研究している。
専攻:アフリカ研究、比較国際教育学
主な著書:
『国際協力と学校――アフリカにおけるまなびの現場』(創成社新書、創成社、2009年)
『アフリカのいまを知ろう』(編著、岩波ジュニア新書、岩波書店、2008年)
『産業スキルディベロプメント――グローバル化と途上国の人材育成』(共編著、日本評論社、2008年)

上記内容は本書刊行時のものです。