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内・外亡命者のあなたと私 ツェリン・オーセル(著) - 未來社
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内・外亡命者のあなたと私 (ナイガイボウメイシャノアナタトワタシ) 完結

文芸
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発行:未來社
A5判
縦210mm 横148mm 厚さ15mm
重さ 300g
208ページ
定価 2,800 円+税   3,080 円(税込)
ISBN
978-4-624-61045-6   COPY
ISBN 13
9784624610456   COPY
ISBN 10h
4-624-61045-8   COPY
ISBN 10
4624610458   COPY
出版者記号
624   COPY
Cコード
C0098  
0:一般 0:単行本 98:外国文学、その他
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2025年9月25日
書店発売日
登録日
2025年8月23日
最終更新日
2025年9月23日
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紹介

いまや『殺劫――チベットの文化大革命』で世界的に知られているチベットの詩人、作家ツェリン・オーセルのチベット人「国内亡命者」としての中国共産党独裁政権にたいする抵抗、民族の哀しみを歌い上げる詩と、同じく中国人でありながらその著作活動によって日本に「国外亡命者」として生きざるをえない劉燕子の詩を併録し、それぞれの亡命者としての立場から現代中国との矛盾と軋轢を提示する。あわせて二人の対話を収録してその表現者としての背景を語る。チベットの中国にたいする蜂起の根源を明らかにする、詩の形式を採った抵抗の文学。

目次

第一部 ツェリン・オーセル 詩十九篇(劉燕子訳)

末路!
一枚の紙でも一片の刃になる
祖国という言葉はほんとうに怖い
ここは隠語、暗号、ひそひそ話があふれかえっているところ
故郷【ホームランド】の火焔
おかしな言葉
いきなりポタラ宮が四方八方から強烈なビームで照らされた
チベット暦の土鼠年の痕跡
こんな詩なんて役に立たないけれど、ロサン・ツェパクに捧げたくて……
二〇〇五~二〇一一年――ただ炎だけが風に揺れて……
チベットの秘密――獄中のテンジン・デレク・リンポチェ、バンリー・リンポチェ、ロプサン・テンジンに献げる
疫病の年に――随想
「どこでチベットの天日塩が買えますか?」
段階――夢遊で自殺を企てる人に献げる
甦る――劉暁波へ
雪国の白
チベット断想(抄)

第二部 劉燕子 詩二九篇

チベットの秘密
握りしめ合う大雪
藍【あお】い雪は陽炎のように立っている――「六四」追悼
四季
香港六・四紀念館の閉鎖を想い
銅鑼湾書店の一匹の鼠
鄒幸?と香港市民に捧げる
消失了連儂墻【消えたレノン・ウォール】
ぼくらはまだ失踪してないぜ――香港詩人へ
何日君再来【フゥリィヂュンツァイライ】――鄧麗君【テラサ・テン】へ
羊の罪
香港人へ
四角なす伏せ字への讃歌
ヴィクトリアパークの灯光
詩人の逝った日――二〇一七年七月一三日
沈黙の力――劉霞へ
亡命する母語
自由
林昭【リンジャオ】に捧げる
鐵鏈八孩母【ティエンパァハイニュ】
A4の白い紙
自白書
失眠
荘子の胡蝶、ナボコフの胡蝶
蜜入り林檎
ぼくたちの失敗――森田童子を聞くソネット
何でもない日
手垢の染みた夕暮れ
返歌考

第三部 唇で踊る闇のハルモニア――解説に代えて
ツェリン・オーセル+劉燕子


出逢い
「チャイナ・モダニズム詩の延安」で
「詩人は神の申し子」として
アイデンティティの再形成
「六四」天安門事件を契機に
文学賞の受賞から発禁へ
「過関」を拒否して
独【ひと】りの詩人・私人として――「著述は亡命・祈祷・証人」

覚え書き(劉燕子)

著者プロフィール

ツェリン・オーセル  (ツェリンオーセル)  (

ツェリン・オーセル
 チベットの詩人・作家。1966年、文化大革命下のラサに生まれる。2003年、エッセイ集『西蔵筆記(チベット・ノート)』を出版したが、中共中央宣伝部と中央統一戦線部は「重大な政治的錯誤がある」と発禁処分を下し、さらに「自己批判」と政治的「過関」を求めた。これに対して、オーセルは「私は永遠に一仏教徒のチベット作家です」という表題の手紙を送り、「過関」は「作家としての天職と良心に背くもので、自分の選択に全責任を負う」と表明した。このため彼女は職場を追われ、自由が剥奪され、生活基盤を失い、ブラックリストに載せられて国内での発表の場から排除され、移動中の監視や尾行は常態で、自宅軟禁は幾度もあった。オーセルは国内亡命に追いこまれたが、「著述は亡命、著述は祈祷、著述は証人・祈祷・証人」をモットーに創作し続けている。中国国内で全く出版できず言論の自由の最後の砦である台湾で著書は20冊出版され、英語、フランス語、スペイン語などに訳され、邦訳は『殺劫――チベットの文化大革命』(劉燕子共訳)、『チベットの秘密』(同編著訳)などが刊行されている。

劉燕子  (リュゥイェンヅ)  (

劉燕子(リュウイェンヅ)
 現代中国文学者、詩人。湖南省出身。留学生として来日し、神戸大学大学院で学術博士を取得。大学で教鞭をとりつつバイリンガルで執筆活動を続ける。
 日本語の編著共訳に『黄翔の詩と詩想――狂飲すれど酔わぬ野獣のすがた』(思潮社)、『「言葉が殺される国」で起きている残酷な真実』(ビジネス社、楊逸との共著)、藤原書店から『天安門事件から「〇八憲章」へ』、『「私には敵はいない」の思想』、『中国が世界を動かした「1968」』、『「友好」のエレジー』、集広舎から『「〇八憲章」で学ぶ教養中国語』、『中国低層訪談録――インタビューどん底の世界』、『殺劫――チベットの文化大革命』、『チベットの秘密』、『フロンティアと国際社会の中国文化大革命』、『劉暁波伝』、『牛鬼蛇神録――獄中の精霊たち』、『マオイズム革命』、『人間の条件1942』、『不死の亡命者――野性的な知の群像』、書肆侃侃房から『劉暁波詩集――独り大海原に向かって』、『劉霞詩集――毒薬』、『テンジン・ツゥンドゥ詩集――独りの偵察隊』、白水社より『現代中国の精神史的考察』等。

上記内容は本書刊行時のものです。