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出版者情報
内・外亡命者のあなたと私
完結
- 初版年月日
- 2025年9月25日
- 書店発売日
- 2025年10月3日
- 登録日
- 2025年8月23日
- 最終更新日
- 2025年9月23日
紹介
いまや『殺劫――チベットの文化大革命』で世界的に知られているチベットの詩人、作家ツェリン・オーセルのチベット人「国内亡命者」としての中国共産党独裁政権にたいする抵抗、民族の哀しみを歌い上げる詩と、同じく中国人でありながらその著作活動によって日本に「国外亡命者」として生きざるをえない劉燕子の詩を併録し、それぞれの亡命者としての立場から現代中国との矛盾と軋轢を提示する。あわせて二人の対話を収録してその表現者としての背景を語る。チベットの中国にたいする蜂起の根源を明らかにする、詩の形式を採った抵抗の文学。
目次
第一部 ツェリン・オーセル 詩十九篇(劉燕子訳)
末路!
一枚の紙でも一片の刃になる
祖国という言葉はほんとうに怖い
ここは隠語、暗号、ひそひそ話があふれかえっているところ
故郷【ホームランド】の火焔
おかしな言葉
いきなりポタラ宮が四方八方から強烈なビームで照らされた
チベット暦の土鼠年の痕跡
こんな詩なんて役に立たないけれど、ロサン・ツェパクに捧げたくて……
二〇〇五~二〇一一年――ただ炎だけが風に揺れて……
チベットの秘密――獄中のテンジン・デレク・リンポチェ、バンリー・リンポチェ、ロプサン・テンジンに献げる
疫病の年に――随想
「どこでチベットの天日塩が買えますか?」
段階――夢遊で自殺を企てる人に献げる
甦る――劉暁波へ
雪国の白
チベット断想(抄)
第二部 劉燕子 詩二九篇
チベットの秘密
握りしめ合う大雪
藍【あお】い雪は陽炎のように立っている――「六四」追悼
四季
香港六・四紀念館の閉鎖を想い
銅鑼湾書店の一匹の鼠
鄒幸?と香港市民に捧げる
消失了連儂墻【消えたレノン・ウォール】
ぼくらはまだ失踪してないぜ――香港詩人へ
何日君再来【フゥリィヂュンツァイライ】――鄧麗君【テラサ・テン】へ
羊の罪
香港人へ
四角なす伏せ字への讃歌
ヴィクトリアパークの灯光
詩人の逝った日――二〇一七年七月一三日
沈黙の力――劉霞へ
亡命する母語
自由
林昭【リンジャオ】に捧げる
鐵鏈八孩母【ティエンパァハイニュ】
A4の白い紙
自白書
失眠
荘子の胡蝶、ナボコフの胡蝶
蜜入り林檎
ぼくたちの失敗――森田童子を聞くソネット
何でもない日
手垢の染みた夕暮れ
返歌考
第三部 唇で踊る闇のハルモニア――解説に代えて
ツェリン・オーセル+劉燕子
出逢い
「チャイナ・モダニズム詩の延安」で
「詩人は神の申し子」として
アイデンティティの再形成
「六四」天安門事件を契機に
文学賞の受賞から発禁へ
「過関」を拒否して
独【ひと】りの詩人・私人として――「著述は亡命・祈祷・証人」
覚え書き(劉燕子)
上記内容は本書刊行時のものです。
