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地域研究へのアプローチ 児玉谷 史朗(編集) - ミネルヴァ書房
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地域研究へのアプローチ (チイキケンキュウヘノアプローチ) グローバル・サウスから読み解く世界情勢 (グローバルサウスカラヨミトクセカイジョウセイ)

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A5判
284ページ
定価 3,000円+税
ISBN
978-4-623-09093-8   COPY
ISBN 13
9784623090938   COPY
ISBN 10h
4-623-09093-0   COPY
ISBN 10
4623090930   COPY
出版者記号
623   COPY
Cコード
C3031  
3:専門 0:単行本 31:政治-含む国防軍事
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2021年3月30日
書店発売日
登録日
2021年3月16日
最終更新日
2021年4月3日
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紹介

地域研究とは,フィールドワークなどを通じて,その地域の固有性を描き出し,他地域との比較をすることによって,世界をあらためて理解しようと試みる学問である。
テレビや新聞,インターネットのニュースでは,貧困,格差の拡大,移民・難民,紛争など世界各地の出来事が連日報道されている。本書では,いま日本にいる自分たちと世界の出来事とがどのように結びついているかを考えるために,その視点と具体的な方法を提示し,グローバリゼーションに伴う「グローバル・サウス」での諸問題を読み解く「地域研究」へのアプローチを紹介したい。

目次

はじめに


 第Ⅰ部 「地域」から「世界」へ――グローバル・サウスからのアプローチ

第1章 地域研究とグローバル・サウス――理論とそのアプローチ(児玉谷史朗・森口 岳)
 1 地域研究の可能性――グローバルな視野をもった地域研究 
 2 地域研究の理論とそのアプローチ 
 3 新しい地域研究の動向――国家を越えた「地域」による比較と総合性 
 4 本書の構成と利用の仕方 

第2章 地域研究のアプローチ――図書館とフィールドの間で(森口 岳・東 智美)
 1 地域研究の方法論――どこで,どのように,何をするのか? 
 2 ライブラリー・リサーチ――国情を調べ,新聞を読み,言語を学ぶ 
 3 フィールドワーク① 都市を歩く――デモ,暴動,貧困地域 
 4 フィールドワーク② 農村に「暮らす」――タイの暮らし,人々との関わり 
 5 地域研究へのアプローチ――図書館とフィールドの間で 


 第Ⅱ部 貧 困――グローバル・サウスの経済的形成

第3章 グローバル・サウスと「途上国」――途上国とは何か?(嶋田晴行)
 1 グローバル・サウスと「途上国」 
 2 現代において「途上国」とは? 
 3 経済成長とは? 
 4 経済成長による格差の解消 
 5 残る課題 

第4章 貧困の系譜と地域研究――「開発」の矛盾を克服するために(太田和宏)
 1 貧困概念の変容 
 2 「開発」の普遍化 
 3 貧困者の主体性 
 4 現代における地域研究 

第5章 貧困削減の機会か? 土地収奪か?――ラオス北部の中国企業のバナナ栽培が小規模農民の暮らしに与える影響(東 智美)
 1 グローバリゼーションと土地収奪 
 2 ラオスにおける中国企業によるバナナ栽培事業 
 3 調査地の概要とフィールド調査の手法 
 4 ケース・スタディ――S村のバナナ栽培事業に見る輸出用バナナ栽培事業拡大の要因 
 5 持続的な土地利用に向けて 


 第Ⅲ部 移民・難民――グローバル・サウスの越境する人々

第6章 ドイツにおける難民問題――ジェンダーの視点からの分析(権 慈玉)
 1 人の移動をドイツの難民問題から考える 
 2 「移民受け入れ国」ドイツ 
 3 「難民受け入れ国」ドイツ 
 4 ドイツにおける難民問題――ジェンダーの視点からの分析 
 5 ドイツの難民問題が私たちに教えてくれること 

第7章 「移民問題」「難民問題」の起源――ドイツ領南西アフリカ/ナミビアを中心に考える(柴田暖子)
 1 「移民問題」「難民問題」とは何か 
 2 ヨーロッパの拡張 
 3 人の移動からみる本国と植民地の関係 
 4 ドイツ植民地の消滅と人の移動 
 5 ナミビアの独立と人の移動 
 6 移民や難民が生まれる仕組み 

第8章 北の大地のベトナム人――技能実習生と北海道の地域社会について考える(設楽澄子)
 1 なぜ今,ベトナム人技能実習生なのか? 
 2 日本における外国人労働者受け入れの歴史 
 3 北海道に向かうベトナム人の「プル要因」と「プッシュ要因」 
 4 ベトナム人技能実習生の生活実態 
 5 技能実習生と地域社会 
 6 地域社会でのさらなる受け入れに向けて 


 第Ⅳ部 紛 争――グローバル・サウスにおける政治変動

第9章 紛争とはどんなものだろうか――アフリカの紛争から学ぶ(佐藤 章)
 1 紛争を学ぶことの意義 
 2 どんな紛争が起こってきたか――アフリカにおける紛争の歴史 
 3 どんなことが紛争では起こるのか――複合的な災厄としての紛争 
 4 どんな背景が紛争にはあるだろうか 
 5 どんな解決策があるだろうか 

第10章 実体と虚構のはざまを生きる――南スーダンの人々からみた「民族紛争」(橋本栄莉)
 1 「民族」とは誰/何か 
 2 歴史と民族 
 3 南スーダンで民族がつくられるまで 
 4 つくられた民族を人々はどのように生きるか 
 5 脱構築され,再創造される民族 

第11章 「沖縄問題」をつきくずす地域研究の視点――グローバル・サウスとしての沖縄(秋山道宏)
 1 「沖縄問題」としての米軍基地問題――なにが見落とされているのか 
 2 沖縄戦,占領,冷戦/熱戦――アジア・アフリカと「脱植民地決議」 
 3 「暮らし,生活する者の視点」からみたアジアの戦争――戦後占領と米軍基地 
 4 「沖縄問題」を超えて――グローバル・サウスの中の沖縄 


 第Ⅴ部 開 発――グローバル・サウスにおける国民国家の再編成

第12章 グローバル・サウスと開発援助――貧困削減レジームの変容を中心に(古川光明)
 1 国際開発援助システム 
 2 国際開発援助システムの変容 
 3 日本の開発援助の変遷と「貧困削減レジーム」 
 4 MDGsからSDGsへのタンザニアの開発援助受け入れ体制の変容 
 5 SDGs下でのグローバル・サウスと開発援助の課題 

第13章 地域研究をジェンダー化する試み――タイの事例から(江藤双恵)
 1 タイ社会とジェンダー 
 2 中央レベルの女性/ジェンダー政策 
 3 農村部における女性の動員 
 4 効果的な支援につなげるために 

第14章 国家再編成における教育政策と国際支援――モンゴルの事例から(ミャグマル アリウントヤー)
 1 地域研究の対象としてのモンゴル 
 2 1990年代以降のモンゴルの教育の位置づけ 
 3 モンゴルの教育改革と国際教育支援 
 4 教育と発展のゆくえ 


終 章 グローバリゼーション時代の地域研究――アフリカ二国比較地域研究序説(児玉谷史朗・森口 岳)
 1 グローバリゼーション時代の地域研究――比較地域研究という手法 
 2 地理的要因に基づく開発・発展モデル批判 
 3 社会経済指標を通した国の姿とその限界 
 4 地域としての東アフリカと南部アフリカ 
 5 ケニアとザンビアの共通点と相違点――植民地期から脱植民地化の時期 
 6 二国の共通点と相違点――1980年代以降の経済自由化と「民主化」 
 7 二国比較地域研究から見えてくるもの 
 8 グローバリゼーションとコロナの時代の地域研究 

おわりに 
索引 

◆地域研究と私のキャリア
 1 取材対象を理解するために――新聞記者の場合
 2 学問とキャリアをつなぐもの――食品マーケターの場合 
 3 クラシック音楽界とデリーのスラム,両方を行き来して見えること――音楽ライターの場合 
 4 ローカルとグローバルを結ぶための地域研究――NGO職員の場合① 
 5 開発援助に関わる実施者の視点――国連職員の場合 
 6 「美術」をアジアから問い直す――学芸員の場合 
 7 アフリカの手に掴まれて――開発コンサルタントの場合 
 8 今起きている問題をあなたとともに考えたい――NHK報道番組ディレクターの場合 
 9 外交官として――外務省職員の場合 
 10 現場でグローバル・サウスの視点を取り入れる努力と葛藤――NGO職員の場合② 
 11 地域の実情を出発点として――地方公務員の場合 
 12 固定観念を超えた先に――編集者の場合 
 13 様々な視点から理解する姿勢――JICA職員の場合 
 14 自文化と自言語の相対主義――日本語教師の場合

著者プロフィール

児玉谷 史朗  (コダマヤ シロウ)  (編集

一橋大学名誉教授

佐藤 章  (サトウ アキラ)  (編集

2021年3月現在
アジア経済研究所主任研究員

嶋田 晴行  (シマダ ハルユキ)  (編集

2021年3月現在
立命館大学国際関係学部教授

上記内容は本書刊行時のものです。