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デジタルの皇帝たち ヴィリ・レードンヴィルタ(原著) - みすず書房
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デジタルの皇帝たち (デジタルノコウテイタチ) プラットフォームが国家を超えるとき (プラットフォームガコッカヲコエルトキ)

社会科学
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発行:みすず書房
四六判
重さ 400g
376ページ
定価 4,000 円+税   4,400 円(税込)
ISBN
978-4-622-09723-5   COPY
ISBN 13
9784622097235   COPY
ISBN 10h
4-622-09723-0   COPY
ISBN 10
4622097230   COPY
出版者記号
622   COPY
Cコード
C0033  
0:一般 0:単行本 33:経済・財政・統計
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2024年8月16日
書店発売日
登録日
2024年7月9日
最終更新日
2024年8月2日
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書評掲載情報

2024-10-19 日本経済新聞  朝刊
評者: 岡田羊祐(成城大学教授)
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紹介

〈画面越しで虚空に向かって初めてメッセージを送り、短い小休止のあとに、見ず知らずの人から返事を受けたときは、わくわくした。黒いガラスにただ単色の文字が見えただけだったが……(本書第2章より)〉

テクノロジーと自由を誰よりも愛したサイバーリバタリアンのジョン・バーロウ、人々の信頼を裏切る中央当局を排除するために仮想通貨Bitcoinを世に放ったサトシ・ナカモト、完全な自由市場のはずが「ソ連2.0」へ傾くUberの創設者トラビス・カラニックとギャレット・キャンプ、宇宙にまで手をのばすAmazonの皇帝ジェフ・ベゾス……。これらデジタルプラットフォーム君主たちの野望や、栄光と蹉跌の経済学的メカニズム、そして彼らに抗った人々を、生い立ち・思想・行動の面から、ストーリーとデータで描く。デジタルテクノロジーを駆使する彼らが直面する、中世ヨーロッパやソ連の人々と共通の課題とは?
自由のためのプロジェクトが不自由をもたらすのはなぜか、君主への反乱の成否は何が決めるのか、デジタル帝国が強大な力を握ることの問題はなにか……。サイバーリバタリアンの理想が生んだ「雲の上の帝国」と、地上の国家の比較から、私たちがコントロールを取り戻す道筋を引きだす希望の書。プラットフォームも、国家も、重要なのは「制度」だ!

目次

第1章 序論
3000年の歴史が30年に/古代からある問題/祖先からのインスピレーション/本書の読み方

第I部 経済的制度
第2章 互恵主義――サイバースペースの黄金律
デジタルカウボーイ/一独立宣言/交換問題/協調関係の進化/電子マーケットでのトラブル/労働力のためのグローバル市場?/永遠の9月/形あるものの必要性

第3章 評判から規制へ――巨人の誕生
エコーベイ・ドット・コム/5分の5/封筒が詰めこまれた袋の山/恐喝メール/死人にレビューなし/ルールの世界

第4章 プライバシーのジレンマ――仮面舞踏会で秩序を維持する
ドレッド・パイレート・ロバーツの仮面/もっとも大胆で厚かましい試み/祝日のサプライズ/露わになった顔/プライバシーのジレンマ/仮想のパスポート

第5章 距離の死、境界の復活――サイバースペースの労働市場
距離の呪縛/「ハーバード卒と言ったところで……」/同じ労働、異なる賃金/サイバースペースのグローバル化/雲の上(クラウド)にあることの強み

第6章 中央計画自由市場――ソ連2.0のプログラミング?
人間の不完全性の排除/より「賢い」市場/アルゴリズムが市場になる/完全な市場/バッジとナッジ/ソ連2.0への夢中歩行/誰にとって最適なのか?

第II部 政治的制度
第7章 ネットワーク効果――デジタル革命家からエブリシング皇帝へ
打ち砕かれた野望/打ち上げ/デジタル革命/「いい意味で、平等主義」/「アマゾンは弱者をまた一人潰している」/司令官

第8章 クリプトクラシー――政治を技術に置き換える探究
信頼問題/シビル攻撃の阻止/もっとも危険なプロジェクト/機械の中のバグ/ソフトウェア・アップデート/利害衝突/ルール市場の崩壊/信頼できる中央機関/クリプトクラシーの興隆

第9章 集合行為 I――インターネット労働者は団結する?
疑似人工知能/ターカー・ネーション/アダルト・コンテンツ/「政府の人間が気にかけるには不十分」/万国のデジタル労働者/フリーライダー問題/「よくもまあ、弱者から搾取できるな」/プラットフォーム政治の到来

第10章 集合行為 II――デジタル中流階級の興隆
20ヵ国以上に散らばる顧客/ダビデ対ゴリアテ/「自分の会社を失ってしまう」/「チームを組んで大きな声を上げよう」/デジタル中流階級の興隆

第III部 社会的制度
第11章 デジタルセーフティーネット――プラットフォーム経済の社会保障と教育
技術的失業/グーグルによる認定/ほころびが目立つ福祉国家/デジタルセーフティーネットへの加入/観衆を引き付ける/アマゾンによるケア/人民か利益か

第12章 結論
大いなる裏切りを理解する/1 社会秩序の維持という課題/2 規模の問題/3 範囲の経済/4 中央計画経済の魅力/なぜプラットフォームは国家を超えるのか?/領土なき国家/デジタル単一市場の構築/デジタル暴君を退位させる/ルール市場の失敗/必要不可欠なインフラか、創造的な無秩序か?/プラットフォーム国家主義か、プラットフォーム協同組合主義か?/ブルジョア革命/デジタル憲法の草案/創業者への借り

謝辞
原注
索引

著者プロフィール

ヴィリ・レードンヴィルタ  (ヴィリレードンヴィルタ)  (原著

(Vili Lehdonvirta)
経済社会学者。オックスフォード大学教授。ソフトウェア開発者を経てトゥルク大学で博士号を取得。早稲田大学、東京大学、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス、一橋大学などで調査・研究・教育に従事し、現職。デジタル経済を中心に研究し、デジタル労働市場の分析でとくに高い評価を受けるほか、欧州委員会の専門家グループでも活動した。2024年よりアールト大学教授も兼任。邦訳されている著作に、エドワード・カストロノヴァとの共著『仮想経済のビジネスデザイン』(井川歩美訳、サイゾー、2020)。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

濱浦奈緒子  (ハマウラナオコ)  (

(はまうら・なおこ)
翻訳家。神戸大学国際文化学部卒業、英サセックス大学大学院開発学研究所修士課程修了(ジェンダーと開発学)。開発コンサルタント企業等で国際協力プロジェクトに従事したのち、翻訳家に転身。出版物のほかに、SDGs やサステナビリティ関連の翻訳を手がける。共訳書にアラン・スミス『フィナンシャル・タイムズ式 図解の技術』(ダイヤモンド社、2023)がある。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

上記内容は本書刊行時のものです。