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出版者情報
動物たちの家
発行:みすず書房
四六判
重さ 450g
336ページ
定価
2,800円+税
- 初版年月日
- 2021年8月2日
- 書店発売日
- 2021年8月4日
- 登録日
- 2021年6月25日
- 最終更新日
- 2021年7月26日
書評掲載情報
2021-12-25 |
東京新聞/中日新聞
朝刊 評者: 大竹昭子(作家) |
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紹介
犬、ハムスター、鳩、鶉…共に暮らした種々の小さな生き物たちの瞳や毛並、表情や行動の記憶が僕に語りかけてくる。『庭とエスキース』の著者による、新しい動物文学。
「この後、犬をはじめハムスターや野鳥や鳩やインコなどたくさんの生き物と暮らすことになるが、思えばこれが自分以外の小さな生命を胸で感じた最初の瞬間だったのかもしれない。子犬を抱き上げて力強い鼓動を感じ、小さな瞳を見つめたあの日の経験は知らぬ間に僕の胸のうちに“場所”を生んだのだと、今の僕は感じている。
それは、小さな生命が灯す光に照らされた場所だ。とてもきれいな場所だけれど、美しさだけに包まれているものでもない。生きることの根源的な残酷さや無常を孕み、もしかしたら小さな生命たちの墓所のような地なのかもしれない。僕が過去に出会い、ともに過ごした生き物たちはみなその生を終えてしまっている。僕の前で確かに存在していたあの生命たちはどこに消えてしまったかと、ときおり、遠い日に忘れてしまったものを急に思い出したかのような気持ちになる。でも、あの美しい針が居並ぶような艶やかな毛並みも、鮮やかな色彩のグラデーションが施された柔らかな羽毛も、ひくひくと震え続ける桃色の鼻先も、僕を満たしてくれた小さな生き物たちの存在は確かに消えてしまっていて、どこを見回しても見当たらない。それでも根気強く探し続けると最後にたどり着くのは、いつも胸のうちにあるこの“場所”だ」(本文より)
上記内容は本書刊行時のものです。