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マツタケ アナ・チン(著/文) - みすず書房
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マツタケ (マツタケ) 不確定な時代を生きる術 (フカクテイナジダイヲイキルスベ)

哲学・宗教
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発行:みすず書房
四六判
重さ 530g
488ページ
定価 4,500円+税
ISBN
978-4-622-08831-8   COPY
ISBN 13
9784622088318   COPY
ISBN 10h
4-622-08831-2   COPY
ISBN 10
4622088312   COPY
出版者記号
622   COPY
Cコード
C0010  
0:一般 0:単行本 10:哲学
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2019年9月17日
書店発売日
登録日
2019年8月8日
最終更新日
2019年9月11日
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書評掲載情報

2020-02-02 読売新聞  朝刊
評者: 三中信宏(進化生物学者)
2019-11-16 日本経済新聞  朝刊
評者: 中屋敷均(神戸大学教授)
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紹介

「本書は、20世紀的な安定についての見通しのもとに近代化と進歩を語ろうとする夢を批判するものではない。……そうではなく、拠りどころを持たずに生きるという想像力に富んだ挑戦に取りくんでみたい。……もし、わたしたちがそうした菌としてのマツタケの魅力に心を開くならば、マツタケはわたしたちの好奇心をくすぐってくれるはずだ。その好奇心とは、不安定な時代を、ともに生き残ろうとするとき、最初に必要とされるものである」
オレゴン州(米国)、ラップランド(フィンランド)、雲南省(中国)におけるマルチサイテッドな調査にもとづき、日本に輸入されるマツタケのサプライチェーンの発達史をマツタケのみならず、マツ類や菌など人間以外の存在から多角的に叙述するマルチスピーシーズ民族誌。ホストツリーと共生関係を構築するマツタケは人工栽培ができず、その豊凶を自然にゆだねざるをえない不確定な存在である。そうしたマツタケを採取するのも、移民や難民など不安定な生活を余儀なくされてきた人びとである。生態資源の保護か利用かといった単純な二項対立を排し、種々の不確定性が絡まりあう現代社会の分析にふさわしい社会科学のあり方を展望する。
「進歩という概念にかわって目を向けるべきは、マツタケ狩りではなかろうか」。

目次

  絡まりあう
  プロローグ 秋の香

第一部 残されたもの

1 気づく術
2 染めあう
3 スケールにまつわる諸問題

  幕間 かおり

第二部 進歩にかわって――サルベージ・アキュミュレーション

4 周縁を活かす

  フリーダム……

5 オレゴン州オープンチケット村
6 戦争譚
7 国家におこったこと――ふたとおりのアジア系アメリカ人

  移ろいゆきながら……

8 ドルと円のはざま
9 贈り物・商品・贈り物
10 サルベージ・リズム――攪乱下のビジネス

  幕間 たどる

第三部 攪乱――意図しえぬ設計

11 森のいぶき

  マツのなかからあらわれる……

12 歴史
13 蘇生
14 セレンディピティ
15 残骸

  ギャップとパッチで……

16 科学と翻訳
17 飛びまわる胞子

  幕間 ダンス

第四部 事態のまっただなかで

18 まつたけ十字軍――マツタケの応答を待ちながら
19 みんなのもの
20 結末に抗って――旅すがらに出会った人びと

  胞子のゆくえ――マツタケのさらなる冒険

  マツタケにきく――訳者あとがき
  本書で引用された文献の日本語版と日本語文献
  索引

著者プロフィール

アナ・チン  (アナチン)  (著/文

カリフォルニア大学サンタクルス校文化人類学科教授。エール大学を卒業後、スタンフォード大学で文化人類学の博士号を取得。フェミニズム研究と環境人類学を先導する世界的権威。おもにインドネシア共和国・南カリマンタン州でフィールドワークをおこない、森林伐採問題の社会経済的背景の重層性をローカルかつグローバルな文脈からあきらかにしてきた。著書にIn the Realm of the Diamond Queen: Marginality in an Out-of-the-Way Place (Princeton University Press, 1993), Friction: An Ethnography of Global Connection (Princeton University Press, 2004), The Mushroom at the End of the World (Princeton University Press, 2015)など、多数。

赤嶺淳  (アカミネジュン)  (翻訳

一橋大学大学院社会学研究科教授。専門は東南アジア地域研究・食生活誌学。ナマコ類と鯨類を中心に野生生物の管理と利用(消費)の変容過程をローカルな文脈とグローバルな文脈の絡まりあいに注目し、あきらかにしてきた。著書に『ナマコを歩く――現場から考える生物多様性と文化多様性』(新泉社、2010)『鯨を生きる――鯨人の個人史・鯨食の同時代史』(吉川弘文館、2017)『生態資源――モノ・場・ヒトを生かす世界』(山田勇・平田昌弘との共編著、昭和堂、2018)など。訳書にアナ・チン『マツタケ』(みすず書房、2019)など。

上記内容は本書刊行時のものです。