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明治知識人としての内村鑑三 柴田真希都(著) - みすず書房
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明治知識人としての内村鑑三 (メイジチシキジントシテノウチムラカンゾウ) その批判精神と普遍主義の展開 (ソノヒハンセイシントフヘンシュギノテンカイ)

哲学・宗教
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発行:みすず書房
A5判
512ページ
定価 7,500 円+税   8,250 円(税込)
ISBN
978-4-622-08533-1   COPY
ISBN 13
9784622085331   COPY
ISBN 10h
4-622-08533-X   COPY
ISBN 10
462208533X   COPY
出版者記号
622   COPY
Cコード
C3010  
3:専門 0:単行本 10:哲学
出版社在庫情報
不明
書店発売日
登録日
2016年7月14日
最終更新日
2016年10月1日
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書評掲載情報

2016-12-25 読売新聞  朝刊
評者: 月本昭男(旧約聖書学者、上智大学特任教授)
2016-12-18 読売新聞  朝刊
評者: 月本昭男(旧約聖書学者、上智大学特任教授)
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紹介

『代表的日本人』はじめ数々の著作をあらわした思想家、『万朝報』英文欄主筆、『聖書之研究』発行人、無教会主義の創始者にして伝道の人……内村鑑三について書かれたものは夥しい数があり、先行研究も数多くなされている。そのような対象に、かつてない方法的視点を据えて向かった刺激的な内村鑑三研究の成果が本書である。
西欧発の代表的な知識人論、E・W・サイード『知識人とは何か』とJ・バンダの古典的知識人論『知識人の裏切り』。それらに提示された知識人の諸性質、要請される責務を問題提起として、内村の多様な、時に矛盾するとも受け取られてきた言動を読み解いてゆく。
そこに浮かび上がってくるのは、exile=アウトサイダーのパースペクティヴをつねに持ちながら明治日本に世界市民として生きた批判的知識人の姿である。日清・日露戦争を経て、日本は政治的に、また道徳的にも激変を経験した。偏狭で実利的な愛国心言説の中で、時の権力・権威に言論をもって対峙し、国や民族といった所与の属性を超えた世界市民的精神の種を、地方や農村に生きる非政治的な民衆一人一人にまで蒔きつづけた内村鑑三の全体像を構築する

目次

凡例

序論 近代知識人論の問題意識から見た内村鑑三
第一節 研究の視座――新たな方法的視点からの内村研究に向けて
1 信の人・知の人
2 知識人論という方法――内村鑑三という事例
3 サイード知識人論の骨子
4 バンダ知識人論による補完
第二節 導入――思索者・内村鑑三をめぐる基礎的見解
1 科学性と実存性
2 書斎と実地
3 humanityとdivinity――二種の価値基準
4 一九世紀的教養と西洋古典研究

第一章 現状に対する異議申し立て
第一節 批評家としての活動とその影響
1 活動の概要
2 批判精神の魅力
(1)社会主義への橋渡し  (2)白樺派や教養主義的文化人への影響
3 内村における批判の様式とその基準
第二節 言論統制下の批評の技術
1 言論統制への意識と批判
2 言論統制への対策技術
(1)非政治性・非具体性  (2)黙示性  (3)逆説・反語の駆使  (4)言論統制の示唆とそれによるユーモアの創出
第三節 ドグマの軟化への挑戦
1 内村をめぐる各種のドグマ――政治・学問・宗教
2 自由な思索とドグマとの緊張関係

第二章 独立・自由・個
第一節 個人あるいは単独者であることの意義
1 自由・独立の宣伝者――経済的独立から信仰的独立へ
2 知的自由を守り抜こうとする姿勢
(1)真理の観点から  (2)正義の観点から
3 個人について語る覚悟  
(1)個人の力を説く  (2)偉人を語る
第二節 反「社会」思想
1 社会という怪物
2 反・社会主義と親・社会主義
(1)内村における社会主義  (2)社会主義との共鳴点  (3)初代教会とロバート・オウエン

第三章 亡命者・周縁者・アウトサイダー
第一節 exileの自覚
1 内村の亡命的足跡とその亡命者意識
(1)伝記的確認  (2)exileとしての他者への視線  (3)ダンテにみるexileの意義
2 再誕の故郷に向けて――故郷意識の揺れ
3 もう一つの故郷・アメリカ
(1)二度目の誕生の地(-1895年)  (2)「自由の郷土」としての準拠(1896-1903年)  (3)アメリカの変化とアメリカ評価の二分(1904-1912年)
第二節 異端への価値づけ――正統と異端の媒介者
1 誤解への着目
2 異端の自覚とその思索の跡

第四章 世界市民の立場からの告発
第一節 世界市民性への到達
1 世界市民としての自覚の形成
2 世界教会
3 世界市民としての教養と啓蒙
第二節 「愛国者」による「愛国心」批判
1 内村の愛国心理解の推移
2 愛国心批判の射程――愛国心という「日本教」批判
(1)「愛国心」を道具とした国民統合化の動きへの批判  (2)党派心や利己主義の系にある愛国心批判
第三節 社会改革の論理と倫理
1 革新の単位としての個人
(1)集団的・政治的改革論への批判  (2)個人からの改革――その出発点と終着点 (3)独立と自治からはじまる改革
2 社会運動における正義と公平さへのめくばり――足尾鉱毒事件をめぐって
(1)鉱毒事件をめぐる内村の足跡  (2)鉱毒事件をめぐる諸々の不公平さの告発
第四節 知識人の仕事としての聖書研究
1 内村における『聖書』の多様な意義づけ
(1)普遍的テキストとしての『聖書』理解  (2)聖書研究がもたらす普遍的諸価値への社会意識
2 知識人の社会事業としての聖書研究
(1)聖書研究という職分の発見  (2)聖書研究がもつ社会改革的底力への見通し

第五章 反政治的志向の知識人
第一節 抽象的真理の側からの現実主義批判
1 現実主義批判の諸相
2 政治化時代における反政治的姿勢
3 内村の政治理想
第二節 共和主義の展開
1 国家対正義――ドレフュス事件をめぐって
2 共和制支持の諸相
3 歴史における共和制への評価
(1)クロムウェルの共和政治  (2)オラニエ公ウィレムとオランダ共和国 (3)トランスバール共和国とオレンジ自由国  (4)アメリカの共和制体
4 反・明治天皇制国体の射程
(1)臣民意識の相対化(2)帝王崇拝批判
第三節 非戦論
1 「裏切り」の経験――日清戦争前・中の言論分析
2 非戦論確立への道

考察と結論
第一節 近代日本における一普遍主義者
第二節 「特定領野の知識人」かつ「普遍的知識人」として
1 『聖書』からの普遍主義
(1)パウロの普遍主義(Paul’s universalism)  (2)「預言者的個人主義」(profetic individualism)
2 内村における預言者像とその模倣的活用
(1)預言者とは何か  (2)預言者の愛国心と亡国論  (3)戦争と平和――預言者の平和主義
3 総括――〈普遍的特殊〉を思索の核とする知識人


参考文献
あとがき

著者プロフィール

柴田真希都  (シバタマキト)  (

東京大学教養学部卒業。2013年、東京大学大学院総合文化研究科博士課程(比較文学比較文化コース)単位取得退学。博士(東京大学、2014年)。日本学術振興会特別研究員を経て現在、国際基督教大学平和研究所助手。明治学院大学国際平和研究所研究員。専攻は比較比較文学比較文化論。著書に『明治知識人としての内村鑑三――その批判精神と普遍主義の展開』(みすず書房、2016年)、『南原繁と平和』(共著、EDITEX、2015年)、『矢内原忠雄』(共著、東京大学出版会、2011年)、論文に「内村鑑三における福澤批判と福澤評価――その総合的理解に向けて――」(『近代日本研究』32巻、2016年)、「見神と自然をめぐる思索と交錯――綱島梁川と内村鑑三」(『宗教研究』第85巻第1輯、2011年)、「矢内原忠雄による戦時下共同体の成立と展開――そのエクレシヤ観との関連に注目して」(『比較文學研究』第94號、2010年)他。

上記内容は本書刊行時のものです。