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映画講義 ロマンティック・コメディ
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- 初版年月日
- 2020年3月13日
- 書店発売日
- 2020年3月16日
- 登録日
- 2020年1月24日
- 最終更新日
- 2020年3月7日
紹介
身分ちがいの恋、誤解から生まれる恋、浮気を乗り越える男女の恋……。
多くを魅了するロマンティック・コメディは、時代とともにいかに変化してきたか。
このジャンルの名作に共通する物語の構造とは一体どのようなものなのか。
ロマンティック・コメディというジャンルの歴史的展開をふまえ、その魅力の源泉に迫る。
目次
《目次》
はじめに
第一章 ロマンティック・コメディの歴史的展開
一、無声映画時代
〈既婚者の幻滅〉からはじまる物語/三大喜劇王チャプリン、キートン、ロイド
二、トーキー最初期
プリ゠コード・コメディ/〈身分ちがいの恋〉という設定/メイ・ウェストの活躍
三、スクリューボール・コメディの誕生
結婚式から逃げ出す花嫁/イメージを確立したケーリー・グラント
四、スクリューボール・コメディの隆盛へ──一九三五~三八年
女王キャロル・ロンバード/幽霊がからむ恋愛喜劇/新聞・出版関係者が主人公の恋愛喜劇
誤解に基づく〈身分ちがい〉の物語/億万長者と詐欺師
五、第二次世界大戦初期──一九三九~四一年
スクリューボール・コメディの教科書『ヒズ・ガール・フライデー』/〈愛の永遠性〉というメッセージ
スクリューボール・コメディの暗黒化/ヒッチコックによる王道的作品
六、戦時下の映画──一九四二~四五年
アメリカがナチからヨーロッパを救う/さまざまな〈出征前の兵士〉/保守化するヒロインたち
七、戦後──一九四五~四九年
戦地から戻った男たち/夫を亡くした女性たちの孤独
八、セックス・コメディの時代へ──一九五〇年代
恋愛喜劇の変質/セックス・コメディというサブ・ジャンル
マリリン・モンローとオードリー・ヘプバーン/ヒッチコックのクロス・ジャンル
モンローからドリス・デイへ
九、新たな洗練と行き詰まり──一九六〇年代
時代に順応するビリー・ワイルダー/映画界の空気が変わった
性解放の流れに逆行する女性像/スター俳優とキャラクター/レイティング・システムの導入
一〇、ナーヴァス・ロマンスの時代──一九七〇年代
ラディカル・ロマンティック・コメディ/ユダヤ系映画のニュー・ウェイヴ『ふたり自身』
ナーヴァス・ロマンスの系譜/横溢する男女の裸体
一一、クロス・ジャンルの台頭、ロマンティック・コメディの復権──一九八〇年代
HIVの感染拡大/クロス・ジャンルの量産/若年層のロマンティック・コメディ
新時代のロマンティック・コメディ
一二、ネオ゠トラディショナル・ロマンティック・コメディの時代──一九九〇年代
よみがえる古典的作品/セックスよりも運命的な結婚
イギリス産のロマンティック・コメディ/LGBTが主人公の作品/変装・偽装の物語
一三、いっそうの多様化──二〇〇〇年代
恋愛不適格者による物語/〈身分ちがいの恋〉が九・一一後に集中
ファンタジー映画との融合/〈心を病む人々〉の恋愛/異人種間の物語
LGBT作品でも新視点を模索/存在感を増す高齢者
第二章 物語のパターンを分析する
一、身分ちがいの恋、極端に境遇の異なる男女の恋
王族・貴族と一般市民/富豪と一般市民/ギャップ/変則的なギャップ
シンデレラ・ストーリー/ピグマリオンもの
二、夫婦、恋人同士がベースとなる物語
復縁または再゠結婚/浮気を乗り越える男女
別れのあと、新しいパートナーと結びつく/恋人・配偶者のいる人物と〈運命の相手〉
三、変装・偽装の物語
何らかの事情による変装・偽装/男性が誘惑のために変装・偽装する
女性が別人格になる/異性装
四、意外な局面、異常な事態から生まれる恋愛
敵対から愛情へ/誤解から生まれる恋/打算的行為、噓からの恋
妊娠から生まれる愛/恋愛に無縁な男性の覚醒/ダメな女性の恋
心を病んだ人物の恋愛/遺産相続からの結婚/戦争がらみの恋愛
長い歳月を経て結ばれる/幽霊、先祖、天国、天使の関係する恋
五、セックス・コメディ
プレイボーイと真面目な女性/素朴な富豪とゴールド・ディガー
浮気願望の強い妻帯者と魅力的な女性/セックスが前提となる物語
六、ナーヴァス・ロマンス
七、異文化衝突の恋
外国人との恋愛/異人種・異民族間の恋愛
八、LGBTの恋
九、熟年の恋
一〇、群像劇
第三章 ロマンティック・コメディのつくりかた
一、物語構成
ロマンティック・コメディはどのような構造を持つか/七つの段階
『或る夜の出来事』の場合/『ローマの休日』の場合/『めぐり逢えたら』の場合
二、キャラクター
人物像に凝縮された〈成功の法則〉
1、女性主人公
最初期~第二次世界大戦中・戦後のヒロイン/一九五〇~七〇年代のヒロイン
一九八〇年代以降のヒロイン
2、男性主人公
最初期~第二次世界大戦中・戦後/セックス・コメディからナーヴァス・ロマンスへ
一九八〇年代以降
3、ヒロインとヒーローのバランス
4、〈ベラミー〉
5、助力者・助言者
おわりに──ロマンティック・コメディの未来に向かって
主要参考文献
映画原題・監督名一覧
上記内容は本書刊行時のものです。