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涙の箱 ハン・ガン(著) - 評論社
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涙の箱 (ナミダノハコ)

文芸
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発行:評論社
四六判
縦188mm 横128mm 厚さ8mm
88ページ
定価 1,500 円+税   1,650 円(税込)
ISBN
978-4-566-02489-2   COPY
ISBN 13
9784566024892   COPY
ISBN 10h
4-566-02489-X   COPY
ISBN 10
456602489X   COPY
出版者記号
566   COPY
Cコード
C0097  
0:一般 0:単行本 97:外国文学小説
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2025年8月15日
書店発売日
登録日
2025年7月1日
最終更新日
2025年8月7日
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書評掲載情報

2025-12-28 読売新聞  朝刊
評者: よみうり堂店主
2025-11-30 読売新聞  朝刊
2025-11-09 産經新聞  朝刊
評者: 嵯峨景子(ライター・書評家)
2025-10-25 朝日新聞  朝刊
評者: 石井美保(京都大学教授・文化人類学)
2025-10-04 東京新聞/中日新聞  朝刊
2025-09-27 毎日新聞  朝刊
評者: 角田光代(作家)
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紹介

ノーベル文学賞作家ハン・ガンがえがく、大人のための童話
この世で最も美しく、すべての人のこころを濡らすという「純粋な涙」を探して

 昔、それほど昔ではない昔、ある村にひとりの子どもが住んでいた。その子には、ほかの子どもとは違う、特別なところがあった。みんながまるで予測も理解もできないところで、子どもは涙を流すのだ。子どもの瞳は吸い込まれるように真っ黒で、いつも水に濡れた丸い石のようにしっとりと濡れていた。雨が降りだす前、やわらかい水気を含んだ風がおでこをなでたり、近所のおばあさんがしわくちゃの手で頬をなでるだけでも、ぽろぽろと澄んだ涙がこぼれ落ちた。
 ある日、真っ黒い服を着た男が子どもを訪ねてくる。「私は涙を集める人なんだ」という男は、大きな黒い箱を取り出し、銀の糸で刺繍されたリボンを解くと、大小、かたちも色もさまざまな、宝石のような涙を子どもに見せた。そして、このどれでもない、この世で最も美しい「純粋な涙」を探していると話す。男は子どもがそれを持っているのではないかと言うのだが――。

「過去のトラウマに向き合い、人間の命のもろさを浮き彫りにする強烈な詩的散文」が評価され、2024年にノーベル文学賞を受賞したハン・ガン。本書は童話と銘打ちながらも、深い絶望や痛みを描き、そこを通過して見える光を描くハン・ガンの作品世界を色濃く感じられる作品です。
 幸せな出会いが実現し、日本語版の絵はハン・ガン自身、長年ファンだったというjunaidaさんが担当。ハン・ガンが、「読者それぞれのなかにある希望の存在」としてえがいた主人公や、どこともいつとも特定しない本作の世界を美しく描き、物語とわたしたちをつないでくれます。
 2008年、韓国で発売され、本国では子どもから大人まで幅広い年齢層に愛されている本作。ハン・ガン作品との出会いにもおすすめの一冊です。

「きみの涙には、むしろもっと多くの色彩が必要じゃないかな。特に強さがね。
怒りや恥ずかしさや汚さも、避けたり恐れたりしない強さ。
……そうやって、涙にただよう色がさらに複雑になったとき、ある瞬間、きみの涙は
純粋な涙になるだろう。いろんな絵の具を混ぜると黒い色になるけど、
いろんな色彩の光を混ぜると、透明な色になるように」
―本文より―

涙をめぐる、あたたかな希望のものがたり。

著者プロフィール

ハン・ガン  (ハンガン)  (

1970年、韓国・光州生まれ。延世大学国文学科を卒業。1994年、ソウル新聞新春文芸に短編「赤い碇」が当選し、作家デビュー。2005年、『菜食主義者』(クオン)で李箱文学賞を、また同作で2016年にアジア人初の国際ブッカー賞を受賞。2017年、『少年が来る』(クオン)でイタリアのマラパルテ賞、2023年、『別れを告げない』(白水社)でフランスのメディシス賞(外国小説部門)、また同作で2024年、フランスのエミール・ギメ アジア文学賞を受賞。2024年、「過去のトラウマに向き合い、人間の命のもろさを浮き彫りにする強烈な詩的散文」が評価され、ノーベル文学賞を受賞。他に『引き出しに夕方をしまっておいた』『そっと 静かに』(以上クオン)、『ギリシャ語の時間』(晶文社)、『すべての、白いものたちの』(河出書房新社)、『回復する人間』(白水社)などが邦訳されている。

きむ ふな  (キムフナ)  (

韓国生まれ。韓国の誠信女子大学、同大学院を卒業し、専修大学大学院日本文学科で博士号を取得。日韓の文学作品の紹介と翻訳に携わる。訳書にハン・ガン『菜食主義者』、キム・エラン『どきどき僕の人生』、キム・ヨンス『ワンダーボーイ』、ピョン・ヘヨン『アオイガーデン』、シン・ギョンスク『オルガンのあった場所』(以上クオン)、孔枝泳『愛のあとにくるもの』(幻冬舎)など。共訳書にハン・ガン『引き出しに夕方をしまっておいた』(クオン)など。著書に『在日朝鮮人女性文学論』(作品社)がある。韓国語訳書の津島佑子『笑いオオカミ』にて板雨翻訳賞を受賞。

上記内容は本書刊行時のものです。