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児童労働撤廃に向けて
今、私たちにできること
- 初版年月日
- 2013年3月
- 書店発売日
- 2013年3月8日
- 登録日
- 2016年8月18日
- 最終更新日
- 2016年8月18日
紹介
児童労働は、全体として徐々に減少しているが、10代後半の子どもの危険有害労働が増加しているなどの新たな問題も生じており、より焦点を絞った対策が求められている。そのような状況下で、子どもやその雇用主のみならず、かれらの周囲にいる人々の意識や能力を高めるさまざまな形態の活動が実施されている。このような新しいアプローチは、これまでも児童労働撤廃に取り組んできた NGO によって採用されているのに加え、従来存在しなかった、認証タイプおよびアドボカシー・タイプの市民団体という新しいアクターの活躍によって、大きな力を得ている。国際機関も、児童労働撤廃のための規範形成や、その規範実現のための活動を、今なお活発に展開しており、それに加えて二国間協力が、児童労働撤廃に向けた新たな活力を与えている。さらには、これらのアクターの活動をすべて連動させるマルティ・ステークホルダー・アプローチが、地域ごとに機能する可能性が、ガーナのカカオ産業の例で示されている。
世界のすべての子どもに教育の機会を与え、かれらに人間的な「子ども期」を確保するための取り組みとして、新しいアクター、新しいアプローチが誕生し、新たな活力源となっているのは、非常に心強いことである。本書はこのような新しい動きを読者に伝えることにより、多くの人々の参加を促すことで、児童労働撤廃という世界目標が、さらに推進されることを期待するものである。
目次
序章 児童労働撤廃に向けた新しいアプローチ / 中村 まり、山形 辰史
はじめに
第1節 児童労働撤廃に取り組む新しいアクターと新しいアプローチ
第2節 児童労働の定義
第3節 児童労働の現状
第4節 本書の構成
おわりに
第1章 児童労働と子どもの権利ベース・アプローチ / 甲斐田 万智子
はじめに
第1節 子どもの権利ベース・アプローチとは
第2節 カンボジアにおける子どもの権利ベース・アプローチ
第3節 子どもの権利ベース・アプローチの手法
おわりに
第2章 児童労働撤廃に向けての国際機関の役割-経済搾取・有害な労働から子どもを保護するための多様なアプローチ- / 堀内 光子
はじめに
第1節 伝統的な役割:規範活動の強化-グローバル経済化の進展と人権の推進強化-
第2節 伝統的な規範活動-国際基準の監視・人権特別報告者制度等-
第3節 規範活動を補完する企業の社会的責任(CSR)
第4節 児童労働撤廃への実践活動
第5節 開発課題-児童労働撤廃のための教育の取り組み-
第6節 最悪の形態の児童労働
おわりに
第3章 開発途上国の児童労働撤廃に向けた先進諸国の取り組み / 入柿 秀俊
はじめに
第1節 二国間協力の手法
第2節 米国政府の取り組み
第3節 EU 諸国の取り組み
第4節 わが国の取り組み
おわりに
第4章 企業の社会的責任と児童労働-企業のかかわる児童労働撤廃活動のさまざまな形態- / 中村 まり
はじめに
第1節 企業行動と児童労働撤廃
第2節 途上国の生産現場での児童労働撤廃への試み
第3節 今後の課題と対応策
第5章 市場を律する市民社会-児童労働撤廃に向けた市民・消費者の取り組み- / 北澤 肯
はじめに
第1節 倫理的消費者運動と児童労働
第2節 消費者へ向けた取り組み
第3節 企業へ向けた取り組み
第4節 消費者と企業、双方への取り組み
第5節 労働組合への取り組み
まとめ
第6章 児童労働撤廃に向けたステークホルダー連携の意義とNGO の役割-カカオ産業におけるACE の取り組み事例より- / 白木 朋子
はじめに
第1節 カカオ産業における児童労働撤廃への取り組みを進めた国際的な背景とガーナの現状
第2節 ガーナのカカオ生産地における児童労働の事例と地域の状況
第3節 持続可能なカカオ農園経営と教育を通じた児童労働撤廃プロジェクト-おもな活動、成果、課題-
第4節 日本での消費者と企業を巻き込んだ取り組み
まとめ-ステークホルダー協働の効果とNGO の役割-
第7章 日本の児童労働-歴史にみる児童労働の社会・経済メカニズム- / 藤野敦子
はじめに
第1節 近世以前の児童労働
第2節 近代の児童労働
第3節 現代-戦後の児童労働(1945年以降)と児童労働禁止に関連する法制度の整備-
おわりに
上記内容は本書刊行時のものです。