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ミャンマー政治の実像
軍政23年の功罪と新政権のゆくえ
- 初版年月日
- 2012年3月
- 書店発売日
- 2012年3月19日
- 登録日
- 2015年8月20日
- 最終更新日
- 2015年8月20日
書評掲載情報
2012-12-09 |
毎日新聞
評者: 白石隆(政策研究大学院大学学長・国際関係) |
2012-04-29 |
毎日新聞
評者: 白石隆(政策研究大学院大学学長・国際関係) |
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紹介
1988 年、民主化運動とネーウィン体制の崩壊という衝撃のなかで登場したミャンマー軍政が、23 年という歳月をかけてめざしてきたものは、国軍をバックボーンとする国家体制の再構築であった。その実現に向け、軍政はあらゆる手段をつかって反政府勢力を封じ込めたり、懐柔したりしてきた。また、冷戦後の国際経済環境を巧みに利用しつつ、自らの権力基盤の強化を図ってきた。その過程でミャンマーは民主化の後れ、人権侵害の発生、少数民族問題の未解決、経済の低開発、宗教の政治利用、教育の劣化、難民や移民労働者の大量流出など、さまざまな問題に直面してきた。本書は軍政の権力基盤の強化の過程と、そこで引き起こされてきた政治的・社会的な負の側面の、両方を描いていく。
目次
まえがき
序章 ミャンマー軍政の23年-なにをめざし、なにを実現したか- / 工藤 年博
はじめに
第1節 国軍の国政関与の確立
第2節 和平の実現と危機
第3節 経済改革と権益拡大
第4節 近隣諸国との関係強化
第5節 本書の構成
おわりに
【コラム】ビルマVJ は何者か?
第1章 2010年ミャンマー総選挙結果を読む / 工藤 年博
はじめに
第1節 総選挙の概要
第2節 総選挙の結果
第3節 新政治体制
おわりに
【コラム】投票日のヤンゴン
第2章 国軍 -正統性なき統治の屋台骨- / 中西 嘉宏
はじめに
第1節 国軍の歴史
第2節 ポスト1988年の政治と国防
第3節 国軍の拡大と近代化
第4節 タンシュエのリーダーシップ
第5節 2011年の意義
おわりに
【コラム】 国軍内もいろいろ
第3章 軍政下の民主化運動と今後の展望 / 伊野 憲治
はじめに
第1節 民主化運動の展開と対立の構図
第2節 政治的対立構造の変遷
第3節 アウンサンスーチーの思想と政治姿勢
おわりに -民主化運動の今後の展望-
【コラム】 8888運動における民衆
第4章 ミャンマーの少数民族紛争 / トム・クレーマー
はじめに
第1節 民族紛争の背景
第2節 停戦合意
第3節 少数民族組織
第4節 少数民族の不満と希望
第5節 少数民族問題をめぐる最近の動き
おわりに
第5章 国境地域の少数民族勢力をめぐる中国・ミャンマー関係 / 畢 世鴻
はじめに
第1節 ネーウィン政権前の中緬関係
第2節 ネーウィン時代のCPBをめぐる中緬関係
第3節 CPBの崩壊と少数民族勢力の登場
第4節 少数民族勢力支配地域の麻薬撲滅をめぐる中緬両国の協力
第5節 終わらぬ中緬国境地域の民族紛争
おわりに
【コラム】旧ビルマ共産党本部「パンカン」での一日
第6章 ミャンマー軍政下の宗教 -サンガ政策と新しい仏教の動き- / 土佐 桂子
はじめに
第1節 宗教政策とその問題の布置
第2節 1980年改革以来のサンガ組織
第3節 サンガ組織への世俗権力の介入の方向性
第4節 仏教布教と仏教の新しい動き
おわりに
第7章 ミャンマー軍政の教育政策 / 増田 知子
はじめに
第1節 1988年以前の教育政策
第2節 矛盾する基礎教育政策
第3節 教育の非政治化をめざした高等教育政策
第4節 公教育を補完する新たな動き
おわりに -新政権下の教育のゆくえ-
【コラム】 教育現場の努力
第8章 ミャンマー人移民の問題 -越境する人的資源のゆくえ- / 山田 美和
はじめに -なぜ移民問題をとりあげるのか-
第1節 なぜミャンマーから移民が流出するのか
第2節 タイにおけるミャンマー人移民労働者
第3節 移民労働と人身取引問題 -ミャンマー政府による人身取引対策-
おわりに
【コラム】 ミャンマー人移民労働者の年末年始 -束の間の休みに-
最終章 ミャンマー新政権のゆくえ / 工藤 年博
はじめに
第1節 新政権の発足
第2節 新政権下でなにが起きているのか
第3節 なぜ改革は始まったのか
第4節 改革の評価と課題
おわりに
【コラム】 異説 -なぜ改革は始まったのか-
上記内容は本書刊行時のものです。