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水産物ブランド化戦略の理論と実践 婁 小波(編著) - 北斗書房
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水産物ブランド化戦略の理論と実践 地域資源を価値創造するマーケティング

発行:北斗書房
A5判
336ページ
並製
定価 2,800円+税
ISBN
978-4-89290-021-1
Cコード
C3062
専門 単行本 水産業
出版社在庫情報
品切れ・重版未定
初版年月日
2010年6月
書店発売日
登録日
2010年6月22日
最終更新日
2013年1月10日
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紹介

執筆者一覧
婁 小波(ろう しょうは)(序章,1章,21章)
波積真理(はづみ まり)(序章,2章,8章,15章)
日高 健(ひだか たけし)(3章,14章,20章)
中原尚知(なかはら なおとも)(4章,13章)
竹ノ内徳人(たけのうち なるひと)(17章)
宮田 勉(みやた つとむ)(19章)
木下 明(きのした あきら)(9章,11章)
浪川珠乃(なみかわ たまの)(5章,6章,7章)
原田幸子(はらだ さちこ)(10章)
李 銀姫(り ぎんき)(12章,16章,18章)

目次

まえがき
序章 価格競争からブランド競争へ
ブランド競争の時代/ブランドとブランド化戦略/ブランドの本質と意義/出て行くブランド・招き入れるブランド/10年かけて育てる

【総論編】
第1章 水産物ブランド化戦略の成立と意義
はじめに/水産物マーケティング活動を阻害する諸要因/水産物ブランド化戦略の成立/水産物ブランド化戦略の意義/おわりに

第2章 水産物ブランドの現状と分析の枠組み
水産物ブランドの現状/ブランドの類型/ブランド分析の枠組み~戦略・関係性・システム化

第3章 水産物ブランド価値の源泉
課題と視点/ブランド価値とブランド・エクイティ/水産物のブランド・エクイティ/まとめ

第4章 水産物ブランド化戦略における地域団体商標登録制度の意義と課題
はじめに/水産物ブランド化戦略の必要性と課題/地域団体商標登録制度の成立過程と意義/水産物ブランドにおける地域団体商標取得の現状/地域団体商標登録制度の課題

【実践編】
第5章 地域イメージ戦略としての「一本立ち歯舞さんま」ブランド化戦略
はじめに/歯舞地域および歯舞漁協の概要/ブランドサンマの概要と実績/ブランド化戦略の展開/ブランドの成立条件と課題

第6章 釧路市漁協「青刀さんま」のブランド化戦略―チャネル管理による高価格戦略―
はじめに/釧路地域および釧路市の水産業の概要/ブランドサンマの概要と実績/ブランド化戦略の展開/ブランドの成立条件と課題
第7章 厚岸漁協「大黒さんま」のブランド化戦略―直売所を活用したPR戦略の展開―
はじめに/釧路地域および厚岸町の水産業の概要/ブランドサンマの概要と実績/ブランド化戦略の展開/ブランドの成立条件と課題

第8章 第二創業期を迎えた「関さば・あじ」のブランド展開
大分県漁協佐賀関支店の組織概要/関さば・あじのブランド・マーケティング戦略/関さば・あじを核とした地域ブランド化/関さば・あじのブランド化をめぐる今後の課題と展望

第9章 共同出荷からの「松輪サバ」ブランド化戦略・・・・・137
はじめに/地区漁業の概要/ブランド化の背景~共同出荷の開始とその効果/ブランド化戦略の成立条件/「松輪サバ」のブランド化におけるマーケティング戦略/今後の課題

第10章 伝統的地域ブランドとしての「明石鯛」ブランド化戦略
はじめに/ブランド魚の概要/明石鯛の供給/ブランド化戦略/ブランドの成立条件と課題/今後の展開

第11章 大分県漁協姫島支店の「姫島かれい(マコガレイ)」ブランド化戦略
はじめに/地区漁業の概要とブランド化の経緯/ブランド化戦略の展開条件/「姫島かれい」のブランド化におけるマーケティング戦略/「姫島かれい」のブランド化を巡る今後の課題

第12章 「銚子つりきんめ」のブランド化戦略
ブランド魚の概要/ブランド魚の供給条件/ブランド化戦略の実態/ブランド化戦略の課題

第13章 ファミリー・ブランド化戦略の実態と課題―島根県浜田市「どんちっち」ブランドを事例に―
はじめに/ファミリー・ブランドの概念と事例地域の概況/浜田市におけるファミリー・ブランド化戦略の展開と組織構成/「どんちっち」のファミリー・ブランド化戦略と効果/おわりに-水産物におけるファミリー・ブランド化戦略の可能性と課題

第14章 官民一体で作った佐賀海苔®有明海一番
はじめに/佐賀県におけるノリの生産構造/佐賀海苔®有明海一番を導入する前の取組み/ノリ市場の動向と佐賀産のポジショニング/取組みの経過/ブランディングの内容/有明海一番の実績と導入効果/課題

第15章 「福岡のり」のブランド確立における課題と展望
福岡県有明海区ノリ生産の推移/「福岡のり」のブランド・マーケティング戦略/沖端漁協による福岡のりの製造直販の展開/福岡のりの今後の課題と展望
第16章 新潟県における水産物ブランド化推進支援戦略の実態と課題
はじめに/水産物ブランド化の推進支援戦略の概要/3.水産物ブランド化の実績と効果評価/水産物ブランド化推進支援事業の運営実態/水産物ブランド化の役割及び諸問題

第17章 愛媛県におけるブランド認定制度の実態と課題
愛媛県における地域ブランド認定制度の経緯ならびに背景/目的・目標/「愛媛産には、愛がある。」と『「愛」あるブランド』認定制度の概要/えひめ愛フード推進機構/えひめ愛フード推進機構におけるブランド認定制度ならびに運営実績/認定制度の実績と効果・評価/ブランド化戦略における認定制度の評価

第18章 千葉県における水産物ブランド認定制度の実態と課題
はじめに/ブランド認定制度の概要/ブランド認定制度の実績と効果評価/認定制度の運営実態/ブランド化戦略における認定制度の役割/認定制度の諸問題

【戦略編】
第19章 水産物ブランド化戦略の基本問題
ブランド化のための差別化要素/市場細分化/ブランド・エクイティ

第20章 水産物ブランド化戦略と地域活性化
はじめに/地域ブランドが持つ二つの側面/地域イメージのブランド化と地域活性化/個別ブランドと地域ブランドの相互作用/ブランド拡大のプラットフォーム/まとめ―地域産業連関プラットフォームの提案

第21章 水産物ブランド化戦略の展開特質
はじめに/水産物ブランド化戦略の基本条件づくり/水産物ブランド化の基本戦略づくり/ブランドの管理/おわりに

前書きなど

 1980年代以降日本の漁業者は国内市場において厳しい国際競争を強いられ、そして90年代に入ってからの「バブル経済」の崩壊や消費人口の減少などを背景に市場縮小局面に直面させられている。激変する水産物市場環境にどのような流通販売戦略をもって市場対応するか、これは、いわば漁業者に突き付けられた今日的な課題である。
 そうした中で、水産物ブランド化戦略が近年注目を集めている。ブランド・マーケティングの手法はパッケージグッズを中心に開発されたマーケティング理論に依拠して発展し、マーケティング・ミックスやポートフォリオ、あるいはイメージ優先型のPR活動などが多用されている。しかし、このような手法は農産物、あるいは水産物にストレートに適用しにくい側面もあることが指摘されている。他方、コミュニケーションを前提とする関係性マーケティングなどの出現は、ブランド・マーケティングにとってきわめて重要な理論的な依拠を提供しているが、農林漁業においてコミュニケーションのあり方や関係性の維持において独自の事情による影響もあることは多言を要しない。
 果たして、水産物ブランド化戦略を推進する上でどのような戦略的な枠組みが有効なのか。その答を模索するのが本書の狙いである。
 もっとも、本書は漁業生産者や漁協販売担当者あるいは水産行政担当者などの水産物流通販売の現場に携わる方々のために編まれることを当初の出発点としている。それゆえに、ブランド・マーケティングにかかわる厳密な理論的検討などについては敢えて避けることとしたい。まずは、個性豊かな水産物ブランド化の実践事例をスケッチすることを通じて、現場に潜む生の経験を抽出し、皆さまにお届けしたいと思っているからである。「理論と実践」を本書のタイトルとしているが、それはあくまでも現段階において得られた実践経験を抽出し、理論化する意図を示すものであり、本書は「理論化」よりは実践経験の分析に重点をおいている。
 以上のような問題意識を根底におきながら、本書ではできるだけ多角的な視点から多様な事例を検証していこうとしている。ただ、水産物ブランド化戦略が明確に意識され、重要視されるようになったのはつい最近のことであり、多くの事例においてはまだ試行錯誤的な域を出ない。その意味でも、いまのところ、われわれはまだ確たる水産物ブランド化戦略の理論を実践的に提供することはできない。しかしながら、われわれの願いはこの実践への検証を通じて、日頃ブランド化に取り組まれ、悩まれている現場の皆さま方に何らかのヒントや、実践可能な戦略的諸方策を少しでも提供することである。このような考え方にもとづいて、本書では以下のような章別構成をとっている。
 まず、<序章>「価格競争からブランド競争へ」では、水産物市場において価格競争からブランド競争への転換の必要性ならびにブランドやブランド化戦略をめぐる基本認識を確認する。
 次に、<総論編>では、水産物ブランド化戦略を展開する上で点検しておいたほうがよいと思われるテーマを取り上げ、四つの章を設けている。第1章「水産物ブランド化戦略の成立と意義」では、水産物市場において水産物ブランド化戦略が成立する背景やブランド化戦略の意義について検証している。第2章「水産物ブランドの現状と分析の枠組み」では水産物ブランドの現状と特徴を把握し、ブランド化戦略を分析するための基本的な枠組みを提示する。第3章「水産物ブランド価値の源泉」では、ブランド・エクイティの視点から水産物ブランドの本質とは何か、つまり水産物のブランド価値は何によって得られるのかについて検討を加える。第4章「水産物ブランド化戦略における地域団体商標登録制度の意義と課題」では、水産物の地域ブランドを支える制度的な枠組みの特徴と諸問題について検証している。
 以上のやや抽象的な検討を受けて、<実践編>では、水産物ブランド化戦略を精力的に展開している実践例を取り上げてその実態・特徴・課題などについて具体的に分析する。いま、水産物ブランドは多様な形で日本各地に分布している。水産物ブランドは、個別ブランド、ファミリー・ブランド、さらに地域ブランドなどに分類されうる。そこで本書では、極力多様な形態のブランド化事例をフォローできるよう、以下のような事例を取り上げている。個別商品ブランドとしては、「歯舞さんま」、「青刀さんま」、「大黒さんま」、「関あじ・関さば」、「松輪サバ」、「明石鯛」、「姫島かれい」、「銚子つりきんめ」、「佐賀海苔」、「福岡のり」などを、ファミリー・ブランドとしては「どんちっち」を取り上げている。そして、行政による水産物ブランド認定制度・支援制度として、新潟県、愛媛県、千葉県の三つの県での取り組み事例を取り上げている。
 最後に<戦略編>では、これまでの分析を踏まえて、水産物ブランド化戦略の特質と課題を分析し、今後新たにブランド化戦略に取り組もうとする際の経験をまとめることとしている。
 水産物ブランド化戦略に取り組んでいるすばらしい事例は多く存在し、本書ではそのなかのごく一部を取り上げて分析したにすぎない。それでも、本書では以上の作業を通じて、水産物ブランド化戦略を実践するためのヒントを提供しようとしている。本書は不十分な点がまだまだ多く、厳密に詰めなければならない点も多々ある。また、各執筆者の意見や考え方を敢えて無理に統一せず、それぞれの視点でもって分析をすすめてもらったために、必ずしも統一した考え方を提示しているわけでもないし、また現状ではその段階にあるとも思えない。それにもかかわらず、われわれが水産物ブランド化問題に関心をもって取り組んできたことの途中経過のようなものを敢えて公にさせていただいた理由の一つは、現場において水産物ブランド化戦略を実践されている方やこれから実践しようとしている皆さま方に少しでも、参考になりうる情報を提供したかったことである。読者諸賢のご教示を賜れば幸いである。

著者プロフィール

婁 小波  (ロウ ショウハ)  (編著

中国生まれ 京都大学大学院農学研究科博士後期課程修了 農学博士
現在、東京海洋大学海洋科学部海洋政策文化学科 教授
主な著書・論文:『水産物産地流通の経済学』学陽書房(1994年)、『持続的農業・農村への展望』(分担執筆)大明堂(2003年)、『マグロの科学―その生産から消費まで』(分担執筆)成山堂(2004年)、他

波積 真理  (ハヅミ マリ)  (編著

福岡生まれ 九州大学大学院博士後期課程単位取得終了 経済学博士
現在、熊本学園大学商学部 教授
主な著書:『一次産品におけるブランド理論の本質~成立過程の理論的検討と実証的考察』(白桃書房,2002年3月)など。

日高 健  (ヒダカ タケシ)  (編著

宮崎生まれ 九州大学農学部水産学科、慶應義塾大学経済学部、神戸大学大学院現代経営学科(MBA)終了 博士(水産学)
主な著書・論文:『都市と漁業』成山堂(2002年)、『都市と漁村』成山堂(2007年)、『マグロのフードシステム』(分担執筆)農林統計協会(2006年)、『養殖マグロビジネスの経済分析』(分担執筆)成山堂(2008年)、他
近畿大学産業理工学部経営ビジネス学科 准教授

上記内容は本書刊行時のものです。