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人を目撃した人 高 秉權(著) - 明石書店
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人を目撃した人 (ヒトヲモクゲキシタヒト) マジョリティの騒音を突きやぶる声の哲学 (マジョリティノソウオンヲツキヤブルコエノテツガク)
原書: 사람을 목격한 사람

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発行:明石書店
四六判
304ページ
並製
価格 2,900 円+税   3,190 円(税込)
ISBN
978-4-7503-6028-7   COPY
ISBN 13
9784750360287   COPY
ISBN 10h
4-7503-6028-7   COPY
ISBN 10
4750360287   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0010  
0:一般 0:単行本 10:哲学
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2026年1月20日
書店発売日
登録日
2025年12月8日
最終更新日
2026年2月13日
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書評掲載情報

2026-03-28 毎日新聞  朝刊
評者: 渡邊十絲子(詩人)
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紹介

わたしたちが暮らす地はどこですか? 障害者、移民、貧者、病人、非人間動物……。人間の資格を否認され、差別されてきたすべての者たちを「人」として目撃し、人びとの声を小さくする世間の騒音を突きやぶるために現場で闘い続ける哲学者の切実な叫びと障害者との連帯の記録。

目次

日本語版序文
プロローグ その日の踊りを記憶し

第一部 二度目の人

ツァラトゥストラの最初の連れ人
二番目の人、ホン・ウンジョン
デヴィッド・グレーバーの朝食
勉強する心情
貧しい者に仕えること
訴え

第二部 病んで申し訳ない人

卑下する苦痛の言語
人間等級に代わる人間点数
断食と空き缶
一四一日の剃髪式
「お前たちは人なのか!」
「迷惑だけかけた」

第三部 見えない人

見えないように働いて消えた人
善良な観覧者
行政の余力にかかっている生命
死の説教者たち
脱施設支援法を制定せよ

第四部 捕獲された人

不法滞在者が残した臓器
拷問の追憶
拷問の裏面
華城のグァンタナモ
捕獲の季節
移住民を追悼する先住民の踊り
強制徴用労働者 李興燮
ミヌ、どうか安らかに

第五部 ともに残った人

ともに生きなければならない
共同隔離を志願した活動家
この冬の身構え
かれが施設に残った理由
マックスはわたしの脱いだ体を見た
偽の鳥たちの巣
病んだ人びとの読書コミューン主義――ある「孤独」と「友情」について

第六部 闘う人

死んだ人の死なない言葉
貧しい者、かわいそうな者、危険な者
罪なき市民は罪がないのか
弱者から脱落する
「わたしたちは狂った」
封鎖された建物の窓の前で
著者イ・ギュシク
「一度は数のうちならず」――ある革命家の幼い頃の話

第七部 連帯する人

韓国障害者たちの闘争形象はどこからやってきたのか――障害解放烈士たちの貧しさと無知、品格なき遺言に対して
わたしたちが暮らす地はどこですか――障害者地下鉄デモのさい、景福宮駅での連帯発言
わたしたちは停車しない電車の前であまりにも長いあいだ待ちつづけてきた人びとです――障害者による通勤ラッシュ時間地下鉄デモのさい、三角地駅での連帯発言
わたしたちは歓迎されない場所で四〇〇日を過ごしています――障害者地下鉄デモ四○○日目、国会議事堂駅での連帯発言

エピローグ 助けてくれ!

訳者あとがき

前書きなど

プロローグ その日の踊りを記憶し

   1

 陽の昇らない冬の早朝。建物の屋上で、ある人が世界で最も悲しい踊りを踊っている。最初は隅で足を踏み鳴らしていたが、しだいに体を開いたり閉じたりして手をあわせている。そうしていると空に向かって頭を反らせ、二度三度手をふりまわす。そして片手を欄干にかけたまま、ずずっとくずれこむ。肩をすこし揺らし、欄干にかかった手で壁を思いきり叩く。それからふたたび起き上がり、体を正面に向けて叫ぶ。まわりの騒音のせいで声は聞こえない。そのときだれかが叫ぶ。「ここに人がいる!」二〇〇九年一月二〇日、ソウルの龍山の南一堂ビルの屋上、大きな炎の横に立っていたその人の身振りを忘れることができない。人は自分が見たことに耐えられないときにそのように踊るのだ。その人は人を目撃した人だ。その人は生の最後の堡塁として立てたやぐらで、仲間の撤去民〔再開発で追い出される人びと〕が燃え死ぬのを見た人だ。あらゆる修飾語―市民、路地の居酒屋店主、撤去民、さらには当時政府が貼りつけたテロリストという言葉まで―がすべて燃えた後、その言葉がつつんでいた「人」が燃えるのを見た人だ。
 真実の文章とは、おそらくこの人の踊りに近いだろう。出来事の衝撃でふるえている文章。自分が目撃した者の前で足を踏みしめて泣き、虚空に手をふりかざし、とうとうずずっとくずれこむ文章。わたしはわたしの文章がこの人の踊りに似ていてほしいと考えてきた。しかし一度もそんな文章を書いたことはない。それはわたし自身がそのような事件に巻きこまれるのではないかと恐れたからで、近くをのぞきこめばだれか助けてくれとふりまわしている手に袖でも摑まれるんじゃないかと恐れたからだ。結局わたしが書いたあれこれの文章とは、一歩離れてみて感じた惜しい気持ちに過ぎない。

 (…後略…)

著者プロフィール

高 秉權  (コ ビョングォン)  (

長いあいだ研究者たちのコミューンであるスユノモで勉強や講義を行い、障害者差別に抗って勉強や闘争をする「ノドゥル障害者野学」でも活躍した。現在は読むことに熱情を持つ人びとの空間「読むことの家」で活動している。ソウル大学社会学科で「西ヨーロッパにおける近代的貨幣構成体の形成」で博士学位を取得し、これまで二〇年ほど様々なテーマで著書を編んできた。ニーチェに関する研究書に『ニーチェ、千の目千の道』『ニーチェの危険な本、ツァラトゥストラはこう言った』『アンダーグラウンド・ニーチェ』『ダイナマイト・ニーチェ』があり、社会運動と民主主義に関する著書として『追放と脱走』『民主主義とは何か』『占拠、新しいガバメント』などがあり、様々な現場で人文学を勉強しながら浮かんだ悩みを込めたエッセイに『高酋長、本で世の中を語る』『「生きていく」』『哲学者と下女』(今津有梨訳、インパクト出版会、2017)『黙々』(影本剛訳、明石書店、2023)などがある。最近はマルクスの『資本論』を解説した『ブッククラブ資本』シリーズ(全12巻)を刊行した。現在は人間の限界ないし境界としての障害について研究している。

影本 剛  (カゲモト ツヨシ)  (

朝鮮文学専攻。大学非常勤講師。著書に『近代朝鮮文学と民衆』(春風社、2024)があり、訳書に李珍景『金時鐘 ずれの存在論』(共和国、2024)、キム・ボファ『ビジネス化する性暴力』(解放出版社、2024)、クォンキム・ヒョンヨン編『被害と加害のフェミニズム』(共訳、解放出版社、2023)、高秉權『黙々』(明石書店、2023)、金賢京『人、場所、歓待』(青土社、2020)、李珍景『不穏なるものたちの存在論』(インパクト出版会、2015)がある。

上記内容は本書刊行時のものです。