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デンマーク流「幸せの国」のつくりかた 銭本 隆行(著) - 明石書店
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デンマーク流「幸せの国」のつくりかた 世界でいちばん住みやすい国に学ぶ101のヒント

発行:明石書店
四六判
256ページ
並製
定価 1,600円+税
ISBN
978-4-7503-3669-5
Cコード
C0036
一般 単行本 社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2012年9月
書店発売日
登録日
2012年9月20日
最終更新日
2012年9月20日
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書評掲載情報

2012-11-04 産經新聞
2012-11-04 毎日新聞

紹介

幸福度世界第一位に輝いたデンマーク。その秘密は何なのか。日本が見習うべき点は? 現地在住で両国の交流にかかわるの著者が、デンマークの福祉、社会政策、教育、文化について、101のキーワードからやさしくコンパクト読み解く。

目次

 はじめに

1章 童話の国の姿
 1.冬は北海道より暖かい――北欧の最南端
 2.パンケーキの国――平らな国土
 3.バイキングの末裔――偉大な先祖
 4.かつては北欧帝国――国の起源
 5.どん底から繁栄へ――最小の国土から
 6.王室大好き――“世界最古”の王国
 7.高校生市議――18歳から成人
 8.童話の国――作家H・C・アンデルセン
 9.偉人輩出――実存主義から量子力学まで
 10.北欧デザイン――洗練されたシンプルさ
 11.豚肉とインスリン――ピンポイントで圧倒
 12.日本ではマイナーなスポーツが……――スポーツ事情
 13.風力に重点――原発なし
 14.自給率300%――農業大国
 15.高税――しかしハイリターン
 16.小国ながら強い企業が――福祉国家の経済
 17.民が稼ぎ、公が回す――3割が公務員
 18.フレキシキュリティー――理想的な労働力循環
 19.幸せな国――調査で連続1位

2章 ゆりかごから墓場まで
 20.出産費用は無料――手厚い少子化対策
 21.女性の就業率ナンバーワン――手厚い育児支援
 22.待機リストなし――子ども手当あり
 23.義務教育は10年――高校も無料
 24.有給休暇6週間とノー残業――守られた労働環境
 25.失業手当2年間分――セーフティーネットの充実
 26.ボールを間に落とさない――国民にソーシャルワーカー
 27.障害者は十分な年金――早期年金
 28.専門職のサポート――きめ細かい障害児・者支援
 29.医療費は無料――家庭医が門番
 30.早期退職年金――退職は自分で決める
 31.国民年金――税金からまかなわれる
 32.介護費無料――可能なかぎり在宅
 33.在宅死も可能――葬儀代も補償

3章 第一の人生・デンマークの子ども
 34.幼保一体――デンマークの保育施設
 35.角を矯めずに伸ばす――職員はサポーター
 36.Born skal kede sig――子どもに退屈を
 37.“6歳前後”で入学――成長に合ったサポート
 38.学校は楽しい――意見に間違いなし
 39.2本の足――知識と社会性
 40.教育場所は問わない――教育の義務
 41.通信簿はない――差をつけない教育
 42.ナショナルテスト導入――到達度測定
 43.多感な時期になにをする――日本文化コース
 44.高校生も自己決定――車で通学も
 45.民主主義を教える――決定への参加
 46.「予備校ってなに?」――医学部目指す高校生
 47.高卒後のモラトリアム――社会経験を積む
 48.教師も楽しい――相互交流の授業

4章 第二の人生・デンマークの成人
 49.くじによる徴兵制度――充実した“便宜”
 50.18歳になれば家を出る――経済的にも自立
 51.実力本位――進学と就職
 52.週37時間労働――うらやましい労働環境
 53.ストレスは余暇から――余暇は人生の大部分
 54.転職平均6回――ステップアップ
 55.教育と職業のリンク――途中で転換もあり
 56.社会人もやり直し可能――教育費無料+α
 57.スキルアップを支援――同時に生活保障も
 58.扶養に不安なし――生活保護で資格取得

5章 第三の人生・デンマークの高齢者
 59.入居待ちなし――市が保障
 60.アクティヴな暮らし――ケア付き住宅
 61.国民年金だけで生活――ごく普通の高齢者
 62.18歳で親離れ子離れ――しかし強い紐帯
 63.“思いやり訪問”で一人暮らし――ユボンさんの場合
 64.若者は働け――100歳の言葉
 65.制度には100%満足――ラスムッセン夫婦の場合
 66.高齢者3原則――人道面と経済性
 67.自分の能力は使い切る――自己資源の活用
 68.高齢者も成人!?――酒もたばこも
 69.3原則は融合――意識を超えた常識

6章 デンマークが抱える問題
 70.財政悪化と失業増加――市は悲鳴
 71.50%近い直接税――税金はやはり高い
 72.間接税、自動車税……――慎ましやかな生活
 73.結婚は紙の上での出来事――男女関係
 74.家庭環境は子どもへ影響――しかし、言い分はいろいろ
 75.深刻なアルコール問題――酒に寛容な陰で
 76.容易な麻薬入手――大陸国の難しさ
 77.若者の生活保護増加――スポイルされる若者たち
 78.はるかにモザイク国家――増える外国人
 79.文化の軋轢――手厚い支援の一方で……
 80.外国人に厳しい国へ――排斥の傾向
 81.多くの一軒家が警報装置設置――高い犯罪率
 82.増えたポッチャリ――“肥満”という病気
 83.手術へ長い行列――医療費無料の陰で

7章 幸せへの道のり
 84.1814年に義務教育――自立した国民へ
 85.対話を重視――国民高等学校
 86.弱小国の再起……――農協
 87.女性の社会進出と若者の反乱――デンマークの転換点
 88.社会保障のレベル維持――刺激を与える政権交代

8章 日本にいま必要なもの
 89.3つの姿勢――主体的な国民へ
 90.水注ぎ――自分でやる
 91.Excellent Service――無駄は省く
 92.これからは他人を放っておこう――悪しき他己決定
 93.連帯意識の募金――小さなころからの積み重ね
 94.自助社会――セーフティーネットが必要
 95.本来は互助社会――和の精神
 96.“民主主義教”――デンマーク人は大好き
 97.規則よりも対話――常識をもとに
 98.聞く力と話す力――話そう日本人
 99.不断の努力――悪い点は即座に直す
 100.誇れる国にしよう――日本の未来
 101.留学、移住情報――おまけ

前書きなど

 はじめに

 デンマークとかかわりはじめて20年になる。はじめて訪れたのは1992年の夏。大学5年のときだった。
 折しもバブル期。就職はどんな大企業でも可能といわれた。しかし、「自分はこのままでいいのだろうか」と若者にありがちな漠然とした悩みを抱えていた。自分に自信がなかったのかもしれない。同級生らが次々に就職を決めていくのを尻目に就職活動を早々にやめ、大学に居残った。そして5年時に休学し、ヨーロッパへ飛び出した。人々が他人を気にせずに生きているという西洋の個人主義に身を浸し、自分を再構築しようと思った。
 デンマークと出会ったきっかけは、些細な知人のささやきだった。
「デンマークに福祉、教育にかかわっている日本人がいるよ」
 デンマークで、デンマーク人の非行少年たちのための学校を開いていた千葉忠夫氏のことだった。ドイツ文学とビールにときめきを感じていた私は、ドイツを目的地としていたが、「ドイツのすぐ北だから言葉も似たようなものだろう」と再びささやかれた。来てみれば、言葉はまったく異なっていたが……。
「しばらく置いてもらえませんか」
 千葉氏に無理やりファクスを送りつけて頼み込み、転がり込んだ。ただの居候の私は、学校の庭仕事を手伝うなどして、食住分を“身体”で返しながら、ときおり、教育や福祉の現場をみさせてもらった。
 驚きの連続であった。学校の授業でほとんどの子どもたちが、教師にあてられることなく、手をあげて発言していた。放課後も学習塾に行くことなく、木に登り、野を駆けて遊びまわっていた。日本ではいつしか失われてしまったものがデンマークには確実にあった。
 大人たちは、年上だからと偉ぶるわけではなく、だれとも同じ視線で、同じ口調で老若男女と話していた。障害者も臆することなく、堂々と他人にものを申していた。
 高齢者の施設でも驚いた。日本の施設のように消毒の匂いはせず、高齢者はみな背筋を伸ばしていた。女性は化粧をし、男性はしゃれた帽子をかぶり、職員と対等に話していた。まだ知識も経験もなかった私だが、そのときの記憶は心に焼きついた。
 帰国後、新聞記者となり、日本の教育や福祉の現場をみてきたが、デンマークでみていたものと大きく違っていた。
 なにか日本には欠けているのではないか……。
 欠けたものを探り、日本へ伝える仕事ができないかと、職を辞して2006年にデンマークへ再び渡った。現在は、福祉、医療、教育を視察に来る日本人を受け入れている。
 こうしてデンマーク社会をみてきた感想として、日本は欠けているどころではなかった。デンマークは日本とは姿形がまったく異なっていたのだ。
 デンマークでは、子どもや障害者、高齢者という社会の中で弱者と呼ばれる人たちが、社会の競争原理からしっかり守られ、ゆっくりと幸せに暮らしている。社会で働いている大人も、挫折したり、不慮の事故に遭っても十分な保障を受けられる。
 そもそも弱者とは、社会にとってお金がかかる“厄介者”である。しかし、だれもが“厄介者”になる可能性はあるのである。こうした人たちが幸せに暮らせるようなセーフティーネットが存在していることは、社会の成熟度を示すものではなかろうか。
 明石家さんまが昔、「幸せってなんだっけ、なんだっけ」とCMで歌っていたが、答えは、不安を持たずに生きられる、ことであると私は思う。デンマークでは、弱者も含めてだれもが、少なくとも経済的かつ生活上の不安を感じることなく生きることが可能だ。
 デンマークの幸せぶりを裏付けるように、2006年と2008年のふたつの異なる幸福度調査でこの国は連続して世界1位に輝いている。
 では、デンマークとはどんな国なの? 日本とどう違うの? 日本はそうなれないの?
 読者のみなさんがそう思われるのは当然である。本書では、デンマークの実際の姿を紹介しつつ、日本が“幸せな国”になるために取るべき道を一緒に考えていきたい。

 2012年8月 デンマーク・ボーゲンセにて 銭本隆行

著者プロフィール

銭本 隆行  (ゼニモト タカユキ)  (

日欧文化交流学院学院長。
1968年広島市生まれ、福岡市育ち。早稲田大学政治経済学部卒業後、時事通信社、産経新聞社で11年間の記者生活を送ったあと、2006年にデンマークへ渡る。デンマークの国民高等学校「日欧文化交流学院」にて、福祉、教育、医療に関する研修を日本から受け入れたり、講演・執筆活動をしながら、デンマークの事情を日本へ伝えている。2011年に学院長に就任。

上記内容は本書刊行時のものです。