コロナ自粛下のイベント開催
今年5月に小社から出版した『「ひとり出版社」は人生の楽園』
の著者、山中伊知郎氏から本書の出版に際して、イベントでもやって盛り上げようか、との話をいただきました。
たまたま山中氏の高校の同級生がギャラリースペースのある書店(赤羽にある青猫書房)を経営していて、そちらが1週間単位で使えるということになり、本の展示も兼ねたイベントを7月末に開催することが決定しました。
最初は1週間持たせるのは少々ハードルが高いということで、山中氏がこれまでにお付き合いのある人を当たり、飯塚書店も独自で誰かに講演を頼むということでスタートしましたが、山中氏の多方面にわたる人脈の多さから1週間分がすぐに決まり、当社としてもお声掛けした方々の反応が良かったため、逆に1週間では足りないということになり、初めの1週間を山中氏、次の1週間を飯塚書店が受け持つということで、7月22日から2週間ぶち抜きでイベント開催する運びとなりました(実際は火曜日定休なので12日)。
山中氏のほうは知る人ぞ知るタレントから東洋医学の先生に至るまで多様な演目で、イベントとしては申し分なく、当方は小社のメインジャンルである短歌をテーマとした、特に最新刊の「短歌文法入門 改訂新版」
を編纂した日本短歌総研のメンバーの方々の歌集、短歌以外の創作物、小社の既刊歌集等々の展示と土曜、日曜日には朗読会、対談、メンバー独自の研究テーマの講演等で構成し、「日本短歌総研week」と銘打って、なかなか充実したラインナップ。ポスターも作って、これで何とかイベントらしい格好のつくものとなりました。
さて、淡々と経緯を綴っておりますが、この文章を読んでいただいている方々におかれましては複雑な思いが交錯されていることと拝察しております。当の私でさえ書きながらもなんとも微妙な気分でいるわけで、やっぱり「コロナ」に触れず文章を続ける訳には参りません。
今回の開催を決めた5月末時点では、コロナ禍もほぼ峠を越え、なんとなくフェードアウトしていってくれるのでは、などと正直、根拠のない希望的観測でおり、多少参加者を募ってもいいだろうと考えておりました。
ところが、収まるどころか、メディアの嬉々とした感染者数の発表と都知事選前の彼の御方の必要以上の露出もあいまって、リアルで人を集めるイベントなどは時期尚早な空気がそこここに漂い、メンバーからの考え直したらの声も挙がり、結果、控えめな告知だけで特に知り合い等に参加を募らない形でのイベントにすることとなりました。
前半担当の山中氏も参加人数を20名までと絞り、多少蒸し暑くても会場の窓を開けることで、その場をしのぐ作戦をとりました。だからといって効果があるのか無駄なのかは誰にもわからないわけですが……。
後半の小社に関しては、日本短歌総研メンバー6名の相互研究披露、講演の練習的な方向性に会の目的が移行して行きました。開催前日の設営では歌集への特価シール張りや展示場所の確保、写真や掛け軸等の設置をしながら和気あいあいと結束を強めていったものの、来たる1週間への期待と諦観があいまった、微妙な気分のなかで時を過ごさせていただきました。
そして当日は、「短歌と短歌文法の楽しさ」「短歌リーディング駅伝」「太宰治こぼれ話」「短歌用語辞典編纂あふれ話」「猛禽類の短歌」など、内容としては短歌を作るうえでの具体的な知識、普段なかなか聞けない裏話や専門性の高い話をたっぷり無料で拝聴でき、しかも貴重な歌集が特価で購入できることで、わずかながらも来ていただいた方々には大変喜んでいただきました。もとい、いただけたと思います。
それにしても、コロナです。
赤羽といえば一歩入ると、道路に突き出したテーブル席が軒並み連ねる居酒屋やレストラン、バーで賑わっているのに、打ち上げもできず、お疲れさまでしたの挨拶だけで、ほぼ持ち込んだ数と同等の書籍を乗せたキャリーを引きずり駅へと向かうこととなりました。
今回の私共のイベントなどは些細なことですが、死活問題の飲食店、プロ野球やコンサートなどのイベント関連の方々はどう日々を過ごしておられるのか、思いをはせたところでどうにもなりません。こんな宙ぶらりんな状況がどこまで続くのでしょうか? と書いたところで詮無き事ではあります。
そして、この文章もまさになんとも煮え切らない内容となってしまいました。誠に申し訳ございません。