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絶版新書のこと・共創出版プロジェクトのこと

 弊社は昨年より絶版新書シリーズを発行しています。絶版になっている本、あるいは絶版状態にある本の権利関係をクリアして、新規に加筆をしていただき復刊させるというコンセプトです。今まで発行したのは、以下の3点、現在進行中のものが2点あります。

2018年6月『広告に恋した男

2018年8月『ランニング登山

2019年1月『「ありえない」をブームにするつながりの仕事術

 このシリーズを出しはじめて、予想外に多くの方から自著の絶版本についてのご相談を受けることが多くなりました。ふだん語られることのない本の最後を知るたびに、やるせない気持ちになったりもします。出版を仕事している者と一生に1冊かもしれない著書にかける著者の想いの温度差に自分自身おおいに反省させられたりします。

 そんな経験から著者と一緒に作ることを強く意識するようなり、あるとき、絶版になった本を復活させられたらよいことではないかと思いました。探せば探すほどいい本が埋もれていることにも気づきました。ちょっとだけ考えてあとはノリで「絶版新書」というネーミングつけて出版することに決めたのです。出版社としてはありえないことかもしれないけれど、ジャンルをあえて限定しないのは、そうやって出会った本や著者には何か意味があると思うからです(昨年12月に絶版新書について書いたブログ)。

 ただ、きれいごとばかりいっていられません。このコンセプトでどう採算を合わせるかが考えどころです。のちに『「ありえない」をブームにするつながりの仕事術』の著者となる佐谷恭さんにクラウドファンディングを使っての本づくりを提案したところ、持ち前のチャレンジ精神で快諾していただきました。僕としては、佐谷さんの前著は絶版になっていたし、なにより「ありえない」と言われ続けたパクチー料理専門店を超人気店にした経験を世の人に伝えたいと思ったからです。おかげさまで、クラウドファンディングは最終日に多額のご支援をいただき成功しました(そのときのページはこちらです⇒https://camp-fire.jp/projects/view/91822)。

クラウドファンディングのときに作ったオンライコミュニティは200人以上の人たちが集まり、日々活発に活動しています。本を作る前も途中も作り終わってからも佐谷さんのイベントは目白押しで、本に関する感想も多数いただき、「あー、こういうフィードバックはいい」と思い、書籍ととにもコミュニティを作ることに大きな興味を覚えました。と、同時に、会社員の編集者として、売れた本を出しても気持ちが満たされなかった要因を改めて自覚したのです。同時に、出版業界の現状をきちんと伝えることも自分の仕事と思うようになりました。

今、取り掛かっているのは図解改善士多部田憲彦氏が代表理事を務める日本図解協会との図解✕絶版新書・共創出版プロジェクト。著者とつくり、読者とつくり、支援企業とつくる、というコンセプトで、事前に予約をいただくことで、支援者に本づくりにかかわってもらうというプロジェクトです。事前に支援をいただければ、著者が本当に書きたいことに注力できますし、著者は支援者とより強いつながりをもつことができます。本づくりによって無形資産ともいえるつながりを構築することもこのプロジェクトの大きな目的なのです。このプロジェクトはプレスリリースを出したところ、時事通信社、朝日新聞、産経新聞などに取り上げていただきました⇒https://www.jiji.com/jc/article?k=000000005.000035172&g=prt&fbclid=IwAR2WbxtpFUZPedeC6jKzYgNvmQl38iBJn9Mh-MB33XMoLZKob6uGEQYoYzQ
著者と編集者の間で本をつくる常識を持つ人には新鮮だったのかもしれません。絶版新書もまだまだこれからですが、クラウドファンディングも共創出版プロジェクトも小出版社だからやれること。著者とともにいろんな形の本づくりを挑戦していきたいと思っています。

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