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なるほど生成消滅演算子
- 初版年月日
- 2020年2月3日
- 書店発売日
- 2020年2月3日
- 登録日
- 2019年12月16日
- 最終更新日
- 2020年1月27日
紹介
■本書は「場の量子論」 への入門の入門書である。場の量子論は固体物理への応用、特に超伝導機構の解明に適用され大成功を収めた。それが、有名な BCS (Bardeen-Cooper-Schrieffer) 理論である。
■初学者が、「場の量子論」を学ぶ際に戸惑うのが、生成消滅演算子の存在であろう。 そこで、これら演算子がどのような経緯で、導入されたかを基礎から説明した。その基本は、調和振動子なのである。
■そこで、調和振動子の量子力学的取り扱いを紹介し、そのうえで、ハミルトニアンの因数分解によって、生成消滅演算子が導入された経緯を説明した。
■本書が、難解な「場の量子論」を学ぼうとする読者の参考になれば、幸いである。
目次
はじめに
第 1 章 調和振動子
1. 1. シュレーディンガー方程式の導出 13
1. 2. シュレーディンガー方程式の解法 17
1. 3. エネルギーの量子化 21
第 2 章 生成消滅演算子
2. 1. 調和振動子のシュレーディンガー方程式 24
2. 2. 演算子の因数分解 25
2. 3. 交換関係 26
2. 4. 基底状態の波動関数 29
2. 5. 生成消滅演算子 31
2. 6. 一般座標の演算子 36
2. 7. 生成消滅演算子の応用 42
2. 7. 1. 波動関数の導出 42
2. 7. 2. 線形結合 44
第 3 章 数演算子
3. 1. 状態の数表示 46
3. 2. 正規直交系 50
3. 3. 規格化 54
3. 4. 数表示と数演算子 63
第 4 章 物理量の期待値
4. 1. 期待値 65
4. 2. 演算子間の関係70
4. 2. 1. 位置および運動量の期待値 71
4. 2. 2. 位置および運動量の 2 乗の期待値 73
4. 2. 3. 不確定性原理 76
第 5 章 ボーズ演算子
5. 1. 交換子 80
5. 2. ボーズ演算子の行列表示86
5. 3. 重ね合わせの原理 91
5. 4. 指数演算子 93
5. 5. 多体系への応用 94
第 6 章 フェルミ演算子
6. 1. フェルミ粒子 102
6. 2. 多体系への応用 108
6. 3. 行列表示 117
第 7 章 多体系
7. 1. 複数の調和振動子 120
7. 2. 数演算子 127
7. 3. 数表示 128
7. 4. フェルミ粒子系 130
7. 5. 多体系と素励起 132
第 8 章 位置表示と運動量表示
8. 1. 位置表示の波動関数 135
8. 2. フェルミ粒子の多体系 140
8. 3. ボーズ粒子の多体系 149
第 9 章 格子振動と生成消滅演算子
9. 1. 結晶格子の振動 159
9. 2. 格子振動のハミルトニアン 166
9. 2. 1. 運動エネルギー 166
9. 2. 2. ポテンシャルエネルギー 172
9. 2. 3. 格子振動のエネルギー 178
9. 3. 格子振動の量子化 178
9. 4. 演算子の拡張 184
第10章 電子フォノン相互作用
10. 1. 結晶内の電子188
10. 2. 格子振動の影響 189
10. 3. 変形エネルギー 191
10. 4. 電子フォノン状態 194
10. 5. 行列要素 196
10. 6. 電子フォノン相互作用 197
10. 7. 3 次元への拡張 204
第 11 章 超伝導
11. 1. 超伝導とボーズ凝縮 209
11. 2. 電子対のシュレーディンガー方程式 211
11. 3. 電子対生成消滅演算子 212
11. 4. BCS 波動関数 218
11. 5. 超伝導状態のエネルギー 222
11. 6. エネルギー極小値 232
11. 7. BCS の仮定 238
11. 8. 最後に 243
補遺 ディラック記法
A1. ベクトルの内積 245
A2. 行列力学 247
A3. 外積 250
A4. 関数の内積 252
A5. 波動力学 253
A6. ディラック記法の抽象化 255
A7. 恒等演算子 257
A8. 位置座標の正規直交基底 258
A 9. フーリエ変換 260
A10. 生成消滅演算子 261
A10. 1. ボーズ演算子 261
A10. 2. フェルミ演算子 262
前書きなど
量子力学では、粒子であるはずの電子に波動性があるということを取り入れ、波動方程式が導出され、原子内の電子軌道の解明などに大成功を収めた。一方、波であるはずの光(電磁波)や、固体を形成する原子の振動(格子振動)を量子化して、量子力学を適用することで端緒を開いたのが、場の量子論である。
しかし、その全体像を紹介することは至難の業である。そこで、本書では、生成消滅演算子に注目し、その基礎と、実際にどのような応用があるかを紹介している。「場の量子論」が脚光を浴びることになった超伝導機構の解明に、これら演算子がどのように適用されたかについても簡単に解説を試みた。
本書が、難解と呼ばれる「場の量子論」を学ぼうとする読者の参考になれば幸いである。
版元から一言
好評・独習書「なるほど」シリーズ22冊目
上記内容は本書刊行時のものです。