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「戦後日本」とは何だったのか 松浦 正孝(編集) - ミネルヴァ書房
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「戦後日本」とは何だったのか (センゴニホントハナンダッタノカ) 時期・境界・物語の政治経済史 (ジキキョウカイモノガタリノセイジケイザイシ)

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A5判
縦216mm 横150mm 厚さ44mm
重さ 1050g
708ページ
定価 8,500円+税
ISBN
978-4-623-09716-6   COPY
ISBN 13
9784623097166   COPY
ISBN 10h
4-623-09716-1   COPY
ISBN 10
4623097161   COPY
出版者記号
623   COPY
Cコード
C3021  
3:専門 0:単行本 21:日本歴史
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2024年2月28日
書店発売日
登録日
2024年2月11日
最終更新日
2024年3月2日
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書評掲載情報

2024-04-14 読売新聞  朝刊
評者: 清水唯一朗(慶應義塾大学教授・政治学者)
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紹介

「戦後日本」は戦前・戦争とどうつながり、どう変わったのか。そしてどのように変遷して「今」に至ったのか。本書では、政治史・外交史・経済史・政治学・憲法学といった分野の第一線で活躍する研究者が結集、これまで見過ごされて来た問題を発見し、徹底した議論と多角的アプローチにより、かつてない立体的な「戦後日本」像を描き出す。「戦後日本」に多方位から光を当て、新たな煌めきと陰影を歴史の中に定位させる壮大な共同研究の成果。

目次

序 章 「戦後日本」を今、問う意味(松浦正孝)
 1 「戦後日本」プロジェクトの趣旨
 2 「時期」区分論の重要性
 3 「戦後日本」の「空間」を論じる意味
 4 「戦後日本」についての言説の再検討


 第Ⅰ部 「戦後」という時期をめぐる理論・俯瞰

第1章 「戦後」の諸相(空井 護)
 1 対象と課題――「戦後」の複数性
 2 〈ゼロ戦後〉――辞書的な意味での「戦後」
 3 〈戦後Ⅰ〉――戦争を否定する「戦後」
 4 〈戦後Ⅱ〉――戦争が成り立たせる「戦後」
 5 〈戦後Ⅲ〉・〈戦後Ⅲ+〉――戦前を意識する「戦後」
 6 「戦後日本」をめぐって

第2章 戦後東アジアの経済発展と日本――「東アジアの奇跡」論を超えて(堀 和生)
 1 なぜ高度成長が相次いだのか?
 2 東アジアにおける国際分業の再編成
 3 貿易増加と結びつく内包的な工業発展
 4 小規模工業の拡大と定着
 5 東アジアの発展経験のゆくえ

第3章 人新世のなかの戦後日本――地球と地域とからみる(小堀 聡)
 1 新しい時期区分の登場
 2 人新世はどういう「時代」か
 3 エコロジカル・フットプリントからみる戦後
 4 地域にみる人新世
 5 大加速を畳む


 第Ⅱ部 戦争の延長としての「戦後」――組織と境界

第4章 日独占領政策の「連関」――W・ドレイパーの軌跡(河崎信樹)
 1 問題の所在
 2 ドレイパーとドイツ占領政策
 3 ドレイパーと日本占領政策
 4 その後のドイツ占領政策とドレイパー
 5 ドレイパーと戦後日本

第5章 戦後改革と日本官僚制の近代化(前田健太郎)
 1 日本官僚制の時期区分
 2 戦後改革と日本官僚制
 3 官僚制の近代化
 4 発展途上国のための行政学
 5 戦後官僚制改革の忘却

第6章 海軍軍人の戦後史――組織・重工業・防衛(山縣大樹)
 1 戦後史研究と旧帝国海軍
 2 第二復員省と職員の特徴
 3 掃海部門の分派と海上保安庁の発足
 4 海上自衛力の造成と発展

第7章 「日留」と「米留」――人的資本形成をめぐる戦後沖縄史(溝口 聡)
 1 沖縄にとって戦後とは
 2 日留制度
 3 米留制度
 4 復帰後の留学制度
 5 終わらない戦後

第8章 戦後日本における日系二世兵士の軍事神話の興隆――(反)人種主義と民主主義のシンボリズムと再軍備問題(東栄一郎)
 1 占領史における白人至上主義――戦時アメリカの人種問題との連続性
 2 人種問題とアメリカニズムの再定義――アメリカの社会言説における二世兵士の英雄化の起源
 3 海軍占領下の日本における二世兵士の表象
 4 日本における再武装問題と二世軍人の英雄化――「逆コース」と日本的血統至上主義
 5 占領期の大衆文化における二世兵士神話の浸透
 6 東京都主催大園遊会と二世兵士英雄談の日本化の終局


 第Ⅲ部 外交・貿易・安全保障における「戦後」――日本の対外関係

第9章 帝国の遺児たちの戦後――引揚者団体における政治運動の特異性(加藤聖文)
 1 引揚者団体による政治運動とは
 2 全国樺太連盟に見る政治運動の特異性
 3 在外財産補償要求運動と台湾引揚者
 4 引揚者団体による政治運動の終焉と帝国の清算

第10章 憲法・戦後・脱植民地化(石川健治)
 1 問題状況
 2 大正帝国主義/大正コロニアリズムへの途
 3 結合・分離・創造
 4 帝国国法秩序の解明
 5 脱帝国化あるいは脱植民地化の憲法学的構成
 6 未完の脱帝国化/脱植民地化――光華寮訴訟

第11章 「吉田ドクトリン」論再考(保城広至)
 1 「吉田ドクトリン」とは何か?――その起源と先行研究
 2 「吉田ドクトリン」修正主義
 3 「吉田ドクトリン」を形成する因果関係の検討
 4 なぜ「吉田ドクトリン」は生まれ、そして定着したのか

第12章 日本の経済的自立とアメリカ外交(小野沢透)
 1 経済的自立への経路――問題の所在
 2 アイゼンハワー政権の対日経済政策の形成
 3 緊縮政策とアメリカ
 4 高度経済成長と日米関係の変容
 5 経済的自立と「戦後」日米関係――むすびにかえて

第13章 「戦後外交」の再検討(白鳥潤一郎)
 1 日本外交における戦前と戦後
 2 「戦後外交」と吉田茂論
 3 過渡期としての1950年代
 4 「戦後処理」外交の時代
 5 ポスト「戦後処理」時代

第14章 「産業の国際競争力」の戦後史――量産型機械工業を中心に(中島裕喜)
 1 産業の国際競争力からみた戦後の日本
 2 価格競争優位の時代――1950~60年代
 3 メイド・イン・ジャパンの市場制覇
 4 「戦後」後における構造転換
 5 問い直される「戦後」産業史


 第Ⅳ部 「戦後」の統治制度と原理・運用・利益――憲政とデモクラシー

第15章 「戦後日本」における選挙制度の選択――決定的分岐点としての第22回総選挙(孫 斉庸)
 1 問題意識――二つの異なる「中選挙区制」
 2 選挙制度の選択を説明する理論と日本の事例
 3 「比例代表制」という理想と「大選挙区単記制」
 4 終戦直後の選挙制度選択に見られた連続性
 5 公職追放が選挙結果に与えた影響と保守政党の動揺
 6 緊急避難としての「中選挙区制」
 7 比例型選挙制度という選択肢と「戦後日本」

第16章 「戦後」前期の女性国会議員(松浦正孝・孫 斉庸)
 1 女性国会議員という視点から見た「戦後」
 2 「戦後」という時期をどう見るか
 3 「身代り候補」という論点をめぐって
 4 教員出身者という特性
 5 女性参政運動のネットワーク
 6 女性の国政進出と超党派ネットワークの行方

第17章 日銀法改正と戦後――内部資料にみる中央銀行の独立(軽部謙介)
 1 戦時立法からの脱却と日銀
 2 日銀法改正までの経緯と背景
 3 日銀法改正の論点
 4 政策展開の実証的検証が課題に

第18章 全日本商店街連合会の圧力団体化と流通政策――商業まちづくり政策の源流をめぐって(満薗 勇)
 1 戦後日本の商店街と政党政治
 2 組織と活動の概況
 3 街路灯とアーケードの「公共性」
 4 商店街振興とまちづくりの論理

第19章 戦後日本政治における職業的な利益と地域の利益――中小企業と商店街を中心に(砂原庸介)
 1 自民党の包括政党化という画期
 2 政党間競争と職業的な利益
 3 職業的な利益に基づく政党の可能性――農業と中小企業
 4 国会における中小企業・商店街
 5 職業的な利益から「地元利益」へ

第20章 共産・公明両党対立の歴史的岐路――終わらぬ「戦後」政治の背景(中北浩爾)
 1 なぜ日本政治の「戦後」は終わらないのか
 2 言論出版妨害事件と公明党の左旋回
 3 社公共路線への傾斜と憲法論争
 4 創共協定の締結から空文化へ
 5 崩れない自民党優位、終わらない「戦後」政治


 第Ⅴ部 社会・家族・環境から見た「戦後」――暮らしの設計と経済

第21章 「戦後」主婦の自画像――役割への自負と葛藤(倉敷伸子)
 1 家族史からみた「戦後」
 2 主婦の計量的把握
 3 戦後経験と主婦
 4 再定義される主婦役割
 5 高度成長と主婦の自画像
 6 「戦後社会」と主婦の歴史性

第22章 戦後財政史における1970年代――「平等」で小さな政府への転回(高橋涼太朗)
 1 戦後財政史における1970年代の位置づけ
 2 財政硬直化打開運動と「高福祉高負担」
 3 1970年代後半における公共投資の拡大
 4 戦後財政史における「平等」で小さな政府の射程

第23章 日本的雇用システムにおける女性/パートタイム雇用(金井 郁)
 1 日本的雇用システム論の課題
 2 マクロ統計からみた女性/非正規雇用の特徴と変化
 3 男女雇用機会均等法と雇用管理区分
 4 パートタイマーの処遇をめぐる政策的な議論の展開
 5 政策による女性/非正規雇用の処遇格差の合理化

第24章 新自由主義と日本経済のグローバル化(浅井良夫)
 1 視角――新自由主義とグローバル化
 2 ブレトンウッズ体制と日本
 3 日本における新自由主義改革の始まり
 4 グローバル化と資本自由化・金融自由
 5 新興市場経済の台頭と日本
 6 「戦後」および「帝国」の終焉と未来の輪郭


結びにかえて(松浦正孝)

人名・事項索引

著者プロフィール

松浦 正孝  (マツウラ マサタカ)  (編集

2024年2月現在
立教大学法学部教授

上記内容は本書刊行時のものです。