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出版者情報
環境正義
平等とデモクラシーの倫理学
- 書店発売日
- 2022年2月15日
- 登録日
- 2022年1月13日
- 最終更新日
- 2022年2月17日
書評掲載情報
2023-03-11 |
朝日新聞
朝刊 評者: 松尾隆佑(宮崎大学講師・政治理論) |
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紹介
環境に関する社会的公平性を問う「環境正義」の基本文献。様々な事例を通じ、環境をめぐる不平等を是正するための理論と実践を示す。
原子力問題やリスクの研究で大きな業績を残しているシュレーダー=フレチェットの主著の一つ。環境正義について、平等、財産権、手続き的正義、インフォームドコンセント、世代間の公平、正当な補償といった概念を事例を通して説明し、環境をめぐる不平等を是正するための理論と実践を示す。環境正義を論じる際の必読文献である。
【原著】Kristin Shrader-Frechette, Environmental Justice: Creating Equality, Reclaiming Democracy(Oxford University Press, 2002)
目次
序
謝 辞
凡 例
第1章 序 論
環境保護主義と生命中心主義
環境保護主義から環境正義へ
環境不正義を理解する
本書の概要
第2章 分配の正義、参加の正義、当座の政治的平等の原則
概要
〈当座の政治的平等の原則〉と分配の正義
〈当座の政治的平等の原則〉と参加の正義
〈当座の政治的平等の原則〉に対する反論
配慮なき科学の使用がいかに環境不正義を助長しているか
立地をめぐる連邦統制と地方統制の対立─公平性と効用の釣り合いをとる
事例研究
結論
第3章 アパラチア地方の人々、土地へのアクセス、手続き的正義
概要
第一の議論の舞台:カリフォルニア州の農家
環境不正義のもう一つの事例:アパラチア地方の農家
手続き的正義と結果状態原理
手続き的正義を根拠として資源の所有権の制限を擁護する議論
資源取引、自発性、そしてロック的但し書き
土地の財産権を制限するための提案
土地利用規制論に対する反論
資源の所有権を制限することについての第二の擁護論
第二の擁護論に対する反論
結論
第4章 アフリカ系アメリカ人、現地不承諾土地利用、自由なインフォームド・コンセント
コールマン師とサウスサイド
概要
事例研究:ルイジアナ州ホーマー
ルイジアナ州への設置は倫理的に正当なものではなかった
反論と応答:環境面で公正なエネルギー政策
反論と応答:当該工場に対する経済的なニーズはない
追記
第5章 公平性と将来世代に対する義務─ユッカマウンテンの事例
概要
平等な待遇を支持する当座の論拠
功利主義に基づく反論
将来世代に対する義務
同意と将来の人々
将来の人々のための正義に影響を与える実践的・法的な考慮事項
結論
第6章 先住民の人々とパターナリズムの問題
植民地主義と先住民に対する搾取:シェルオイル社の事例
概要
パターナリズム、同意、参加の正義
メスカレロ・アパッチ族、パターナリズム、廃棄物処理
環境正義とメスカレロ族
地理的な不平等、分配の正義、メスカレロ族
放射性廃棄物問題の歴史
放射性廃棄物問題に関連する科学
結論
第7章 リスクのある労働環境、ダブルスタンダード、正当な補償
概要
ダブルスタンダード
歴史的背景
補償賃金格差理論
補償賃金格差への反対論
事例研究:六〇万人の米国エネルギー省労働者
結論と代替案
第8章 途上国、保護の平等性、道徳的英雄主義の限界
概要
社会の進歩論法
血まみれのパン論法
同意論法とそれに対する道徳的応答
経済の現実論法とそれに対する道徳的応答
環境正義に対する市民の責任
結論
第9章 行動を起こすこと─環境不正義に対する公衆の責任
概要
環境正義の擁護者になること
偏った社会条件
環境正義の擁護活動を支持する帰結主義的論拠
環境正義の擁護活動を支持する義務論的論拠
環境正義の擁護活動が制限される場合
具体的なステップ:非政府組織と協働する
結論
監訳者あとがき
原 注
訳 注
地名索引
人名索引
事項索引
訳者一覧
【訳者一覧】
山本剛史(やまもと たかし) 序文・謝辞
慶應義塾大学教職課程センター他非常勤講師.
熊坂元大(くまさか もとひろ) 第1章
徳島大学大学院社会産業理工学研究部准教授.
宮﨑文彦(みやざき ふみひこ) 第2章
千葉大学大学院社会科学研究院特任研究員,同専門法務研究科・法政経学部・普遍教育センター非常勤講師ほか.
田中さをり(たなか さをり) 第3章
千葉大学大学院工学研究院特任研究員.他,編集・文筆業を営む.
竹中真也(たけなか しんや) 第4章
中央大学兼任講師.
齋藤宜之(さいとう よしゆき) 第5章
中央大学文学部兼任講師,日本大学大学院総合社会情報研究科非常勤講師.
青田麻未(あおた まみ) 第6章
日本学術振興会特別研究員PD(成城大学).
猪口智広(いのくち ともひろ) 第7章
東京大学大学院学際情報学府博士課程在学中.
佐藤麻貴(さとう まき) 第8章
東京大学教養学部東アジア藝文書院(EAA)特任准教授.
寺本剛(てらもと つよし) 第9章
中央大学理工学部准教授.
上記内容は本書刊行時のものです。