利用承諾をお願いするこの間の経緯
2024年3月15日(Ver.1)
●「利用可」「利用不可」表示について
版元ドットコムサイトからダウンロードして利用することを、明確に出版社が承諾しているかどうかを【利用可】【利用不可】と表示しています。あくまで版元ドットコムサイトからのダウンロードに関しての表示です。
【利用不可】の表示は、版元ドットコムサイト以外からダウンロードなどして利用することまで、その書誌・書影の利用を【利用不可】としているわけではありません。
●版元ドットコムの書誌・書影利用の基本的な考え方
版元ドットコムは、書誌・書影の自由な流通が、それぞれの本の存在を知ってもらうことになると考え、そのデータを使いやすい形で出版社が提供することをめざしています。
しかし、現在ネット上にある書誌・書影の利用はとても分かりづらく、利用してもいいのかどうか利用者に大変な負荷をかけていると思われます。
書誌・書影はその本の販売促進のために利用されるものであり、いわば「カタログ」情報だと考えています。
書影に関しては注意が必要ですが、そこに掲載されている写真・イラストに著作権はあるものの、出版社は写真家・イラストレーターに書影としての利用許諾を得て本のパッケージとして制作していますから、その写真・イラストを切り取って利用するのでなく書影として利用する限りではその著作物の利用にはあたらないと考えています。
・書誌・書影の自由な利用と提供が本の販売促進にストレートに結びつくこと
・書影全体としては著作物にはあたらない
この2つの観点から本の書誌・書影の自由な利用環境を整備していきたいと考えています。
とはいえ書誌・書影における「権利」についての考え方は出版社ごとにさまざまです。岩波書店のように自由な利用を許諾している出版社もあれば、利用に制限を表明している出版社もあります。
(参考 https://www.iwanami.co.jp/files/rights/01.pdf)
海賊版サイトなど、そもそも著作権法に違反するサイトでの書誌・書影の利用は当然不可ですが、出版社においてはマンガやライトノベルのカバーなど、人気作家の絵などを使用している場合、悪質な利用を抑制しないといけないという事情で制限をかけている出版社もあります。
このような事情があるなか、版元ドットコムでは書誌・書影の一般の方の利用に関して明確に出版社の承諾を得ることでわかりやすい利用ができるよう2023年夏から取組を開始することにしました。
●これまでの経緯
2023年春ころ、大手出版社のライトノベルがいわゆる「ネタバレサイト」に掲載されてあらすじなどが紹介されていること、そこに書影が掲載されていることがわかりました。
大手出版社がそのサイトに連絡したところ、書影については版元ドットコムサイトの「自由に利用を」という説明の通りに利用しているといった趣旨のことを返答されたそうです。
これまで出版業界のインフラ構築を目的とした業界団体である日本出版インフラセンター(JPO)や日本書籍出版協会(書協)では、「books.or.jp」→「近刊情報センター」→「出版情報登録センター(JPRO)」と書誌・書影のデータベースの構築に取り組んできました。現在、その役割はJPROが担っています。
2022年7月19日改定の「出版情報登録センター 利用規約」では、
第4条(提供情報の目的・用途及び利用の制限)
(1)提供者はJPOに対し、対象の出版物の周知や流通・販売促進を目的として、出版情報をJPROが使用し、またJPROを通じて受信者に利用させることを許諾します。その許諾は非独占で、受信者が第三者に情報を閲覧に供すること、また提供者の意図を損なわない範囲で、受信者が情報を要約・編集することを含みますが、第三者に対する再許諾権は含まれません。
となっています。
今回、版元ドットコムの「書誌・書影を自由にお使いください」という姿勢が、上記規約の「第三者に対する再許諾権は含まれません」に反しているということが、JPROで確認されました。
そのため、それをうけて、すべての書誌・書影に【利用可】【利用不可】を明示してみなさんの利用を制限することにしました。
版元ドットコムサイトでの書誌・書影の表示は、JPROから配信されたものを含んで表示されています。
このような状況下であるため版元ドットコムサイト「から」のダウンロードの利用にだけ、【利用可】【利用不可】という利用方法の制限を設けました。
●現在とこれから
【利用可】と表示している出版社の書誌・書影は、
・版元ドットコム会員社(542社2024.3.1現在)
・地方・小出版流通センター
・版元ドットコムに第三者の利用の承諾してくれた出版社
のものになります。
【利用不可】と表示している出版社の書誌・書影は、承諾をしてもらっていない出版社のものになります。
版元ドットコムでは、これから順次それぞれの出版社に承諾の依頼をしていきます。
版元ドットコムという組織は
「当法人は、日々出版される書籍・雑誌の情報を統合し、本の情報をだれもが使えるプラットフォームにて公開すること、並びに会員・会友間の共同活動及び交流を通じて出版物製作と流通についての情報を共有することで、全国の書店・出版社の連携を促進し、次世代に開かれた文化とビジネスの環境構築を推進することをもって、出版業界全体の活性化に寄与することを目的とし、その目的に資するため、次の事業を行う」ことを目的として出版社6社の呼びかけで、2000年3月に始まったものです。
会員出版社に対しては第三者の利用を促進することを目的として書誌・書影の利用は自由にしてほしいので、【利用可】となっています。
●openBDについて
版元ドットコムは、図書館横断検索サービスのカーリルと2016年12月から「書誌・書影を自由に」を目的にopenBDというAPIサービスを開始しました。
版元ドットコムが収集した書誌・書影をカーリルが高速なAPIで提供するという取組です。
今回のJPROの配信データの第三者の利用を制限するという対応のため、openBDのAPIからの配信が不可能になりました。
openBDプロジェクトでは、当面openBD利用者への影響をできるだけ軽減するために、版元ドットコム会員社・利用承諾出版社の書誌・書影情報(目次など豊かな情報が多く含まれる)に加えて、国立国会図書館が提供する書誌情報を加えた代替情報を作成してAPI配信を当面継続します。
これによって、出版される本のほとんどの書誌が配信されています。
ただし、国会図書館書誌は、API配信までほぼ発売後1〜2週間の時間がかかると思われます
書影情報はJPRO配信以外に利用できる公開情報がありません。
会員社・承諾出版社以外の書影の配信率は大幅に低下します。
これについては、こうした承諾出版社を増やすための活動をしています。
承諾出版社を増やし出版物の書影の多くを網羅できるように取り組んでいきます。
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