版元ドットコム

探せる、使える、本の情報

文芸 新書 社会一般 資格・試験 ビジネス スポーツ・健康 趣味・実用 ゲーム 芸能・タレント テレビ・映画化 芸術 哲学・宗教 歴史・地理 社会科学 教育 自然科学 医学 工業・工学 コンピュータ 語学・辞事典 学参 児童図書 ヤングアダルト 全集 文庫 コミック文庫 コミックス(欠番扱) コミックス(雑誌扱) コミックス(書籍) コミックス(廉価版) ムック 雑誌 増刊 別冊 ラノベ

本を読者に届けること 

絵本を出したばかりです。
うちにある新本を、喜んでくれる読者に少しでも届けたいと思って、まずは身近なところで、親しくしている近隣のお年寄りに渡してみました。

いつも貸し菜園で作った野菜をくれるKさんは「こんなきれいな本を、本当にもらってもいいの?」と嬉しそうに、でも少し恐縮しながら、受け取ってくれました。
受け取ってもらう時に、どんな風に手渡すか、添えることばが大切だと思っていて、私はKさんの顔色を伺いながら、一所懸命に喋りました。
うちは2年前に、10年ほど住んだ町から、隣町の住宅地の賃貸一戸建てに、引っ越してきました。
いっぽうKさんは、この住宅地が出来たころ新築を買って移って来たそうで、もう3、40年間ここで暮らしていて、同じ住宅地の住民さん達とも、子育てや自治活動など、長年のおつき合いをされています。
みなさん70〜80代になっておられ、Kさんも「夫は毎日朝から畑、私は友達とあちこち出かけるのが楽しみ」と仰っていたように、贅沢は出来ないけれど、年金暮らしをそこそこ優雅に、楽しんでおられるご様子でした。

     *     *     *

ところが、新型ウイルスのコロナ禍で、生活は一変。
出かけようにも出かけられず、もともと多くはなかった子どもや孫との行き来もすっかり途絶え、自家用車も心がけよく早々に免許返納してしまっていて、買い物は生協の宅配があるから何とかなっているけれど、毎日毎日、ただ鬱々と、悶々として暮らしている…とのことでした。
幸い、庭や畑に出られるのが救いになっているし、お日様に当たると少しは元気になると仰って、気晴らしも兼ねて、畑で採れた野菜を私のようなご近所へ届けに来てくれて、玄関先でマスク越しの立ち話をして、上記のようなお話を聞かせてくれたのです。
絵本をお渡しした翌日、インターホンが鳴ったので出ると、Kさんがいつものように、野菜のいっぱい入った大きなポリ袋を提げて立っていました。
そしてKさんは、手に持った角2封筒から絵本を取り出し、「これ、読ませてもらいました。とても良かった。なので、勤めていた頃から親しくしている友達にも是非あげたいから、合わせて2冊分、支払わせてください」と仰り、手提げカバンからお財布を取り出しました。

     *     *     *

その後、絵本は、お友達のところと、Kさんのご近所で、色々回って読まれていると、Kさんが何度かまた野菜や、お友達から預かったお菓子を持って、色々な出来事や感想とともに、知らせに来てくれました。それとあと一カ所、私も行ったことのある近所の雑貨店に、しばらく置いてもらっているそうです。

(本当は、もっと色々、絵本についてや感想、Kさんのこと、私たちのこと、喋ったけれど…、とても書き切れないので、この辺で。)

さいはて社の本の一覧

このエントリーをはてなブックマークに>追加