大阪・京町堀発ローカル・カルチャーマガジン
関西にお住まい、または出身の方はご存知かもしれないが、関西のファッションカルチャー誌「カジカジ」が休刊した。実は、休刊話は少し前から人伝てで聞いてはいた。
発表されたのはつい先日instagramにて。“学生時代からお世話になっていた”と言いたいところだけれど、一度も通らず、学生時代の私といえば、「STUDIO VOICE」に、(当時の)「BAROUT!」(カヒミ・カリィが京都に来ていた!)、「relax」、「TV bros.」のコラムなどなどなどなどに夢中になっていて、「カジカジ」を知ってはいたものの、まったく素通りだったように思う。
そんな私にとって当たり前のようにあるけれども読まないというか、私が読まずともずっとそこにあるだろうと思っていた雑誌がまたひとつ消えた。寂しい限りだし、次は自分たちかなとも思うと、恐怖さえ襲いかかってくる。
今では雑誌不毛の地となった関西において、私たちは年に数回、自社のメディア、大阪・京町堀発ローカル・カルチャーマガジンIN/SECTSを発行している。最新号は、12号で大阪観光が特集だ。「こんな時期によくまぁ」と半笑いで言われたりすることもしばしば。でも、今だから言える、伝わることがきっとあると思っている。これまでそれほど意識してこなかった人との距離もそうだし、生活一つひとつにも今まで以上に目を配るようになった。もはや消費し尽くされた感のあった「丁寧な暮らし」がリバイバル!? と一瞬過ぎったけれど、さすがにやはりそれはなく(笑)。もっと現実に即した生活という言葉が、ぼんやりながら現れ出したようにも思う。
つまり、自分とともに暮らす家族とどういう日々を過ごすのか、どんな仕事のリズムで暮らしを支えるのか、そんなことをよく考えるようになった。お金が全てではない、とそんなことを言うと、「じゃあいらないのか」というナンセンスなつっこみが飛んでくることもあるけれど、これまでの気持ちの面でも現実の面でもアンバランスであったことは否めない。自分の暮らしのために必要と考えるよりも先に、いくらくらいのお金がいるという試算の仕方は、どうもコロナ以降の生活や働き方には合わないのではないかと考えている。
そう思うようになったのは、コロナというよりも私の場合、土井善晴さんの話を聞いてからだと思う。最新号の大阪観光では、土井善晴さんに料理の視点を交えながら、大阪についてあれこれ聞いてみた。すると、溢れ出てくる土井さんの大阪愛の数々。嬉しかったと同時に、どきっとした。自分は、大阪に住みながら、大阪の話題を届けながら、大阪の魅力や文化を本当に理解できていたのか、10年ほど住んでいる大阪という土地から、確固たるものを感じられているのか、と問われた気がした。
だからその日以来、そのことを問い続けている。本質的、根源的な魅力について。そして、自分に本当に必要なものとはなんなのかを考えれば、自ずと揺るぎないものも見えてくるのだろうと思っている。そして、それが信じられるとようやく見えてきたと思う。だからこの先も死なないように、私が思うローカルカルチャーを丁寧に紹介していきたいと思う。
最新号「大阪観光」をよろしく。
ちなみにもう1冊の近刊は、京都、大阪、神戸の人気カレー店、タルカ、ダルバート食堂、カラピンチャの3店のレシピを掲載した「南インド、ネパール、スリランカ 3つの地域の美味しいカレー ミールス ダルバート ライス&カリー」
もよろしくどうぞ。
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