一冊入魂で届ける読書体験
はじめまして。遊泳舎の中村と申します。
遊泳舎は、2018年11月創業の“ふたり出版社”です。
先日、無事に1周年を迎えることができました。
様々なご協力、ご指導をいただいている出版業界の諸先輩方、遊泳舎の本を置いてくださっている書店員の皆様、なにより読者の皆様に厚く御礼申し上げます。
この1年間、いろいろな方とお話させていただく機会がありましたが、版元1年生ということもあり、「出版不況の時代に出版社なんか始めて大丈夫なの?」という質問はたくさん聞かれました。
たしかに近年の出版業界は、未曽有の出版不況といわれ、約20年前のピーク時に比べて売り上げが半減。悲しいことですが、廃業する版元や書店、取次が相次いでいるのも事実です。
しかし、遊泳舎に限れば、1年目に出版した書籍4タイトルすべてが増刷し、おかげさまで2年目も出版活動を継続することができています。
社員2名で年間4タイトルと決して多くない制作数で運営できている要因は、一つひとつのタイトルを企画段階から、じっくり時間をかけて、丁寧に制作している点だと考えています。
ひと昔前は、情報獲得の手段として本を使うことが多かったですが、現在はスマートフォンの普及により、読者が本に求めるものが「情報」から「体験」に変化していると感じることが多くなりました。
たとえば、2019年6月に刊行した『言の葉連想辞典』(編・遊泳舎/絵・あわい)
では、美しい言葉をイラストから探すことができるという形式にすることによって、今までになかった新しいつくりの辞典体験を提案しています。
2018年12月に同時刊行した『悪魔の辞典』
と『ロマンスの辞典』
では、誰かにプレゼントしたり、インテリアとして部屋に飾りたくなったりするような“モノ”としての価値を意識したデザイン、装丁を追求しました。
また2019年4月発売の『1000年以上つづく例大祭 くらやみ祭ってナンだ?』
では、地域の方々に協力していただき、イベントとマッチさせる形での販売を試みました。
まだまだ試行錯誤を続けながらの出版活動ではありますが、これからも一冊入魂で丁寧な本づくりを心掛けて参ります。