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ひとり出版社の〈内職〉

ひとり出版社を開業してから、1年半が経ちました。
まったくのひとりになって最初は不安でいっぱいでしたが、気づけばいろいろ話ができる同業の人たちが増えてきました。

集まるといろいろな話が挙がりますが、やはり経営の難しさや苦労をおもしろおかしく語り合う、というのが鉄板のトピックです。経営は難しく、なんやかんやと収入の確保に勤しまないといけません。
そのなかでしばしば話題になるのが、ひとり出版社の〈内職〉あるいは〈バイト〉です。

ごく大まかに言って、皆さんがやっている〈内職〉は、

1.いわゆる編集の請負
2.大学の非常勤講師

このふたつのようです。
1は、自社で出す書籍ではないけれど、編集を請け負って完パケを納品する、という仕事ですね。
元いた版元とか大手出版社への売り込みとか、いろいろな縁があって、やっておられる方はけっこう多い。みなさんそれぞれに人脈とスキルがある方ですから。
そして売れ行きに左右される自社刊行物の収入が常に不安定なのに対して、請負仕事は仮に売れなくても、作業量に応じてたしかにペイが発生する契約になっている場合がほとんどです。
〈内職〉としては硬いわけです。

そして2。
これも意外とやっている人が多い印象です。
出版について教えている人もいれば、InDesignなどの実務を教えているという方もいました。やはり、みなさんそれぞれに人脈とスキルがある方ですから。
これも月給制ですので、定期収入としては硬い。
しかしまあ、準備にそうとう時間がかかり、さらに当日は90分喋りっぱなしの講義と移動で半日潰れることを考えると……かなり労力のかかる〈内職〉ではあります。

かくいう僕も、縁あってこの秋から、某大学で週2コマ、講義を持つことになりました。本の作り方、会社の作り方といったことを喋ることになりました。人生は不思議です。
先日、初回の講義を終えたところなのですが、正直にいうと、なかなか面白かったです。
準備は大変だし、1日2コマ続けるとかなり疲れます。しかし〈今までやったことないことをやってみよう〉というのが多くのひとり出版社のモチベーションであるなら、人生初の先生体験は、けっこう興味深い体験になりそうです。他人に喋ることで、自分の考えを整理するきっかけにもなりますし。
これは有形のものを得るためではなく、無形の何かを受けとるための〈内職〉のようです。

学生さんには「こうやって教壇に立って喋るのは、初めての体験です。だからこの講義では、君たちが学ぶ以上に、おそらく僕のほうが学びます」と告げてあります。

ほんとうは本業のほうに専念すべきなのかもしれませんが。
しかし編集の請負であれ非常勤講師であれ、やったことのないことにひとまず首を突っ込んでみるのも、駆け出しのひとり出版社にとっては有意義なことかもしれません。

ちなみに、本業では近現代史・文芸を中心として、どちらかというと硬めの本を出しています。
たとえば、74年前にマーシャル諸島で日本兵が餓死していること。(『マーシャル、父の戦場―ある日本兵の日記をめぐる歴史実践

あるいは、日本が近隣諸国を支配していた時代があったこと。(『秘蔵写真200枚でたどるアジア・太平洋戦争―東方社が写した日本と大東亜共栄圏

まだ若い(本当に若い)学生さんたちと一緒に、出版とは、働くとはなにかを考えながら、そんな歴史的なことも、少しずつでも伝えていければいいなと感じています。

これ以外に、おいしく楽しい〈内職〉をご存知の方、ぜひ教えてください。

みずき書林の本の一覧

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