本と旅とギャンブル
少し前、出版レーベルとして写真展に参加するため台湾へ行ってきました。主な目的は展示のオープニングへの参加でしたが、台湾での取り扱い書店が増えるなど実りの多い出張となりました。
ことの始まりは今年春に行われたWonder Foto Dayという台北での写真フェア。道音舎はこれまでに出版した写真集『狼煙』
と『津軽再考』
を携えて参加しました。道音舎は今のところ書店さんとの直取引のみで流通量は多くなく、このようなフェアへの参加は大事な活動のひとつになっています。僕たちの拠点である和歌山からの旅費を考えると随分と効率の悪い営業活動ですが、辺境にいるからこそなるべく足を動かさねばと自分に言い聞かせています。
台湾ではフェアに参加したことで前述の写真展に招待いただいたり、ヨーロッパの出版社から新しいエディションを作りたいとのオファーがあったり、そこで出会った作家さんと新たな本づくりの話を進めていたり、いろいろな出来事がありました。そもそもこのイベントを知ったのも、昨年参加した別のブックフェアで知り合った台湾の作家さんが参加を勧めてくれたおかげです。同じく出展されている作家さんや出版社さんとのお話も貴重な情報源です。
道音舎では、本づくりをよく旅に例えて話をしています。本を編んで読者に届けるということは単純なようで次に何が起きるか分からない旅のよう。と書けば聞こえが良いですが、僕たちのような小さな出版社にとってはギャンブルと言った方が正しいかもしれません。有り金をはたいて本をつくり、欲してくれる人に届くことを願って足を動かす。いずれにせよ、ハプニング的な要素が出版活動の魅力のひとつなのかもしれません。