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たかがSNS、されどSNS

 去る2月に『ボーイズ 男の子はなぜ「男らしく」育つのか

という書籍を刊行しました。

本書は、カナダで同性パートナーとともに息子を育てる著者が、男児はいかにして「男性性」を身につけていくのかを分析したノンフィクションです。ジェンダーや男性のマスキュリニティに対する昨今の関心の高さもあり、発売情報を告知したツイッターの投稿には数千もの「いいね」がつきました。
 いつまでたっても止む気配のないツイッターアプリの通知を見て、これはさぞ売れることだろうと大変に期待していたわけですが、いざ発売日を迎えてみると売上に特段目立った動きは見られません。事前の予約数も、SNSでのリアクションの大きさに反していまひとつ伸びず。これには首をかしげました。

 やっぱりSNSの「いいね」なんて当てにならないなあ……。そんなふうに思っていたところに転機が訪れたのは、発売から約1ヶ月がたった4月初旬のこと。うれしいことに、共同通信で本書の書評が配信されたのです。配信された書評は地方紙数紙に掲載されました。
 さきの前例があったゆえ、売上に貢献するかは半信半疑ながら書評掲載情報をツイッターで発信すると、評者の方が拡散してくださったことにも大いに助けられて、これまた少なからぬリアクションが返ってきました。
 また書評掲載と時をほぼ同じくして、とあるライターさんが連投してくださった、ひじょうに熱のこもった感想ツイートや、いわゆる「インフルエンサー」と呼ばれるような発信力のある方々による紹介ツイートがいずれも数百、数千単位で「いいね」や「リツイート」を集めました。その結果、今度はこうした一連のバズ=口コミに後押しされて、リアル書店・ネット書店ともに発売以来いちばんの売上増加に転じたのです(とはいっても、まだ重版を検討するほどではありませんが)。

 同じネット上の口コミでも、このように効果にちがいがあるのはどうしてか? 私個人の実感としてもそうですが、本書のような決して安価ではない価格帯の商品の場合は、いくら評判がいいからといってもそう易々と手が伸びるものではないように思います。版元の提供する情報よりも、やはり各人が信頼を寄せる個人の発信する情報のほうが訴求効果があるということなのか? たかがSNS、されどSNS――今回を機に、SNSを使ったプロモーションについていろいろと考えさせられました。
 おかげさまで、『ボーイズ』は5月の大型連休に入る前からネット書店では品薄状態が続いていたのですが、幸か不幸か、連休中に新聞書評が掲載され、本日誌を書いている5/6時点では在庫切れになってしまっています。明日は連休明けの出社がおっくうな反面、休暇期間中の売上データや受注状況を確認するのが楽しみでもあります。

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