デザイナーの視点で本を紹介するとこうなる
こんにちは。
キーステージ21、新卒入社2年目デザイナーの木村です。
今回は、弊社で出版した本をデザイナーとしての視点でご紹介できればと思います。
まずは最新作の『寿司サムライが行く!~トップ寿司職人が世界を回り歩いて見てきた~』
(小川洋利・著)。
ワーキングホリデーをきっかけに、海外で料理を学ぶことになったという異色の経歴を持つ寿司職人小川洋利さんの思いをまとめた1冊です。
「職人」と聞くと渋いイメージになりがちですが、この本の装丁はイラストの総柄で明るくポップな印象に仕上げています。
写真ではクールに決めている小川さんですが、実際にお会いすると、気さくで周りを明るくするパワーのある人という印象を抱きました。
本のターゲット層も、小川さんと同年代にあたる40~50代の層だけではなく、これから夢を追いかけようとする若者にも読んでほしい、誰でも気軽に手に取ってもらいやすい雰囲気を重視しました。
本を手に取った時に明るい気持ちになってほしい…なんてことを意識して、あえてこういったデザインにしています。
「寿司サムライ」とでかでかと書いていますが、本の内容は寿司ばかりではありません。
小川さんの裸一貫で海外で生き抜く柔軟さや、臆せず物事に挑戦する姿勢は、寿司にかかわる人だけではなく、海外で活躍をしたい方や、夢を追いかける方たちにも共感していただけるものではないかと思います。
小川さんは現在、自分が板場に立つのではなく、指導者として寿司職人の育成に関わり、働く人の地位の向上、そしてその職人が握った寿司を食べるお客様の幸せを願って活動しています。国内だけではなく、海外の寿司職人の指導も行っています。文化の違いがあっても、想いが込められた寿司で多くの人が笑顔になってほしいという小川さんのメッセージは世界中に広がっているのです。
そんな寿司サムライ小川さん、6月17日(日)にイベントを開催します。
寿司×SUSHI
~世界を股にかける寿司職人こと寿司サムライ・小川洋利と、寿司漫画の金字塔『将太の寿司』作者・寺沢大介氏による本音(ガチ)対談!~
6/17(日)14:00~(開場13:30)
場所 八重洲ブックセンター本店8階ギャラリー
http://www.yaesu-book.co.jp/events/talk/14132/
帯にもコメントを寄せてくださった『将太の寿司』『ミスター味っこ』などの名作を生み出したマンガ家寺沢大介さんと小川さんとの夢の対談。
小川さんが『将太の寿司』をきっかけに寿司職人を目指したという経緯があり、今回の対談が実現しました。
『寿司サムライが行く!』を八重洲ブックセンター本店にて購入してくださった方に、入場整理券をお渡ししています。トークの後にはサイン会も実施します。小川さんはもちろん、寺沢先生のサインもいただけるので楽しみですね!!
寿司の豆知識クイズや、本には書かれていない裏話も満載の予定なので乞うご期待。
続きまして、こちらも4月に発売となったばかりの『あんずの旅する絵』(絵・文 蟹江杏)。
版画家の蟹江杏さんの作家活動20周年出版で、47都道府県の版画とともにエッセイが綴られています。
使われている作品は昨年「旅する絵展」にて展示されていた作品なのですが、
「これで一冊、出来そうですね!」
という一声から始まりました。
本の中では、絵が切り抜かれていたり向きを変えてレイアウトされていたりと、
作品展の時とはがらりと姿を変えていますが、作品にそんなことをしたら作家さんが怒るんじゃ…?と心配した方もいるのではないでしょうか。
(実際私もそう思ってビビりまくりでした。)
しかし緊張しながら初顔合わせを迎えた日、あんずさんから
「本は本として全く別と考えて、デザイナーの感性で新たな作品表現をしてもらいたい」
と言われ、なんてでっかい器の持ち主なんだ…!と安堵したのを覚えています。
この本のデザイン作業は、フリーデザイナー貞弘和憲先生と、私を含む社内のデザイナーとで進行していきました。
見開きごとに1作品を置き、文章は右側に固定されてページが続いていく形式だったため、作品のレイアウトはこの本の要となる部分であり、こだわりのある要素となっています。
特に大変だったのが作品の色調整。
なんと、出版の話が決まったころには作品は全て売れてしまっており、現物を見ることができなかったのです…!
いただいたのは写真データのみ。元の色は想像で調整をしていくしかなく、「考えるな…感じろ…」と自分に言い聞かせて作業をしていきました。
もちろんあてずっぽうというわけではなく、調整しては確認を取りまた微調整をして…を繰り返して、ベストな形をさぐっていきました。
他にも
徹夜で作品の切り抜きをしたり…
約半日電話で修正指示を聞きながら作業をして、受話器の当てすぎで耳をやけどしたり…
あんなこと、こんなことがありました…
(BGM思い出のアルバム 作詞者 増子 とし 作曲者 本多鉄麿)
大変な作業も多かったのですが、不思議と辛い気持ちは浮かばず楽しくて仕方なかったのを覚えています。
元々私はレイアウトが苦手で、しかも新人。ベテランデザイナーさんの足を引っ張らないだろうかと不安に思っていました。しかし上がったレイアウトを見たデザイナーさんから、
「歳を取ると保守的なレイアウトしか出来なくなってしまうけれど、これは自由に楽しいレイアウトが出来ていいなぁ。これだけでも一緒に仕事をした甲斐があるよ」
と言われて思いがけない言葉に嬉しい気持ちでいっぱいになりました。たとえお世辞だったとしても、不安ばかりの私を成長させてくれた思い入れの強い一冊となったのです。
内面以外にも大きな成果が。
作業前にはほぼ「たびびと」状態だった私のphotoshop力ですが、
切り抜き、色調整の修行を経て「戦士」にレベルアップ!(多分)
こうして、Photoshopマスターへの第一歩を踏み出したのでした…
ここまで裏話ばかりになってしまいましたが、
『あんずの旅する絵』は、自分の生まれた地域がどんな風に描かれているのか、比較をしながら読んでも楽しいです。富士山は静岡県と山梨県のどちらに…!?なんてことも、読んでいただけると嬉しいです。
この一冊で、心の旅に出かけてみてはいかがしょうか。
続きまして今年2月発売の、
『最強の遺言~相続・遺言まるわかりセミナー~ ネット検索では教えてくれない実例13からみた対策集』(渡邉善忠・著)
今何かとHOTな話題となっている「終活」に視点を置いて、幸せなエンディングを迎えるための遺言の大切さを教えてくれる本です。
ポイントは、マニュアル的に説明書きが書いてあるのではなく、なぜ遺言が必要なのかという根本の目的を確認出来ること。
「死」というものが付きまとうとどうしてもネガティブなイメージを抱きがちになりますが、きちんと準備をしておくことで、本人も残された人達も幸せになれるようにという思いがこの本には込められています。
また、相続、遺言、法律、と難しそうな文章は頭に入ってこない…という方でもご安心を。
開くと分かるのですが、随所に下のような、ゆるいイラストで図解が入っているのでとても読みやすくなっています。全体のデザインも柔らかさを重視し、字も少し大きめとなっているので、圧迫感なく読めるかと思います。
また、表紙にガツンと入っているピンク色と紫色ですが、実は渡邉さんの名刺に使われていた色なのです。…意外ですよね!そして偶然にも、キーステージ21のコーポレートカラーとも同じ!これは運命を感じざるを得ません。
自分自身だけではなく、ご家族や友人へのプレゼントとしても良いかもしれません。
★突然ですがここでクイズ!
Q.上の図で、「父」が亡くなったとき、相続人は誰になるでしょう?
⇒答えは本書にて!
と、とっても長くなってしまいましたが今回はここまで。
デザインに関することばかりになってしまいましたが、
どんな本でもこの形になったのにはきちんと意味と意図があるのだということを知っていただければ嬉しいです。
今後もキーステージ21ではジャンルを越えて、社会をより良くするための本を作っていきますので、よろしくお願い致します。
ありがとうございました!