夏ごろには結果がでるかも
ネコノスの浅生です。実はネコノスではしばらく新刊を出していません。というのも、僕はネコノスで本をつくるかたわら、僕自身の著作を他の版元からも出版しており、そちらの原稿執筆に追われに追われ、というよりも遅れに遅れてずっと泣きっ面状態で、ネコノスでの本づくりをやる余裕がまったくなかったのです。
いくつか形にしたい企画はあるものの時間がなくて身動きが取れなかったのです。忙しくて本がつくれないなんて本末転倒、版元としていかがなものかと思うのですが、ともかくそんなわけでネコノスは長らく新刊の出ていない版元になっていて、これはイカンぞと内心焦っているところです。
さて、長らく取り組んでいた自分の原稿にようやく目処が立ったところで、僕の手元にとある企画が舞い込んできました。海外の映画監督が描くグラフィックノベルです。日本のマンガともアメコミともちがって、映画を制作するときにつくられるストーリーボードのような独特の絵柄と展開に目を奪われました。
これを出版したい。もちろんフルカラーで。できれば大判で。
そう考えて少しずつ準備を始めましたが、しばらく本をつくらず引き籠もって執筆している間に、みなさんよくご存じの通り、印刷費や紙代だけでなく、ありとあらゆる物価が驚くほど上がっていて、思わず僕は腰を抜かしそうになりました。なんということ。
僕はもともと書籍の価格は不当に安いと思っている者で、だからネコノスではいわゆる値ごろ感ではなく、その本の制作コストに、自分の信じる本の価値を加えた値付けをしているので、コストの上昇は、もちろんたいへんなのですが、ある程度は価格に反映させています。もっとも、だからネコノスの本は高いと言われがちなのですが。
ところが、このグラフィックノベルに関しては僕でも足踏みしそうなほどのコストがかかりそうで、はてどうすればいいのだろうか、いやいや僕だけでなく、みなさんはいったいどうなさっているのだろうか、なんて疑問が頭の中をグルグルと回ったのです。
右も左もわからないグラフィックノベルの出版。だったら、みんなで右も左もわからなくなればいいのだと思いつきました。
そんなわけで、ネコノスでも流行りのクラウドファンディングに挑戦してみようと考えているところです。僕はもともと、クラウドファンディングって事前注文と同じことじゃないのか、価値があると自分が信じるならば、ちゃんとリスクを取ってこその版元じゃないかと考えていたのですが、ここに来て少々その考えを改めつつあります。
クラウドファンディングは、やりかたによっては読者と一緒に本をつくっていくような面もあって、もしかするとこれは単なるコストのリスクヘッジというよりはPRに近く、マニアックなファン向けのグラフィックノベルとは相性がいいかもしれないと思い始めているのです。
まだあれこれ思案中ですが、夏ごろには何となく結果が見えているはずです。はたしてどうなることやら。