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2026年3月18日(水)

 こんにちは。日記屋 月日の久木と申します。弊社は2020年4月に開店した、日記を専門に取り扱う、日記のためのお店です。書店としての広さは五坪ほどです。新刊、古書、リトルプレスなど種類問わず、日付のついた日記作品や日記論、日記帳などをメインに並べています。

年に数回、定期的にワークショップやマーケットイベントを開いているほか、2024年4月に出版部を立ち上げました。立ち上げ時にはクラウドファンディングによるご支援をいただき、その中には出版業界の方のお名前もありました。その節は、本当にありがとうございました。
 これまでの刊行物は、いまこの日誌を書いている2026年2月26日現在で二タイトル。4月中旬には日記の雑誌『季刊日記』の第二号が発売予定として控えていますが、つまり、まだまだひよっこの出版社です。

 けれど、「日記」のことについては店が開店してからずっと、いや、その前から個人として折にふれて考えてきたという自覚があります。そのことについては、私が「蟹の親子」という名義で書いた『日記をつけて何になる?』(柏書房)をぜひ、お読みいただけたらうれしく思います(宣伝です)。
 今に始まったことではないにしても、昨今何でもかんでも「〇〇ブーム」とくくられがちで、もはや「ブームブーム」だなと思わなくもないのですが、日記もその一つとして昨年初めあたりからほぼ毎月、多い時で毎週のようにメディア取材が入っています。店舗の店長である栗本さんと一緒に分担して受けているのですが「なぜこのようなお店を作ったのですか?」「日記をつける人が増えたのはなぜだと思いますか?」「売れている日記は何ですか」「なぜ日記は続かないんだと思いますか」と、取材だから色々尋ねられるのは当然のことなのですが、そのように問われるたび「記事を書こうとしているあなたはどう思われますか」と尋ねてみたくなります。たまに「とはいえ〇〇さんご自身はどう思っているんですか?」と返すと話し出してくれる人もいるから、むしろそっちを書いたほうがいいんじゃないか、と思ったり(人には人の日記観があり、それを聞いている方が楽しい場合もあります)。
 ある問いに対する回答って、正直その時々で形が変わると思っています。「こないだはこう答えたけど、今回はこっちのキーワードから繋げられるかな」とか「あっちの言葉のほうが馴染むな」って試してみたくなるから、正解があるようでない。そのときどきで抱いている感情も違うし、最新の興味の対象とかも全然違うし。そういうある種、不確定なものの見方や対応しかできないのが自分の厄介なところだと悩ましく思うこともあります。だから一貫した姿勢や思想を持って生きている人は、輝いて見えますし、いわゆる責任感があるように見えます。
 ついでにもう少し私ごとを書いてみようと思うのですが、私は十代後半くらいから「ナイスな人になりたい」と思って過ごしてきました。理由は、根が全然ナイスじゃないからです。だから、ナイスに近づくために物事の見方をあらためたり考え直したりした結果、自分の考えは間違っていた、未熟だった、と気づくことが生きがいの一つになっています。覆されたい欲求と言えばいいのでしょうか。「なんて愚かだったんだろう」と気づく、そういう発見を求めてさまざまな物語に触れているのだと自覚します。ナイスになるために肝心なのは、そこに至るまでたくさん恥をかいて、ぼやぼやしながらも自力で気づくことなのかなと思います。
 そんな私にも定まってきた価値観があり、「日記」を書く・読むことの魅力は「世界との接点を増やすこと」だと見立て、あちこちで言わせてもらっています。他者の見ている世界=接点に触れることで、自分の視野の狭さや愚かさに気づきます。そして反対に、世界のあらゆる愚かさにも触れることになります。しかし、正しい/正しくない、合う/合わないなど、極端な二項対立の思考にのっとられないように、自分の見ている世界を過信しないよう戒めながら、過ごしていきたいと考えています。

日記屋 月日の本の一覧

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