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「トンカチ・ブックス」の本と仕事のこと

はじめまして。

私たちは、スウェーデンの陶芸家リサ・ラーソンをはじめとしたものづくり系のアーチストのライセンス管理や自社商品の企画、作家の作品やグッズ販売を行っている株式会社トンカチです。

「トンカチ・ブックス」は、一人の絵本作家 M. B. ゴフスタインの本を出版したくて立ち上げたものです。その多くが絶版となっていたので、自分たちの手で、新しい言葉と新しいデザインで、新しい読者に届けたいと思い、本を作ることに乗り出しました。

2021年に初めて、それまで日本では紹介されてこなかった、彼女のデビュー作「あの子たち!」(原題:Gats!)を出版し、それから5年が経ち、新しい読者をつかみつつあるという実感を得ています。

私たちのゴフスタインシリーズの最大の特徴は、通常バージョンの本とは別に、常にBOXセットを作ってきたことです。これは過去の名作をリリースする際の音楽ソフトの方法を真似たもので、作品をそのまんま復刻するのではなく、音源をリマスターして今の聴衆に向けて音の解像度を上げるように、本のデザインから翻訳までを一新しリマスターする。そして未発表や楽しいおまけを満載にした特別なBOXセットを必ず作って、コアなファンを満足させつつ、歴史的な傑作を傑作として、それにふさわしいアピールをしてきました。

これまで、トンカチ・ブックスでは、リサ・ラーソンの絵本を4冊、ゴフスタインの絵本を7冊とBOXセットを8種類、レスター・バングスの書籍を2冊刊行しています。今回は、その中からいくつか選んでご紹介します。

◼︎「ブルッキーと彼女の子羊」リマスターBOXセット 」
2021年5月刊行

初期の名作のひとつ「Brookie and Her Lamb」のオリジナル英語版を復刻した、特別なBOXセットです。英語版を理解するためのガイドブックと物語に出てくる羊を忠実に再現した、小さなぬいぐるみがセットになっています。
ゴフスタインが持つ「かわいい」にフォーカスして、そこにスタッフの私的な思い入れを込めたのが、このBOXセットなのです。

ちなみに、絵本の世界で、次々にBOXセットをリリースしているのは世界中でゴフスタインだけかもしれません!どのBOXセットもプレミアムな特典がついた完全コレクターズ・エディションです。

◼︎「海のむこうで

2021年6月刊行

1968年に発表された、M. B. ゴフスタインの初期の傑作「ACROSS THE SEA」を俳優・石田ゆり子さんの翻訳でお届けしています。こちらのBOXセットには「ミラクルな手紙」がついています。私はこの手紙のエピソードが大好きです。
トンカチがアメリカの古書店で入手した原書「ACROSS THE SEA」の中に1通の手紙が挟んでありました。ずいぶん経ってから、それに気づき、調べてみるとそれはゴフスタインのお母さんが1968年に出した手紙だったのです。奇跡?!神の啓示?!と興奮した私たちは、この手紙を再現して本の特典にしました。このミラクルな手紙事件は、ゴフスタインのBOXセットがずっと続いていくきっかけになったと思っています。

◼︎「Goldie the Dollmaker(人形づくりのゴールディー)
2022年10月刊行

人形づくりを生業としている女の子ゴールディーのお話。
作るということ、好きということ、生きるということ。ゴールディーがもう1つ上のステージに成長していく魂の物語です。
この絵本の企画中に私はトンカチのアルバイトになり、別冊「Goldie the Toolbox(お道具箱のゴールディー)」の絵作りの手伝いをしていたせいもあって、個人的に思い入れのある絵本です。
BOXセットにはさらに、ゴールディーの布製のぬいぐるみと、彼女が作りかけている木彫りの人形(高さ約4.5cmの小さな人形)と、リネンバッグがついています。この木彫りの人形は、北海道の木彫り師さんにお願いしました。私たちがどうしてもやりたかったことの1つでもあります。1体1体個性のある木彫りのお人形がずらっとならんだとても印象的な光景でした。

◼︎Unseen Animals(あんしんあにまるず。)
2023年3月刊行

リサ・ラーソンの展覧会に合わせて刊行した絵本です。この展覧会のテーマ「SEEN AND UNSEEN」(見えるものと見えないもの)の音の響きから「あんしんあにまるず。」という日本語が生まれ、すべてはそこからインスピレーションを得て絵本にしました。

当時スタッフに赤ちゃんが生まれて、その子と日々接する中で、言葉以前の世界はなんて豊かなんだろうと気づいたことで生まれた本でもあります。「あ~」とか「ばうばう」とか赤ちゃんが発する音は、毎日違っていてどんどん変化していく。音には意味がくっついてなくて、感情を伝えようと思わず動いた気持ち、つまり「心」だけがくっついている。だからなんだかわからないけど、言葉にできないものが伝わってくる。泣けてくる。感動する。喃語(なんご)と言われるものは、コミュニケーションの本質なんだという気づき。それを本にしました。これはある意味で、リサと私たちの共作と言えるものです。

◼︎「サイコティック・リアクションズ・アンド・キャブレター・ダング」レスター・バングス著作集
2025年7月刊行

伝説のロック評論家レスター・バングスのアンソロジー(著作集)の初の邦訳版です。2024年に初邦訳が刊行された「Let it Blurt」に続く、トンカチ・ブックスからのレスター・バングス関連の第2弾です。
ゴフスタインとは全く毛色の違う本ですので、私たちがこの本を出したことに驚く方も多いのですが、まだまだ多くの人に知ってほしい本であり、今でも、今だからこそ、意味がある本かもしれないという意味で、私たちの中では、一貫した同じ流れの中にある本です。

私たちトンカチは、雑貨から食器、アート作品やワインまでをプロデュースしています。何が本業と決めないことで、あちこち寄り道しながら、遊ぶように働く小さなチームです。私自身はまだまだ経験が浅いので、何か寄り道ができそうなことがあったらぜひ教えてください。

これからも、どうぞよろしくお願いします。

トンカチの本の一覧

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