「書評紙」の役割とは?
『週刊読書人』(毎週金曜日発売、年48週発行)は、1958年に創刊した<書評新聞>です。読みごたえのある書評(通常1600字、長編書評は4000字を超えることもあります)はもちろんのこと、文学界のニュース、作家、美術家、映画監督たちのインタビューも多数掲載しています。創刊以来、休刊することなく、今現在も、日本や世界の出来事とともに文壇の歴史を記録し続けています。
その発行元が、株式会社読書人となります。設立は1964年4月3日です(創刊と設立にずれがあるのは、『読書人』が元々、日本書籍出版協会が発行していたことによります、それを引き継いだのが弊社となります)。
年間約700点の書評を掲載し、これは他の媒体を圧倒する情報量となります。書評・記事・広告等すべてを合わせると、年間約2万冊の書籍を取り上げています。今現在、各版元様から、毎週200冊ほどの書籍を献本いただいております(版元様のご担当者様、本当にありがとうございます。この場を借りて、御礼申し上げます)。毎週編集会議を開き、その中から、厳選された本が、書評に取り上げられることになります。
寄稿者は、作家、大学教授、専門家、批評家です。年間、国内外の600名以上の執筆者が寄稿されます。そのため、学者や研究者だけではなく、全国の図書館や書店員さんからも高い評価を得ております(こちらも、この場を借りて、御礼申し上げます。毎週、お読みいただき、ありがとうございます)
まずは、一度、ウエブ版(読書人WEB)をご訪問ください。このサイトは、1958年以降の本の批評記事(=書評)を収録したオンラインデータベースです。1年間に約50冊発行してきた『週刊読書人』。そのすべて(約3300号)が検索して閲覧できます。また、有料会員のお客様は、毎週金曜日に発売される最新号もお読みいただけます。年代、書籍名、評者名、作家名……気になるキーワードで検索も可能。文壇の歴史を思う存分冒険することができます。
操作性の高い新聞ビューワーに加え、「マイページ機能」も搭載。お気に入り記事のブックマークや、気になる文章のマークアップなど、自分だけのオリジナルメモスペースを作ることができます。お気に入りの連載記事をブックマークすれば、カスタマイズされた自分だけの『MY読書人』が完成。じっくり読みたかった記事を、いつでも、どこでも、好きな時間に読み返すことができます。
書店員さんや図書館員さんといった〈出版関係者〉向きには、お得な〈読書人友の会〉プランもご用意してあります。こちらだと年間1万円で読書人WEBが利用し放題です。
是非、一度アクセスいただければ幸いです。
読書人友の会 | 読書人WEB
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現在、日本では、毎年6万5000点もの本が出版されています。書評紙の役割とは、その中から、読んでためになる、学ぶこと多い、また楽しむことができる本を、一冊でも多く書評に取り上げ、広く読者の方々に紹介するということにつきます。書店を訪れれば、読み切れないぐらいの本が書棚に並べられています。ネット書店にアクセスしても同様です。情報が多すぎて、どの本を読めばよいかわからない。そんな方は少なからずおられると思います。本は好きだけれど、読書はしたいけれど、何を読めばいいのだろうか。そんな思いを抱く方々の、強いパートナーが、〈書評紙〉です。
『日本読書新聞』『図書新聞』、そして『読書人』と三紙鼎立していた時代がありました。1984年12月に、『日本読書新聞』が休刊となりました。そして、この3月末に、『図書新聞』が「77年の歴史に幕を下す」と、先日、毎日新聞で報道されているのを読みました(情報自体は、既に『図書新聞』の紙面で告知をされておりました)。〈ライバル紙〉がなくなるのは、本当に寂しい。不思議なことに、この2紙の1面企画は、年間でもほぼ重なることはありません。決して、編集長同士が示し合わせているわけではありません。だからなのか、毎週金曜日に『図書新聞』が届くのが楽しみでした。そして、隅から隅まで目を通して、毎回学ばせてもらった。こんな時代に〈硬派〉を貫きつづけた、須藤巧編集長をはじめ、スタッフの方たちに、心の底から「ありがとう」と御礼申し上げたい。
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厳しい出版状況のなか、弊社では、書評紙の発行だけではなく、単行本の刊行も、9年前にはじめました。最初の本は、批評家・哲学者の柄谷行人さんの『柄谷行人書評集』でした。
定価は3200円で初版は2000部。幸いに、重版することができました。書評紙の発行元が書評集を刊行するというのは、まさに本分に沿ったものだったと思います。因みに、柄谷行人さんの本は、それ以降も、二冊刊行いたしました(『柄谷行人発言集 対話篇』『遠い国 遠い言葉 柄谷行人未刊行文集』)。
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昨年11月には、私自身がコーディネーターとなって、10名の講師の先生方に、立教大学で講義を行っていただいた、その講義録を刊行しました。それが『戦後の日本社会に影響を与えた「古典」を読む 現代社会と民主主義を考えるための10講座』です。
宣伝にはなってしまいますが、その10講座を列記します。
第1講 ゼロから出発すること―ジャン=ジャック・ルソー『人間不平等起源論』を読む(王寺賢太)
第2講 三島由紀夫はいかに「戦後」を引き受けたか―三島由紀夫『豊饒の海』四部作を読む(小林康夫)
第3講 アメリカの民主主義について考える―アレクシ・ド・トクヴィル『アメリカのデモクラシー』を読む(渡辺 靖)
第4講 「ノンフィクション」における文体の冒険―沢木耕太郎『テロルの決算』『一瞬の夏』を中心に(武田 徹)
第5講 「本よりの交はり」―小林秀雄「ヒューマニズム」(『考へるヒント2』)を読む(苅部 直)
第6講 水俣病闘争とは何だったか―石牟礼道子『苦海浄土』を読む(米本浩二)
第7講 「問い」を立てながら、歴史を考える―網野善彦『「日本」とは何か』を読む(成田龍一)
第8講 彼自身によるトマス・クーン―トマス・S・クーン『科学革命の構造』を読む(野家啓一)
第9講 『時間の比較社会学』と世界システム論―社会学・人類学と歴史学 序の序(吉見俊哉)
第10講 新たな権力〈生権力〉の登場と展開―ミシェル・フーコー『知への意志』を読む(小松美彦)
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繰り返しになりますが、非常に厳しい出版状況にはあります(〈書評紙〉というメディアは特に厳しい。それが偽らざる思いです)。その中で、まさに〈泥舟〉に乗っているような今現在です。ただ、〈泥船〉であっても、近くにある横の島までは行けます。途中で舟が沈んでも、泳いで岸までたどり着ければいい。そこに、もし同じ志を持った人間がいれば、仲間となり、木を切り倒して、小さな筏をつくって、もう少し遠くの島まで行くことができれば、さらに仲間を増やすことができるかもしれません。たった1紙になってしまっても、常に大海に向けて舟を漕ぎ出していく気持ちだけは失わず、出版界の片隅で、時には後退しても、地道に前を向き、進んで参りたいと思います。「動かなければ、鎖で縛られていることには気が付かない」(ローザ・ルクセンブルク)のですから。