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アナログとデジタルを行き来するのが健康と考えている


DIY BOOKSの平田提(だい)と申します。兵庫県尼崎市武庫之荘にある書店兼出版社です。ZINEをつくったり、ZINEのスクールなどを開いていますが今年から『木ひっこぬいてたら、家もらった。』を皮切りに版元として活動を始めました。

9月につくったZINE『昔の会社員はどうやって仕事していたのか?(vol.1)』の続編、最終的な書籍化を目指して今はひたすら計算機、パソコンの歴史を調べています。
その中で最近気づいたことなどを書きます。

オン/オフを切り替える、という意味の会社名

DIY BOOKSは屋号で、株式会社TOGL(トグル)という会社が運営しております。Webの編集やライティング、マーケティングが主たる事業です。
社名の由来はトグル(toggle)ボタン。ダッフルコートの前をとじるアレもトグルというそうなのですが、一般的には「オン/オフを1つで切り替えるボタン・スイッチ」のことを指します。照明のスイッチとか、パソコンの電源ボタンもそうですね。Webやアプリ界隈では、設定のオン/オフを切り替えるUIのパーツとして知られています(スマホのWi-Fiのオン/オフを切り替えるアレです)。

個人事業主時代からその屋号。語呂の良さぐらいで、なんでこの名称になったのか自分もよく分かっていないところがありました。
ただオンとオフを切り替えたいよな、とかオフの時間がもっと増えた方が人は幸せだよな、とかデジタルとアナログをバランス良くやっていきたいなというのはずっと考えていて。

結局Webコンテンツは何らかのコンバージョンをもたらすものです。リンクやバナーのクリック、購入、申し込み、シェア……ただコンバージョンって「改宗」というのが元々の由来みたいです。けっこうマーケティングとか、ウェブ関連の用語って大それたものが多いんですよね。イーサネットの「イーサ」は「エーテル」だったり。

ただもしオンラインのコンテンツでその人に何か新しい視点や切り替えポイントを与えたとしても、オフラインの生活上で何かが変わるわけで。買ったものが届いたり、行動が変わったり。どちらにしてもオフが変わらないと何も変わらない。

で、パソコンについて調べているとパソコンは「0と1」の2進法でできているわけです。ライプニッツ、バベッジ、ブール、シャノンなどの数学者・研究者たちの試行錯誤を経て2進数と、真偽(true/false)を問う論理学、電圧(回路)のオン・オフで表現すればプログラミングができる!となったのが(雑ですが)コンピュータの始まりでした。

パソコン上で起きていることは何だかバーチャルなことのようで、実際にはリアルに電圧やボタンのオン/オフが行われているわけです。現実は変わっている。でも、それって端末の中の話なんですよね。

健康ってバランスのことではないか

私はマンガや小説・本が大好きで、図画工作も大好きでした。それが流れ流れてインターネット(WWW)と出会って今の仕事をしているわけですが、なんだか最近のヒト(自分を含む)はデジタルで考えがちになってきていないかと思っているのです。

デジタルとアナログとは電子的とか古いとかではなく、瞬間的で非線的なのがデジタルで、連続的で線的なのがアナログです。
一番分かりやすいのは音声を録音したときの波形ですが、あの連続した一筆書きの波はアナログで、それを棒グラフ的にシーンという瞬間に分解していくのがデジタルです。

「いま、ここ」に集中するのは時代の流れ的に正しいようにも思いつつ、どうも「いま、ここに生きすぎじゃないの」とも思うのです。

動的平衡もしかり。ホメオスタシス。エントロピー増大に抗うのが生命なので、つねに揺れ動くのが自然だと思います。

二項対立のどちらかに舵をガッときることではなく、間をぐらぐらしながら生きる。計画と無計画の間を、健康と不健康の間を生きる。そもそも、軸は2つではないかもしれない。

一つ一つの投稿とか、モメンタムとかデジタル的に暮らしを切り取って二項対立を煽るような流れが見えるのですが、たとえデジタルだとしても2進数的に「進む」もんなんじゃないの、というか。今この瞬間、他の人に後ろ指さされるようなことをしていても、謝ってその後良い行いをすることもあるかもしれない。その逆もあり得る。でもそれが人間だし人生だし、昔好きだった古い映画に出てきた人物たちはそんな感じでロングスパンで人に賭けていたように思うんです。なんだか余裕がなくなってきたなあ、自分も。

2つの間を揺れ動く、それが健康、健全なんじゃないか。そして上のように寛容な姿勢も、「そういうもんだ」と捉える余裕から生まれる。
究極は体や心や暮らしや健康であるために人間活動があると思うのですが、人間自身がトグルスイッチのようにぐらぐらバランスを保とうとする。そして時間も経つし、経験もするし、でぐらぐらしながらも進んでいく。変わるってそういうもんなんじゃないかと最近考えているのです

DIY BOOKSについて

さてTOGL創業以来ずっとリモートワークだったのですが、これがとにかく性に合わない。DIY BOOKSはそんな状況に抵抗するために2023年に始まりました。

TOGLが2000年代に自分でサイトをつくっていた経験から始まっているとすれば(いろいろ経緯はZINE『武庫之荘で暮らす』に書いていますが)DIY BOOKSはZINEを2010年代につくっていた経験からスタートしています。
もっとさかのぼれば図工が好きだったこと。自分が頭でっかちになって書けなくなくなった経験からです。

DIY BOOKSという屋号は「とりあえずつくろうよ」の意味でもあるし、自分自身がつくれる本屋であろう(大河ドラマ『べらぼう』の蔦屋重三郎的に)という意味もある。スクールのように、お客さんがつくる本屋、という意味もあります。

「本屋」を辞書でひくと本を売る人とつくる人、両方の意味がある。その両方でありたいと思っています。個人的にはそれが自分にとって健康的だからです。

最近コードを書くことはあまりありませんが、Webに載る文章を書いたり編集したりする一方、開店以来3,000冊ほどを刷って手製本してきました。デジタルの仕事もアナログも両方続けていきたい。文理融合というまでもなく、大元にいる人間をしっかり見つめる人をもっと増やしたい。

「DIY」は読みにくい自分の名前「だい」とかけているのもあって、基本的には自分だけが著者になって出版する所存でおります。

だから自費出版ですかともいわれるし、何がZINEと違うのともいわれまして、自分でもここら辺の境界が何か本当に分からなくなってきました……。でも、いろいろやれることをやっていきたい。いろんな形を示したいと思います。健康に。みなさまもそれぞれの健康であられますよう。

DIY BOOKSの本の一覧

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