こんな5年めです
年々、わがままになってきている。ような気がする。
ひとり版元としてはそれでいい。ような気もしている。
2020年12月にウー・ウェンさんの『料理の意味とその手立て』という、料理関係の本としてはかなり地味な書籍を作ったっきり、次の本が出せないでいる。
企画は立ち上がれども、途中でおのれの力不足を感じて立ち往生していたり、ゆっくり原稿を進めてもらっていて、なかなか刊行にたどりつかないものもある。
もともと気ままな性格だったが、会社員を辞めたら拍車がかかった。年齢を重ねてさらにひどくなった。
もはや気が向かないことはしたくない。
締切に向かって本を作らない。
ゆっくりしか進まない原稿はいつまでも待つし、立ち往生したら迂回路を静かに探す。日々のやりくりは、いただいた仕事でなんとかまかなう。
人に迷惑をかけないように気をつけて、自分がいいと思えることだけをやる。
そんなふうに本を作っていたら時がぐんと過ぎていった。
しかしですよ。
今、ようやく順調に進んでいるのです。
うまくいけば来年末に刊行できるでしょうかという本が一冊。
いや、うかつにそうとも言えないか。手強い著者だからして。
好きな人(=著者)に価値観をひっくり返されるのもこの仕事の醍醐味か。
あれ? 温めていた企画がもしかしていっぺんに進行してしまうの、来年?
まいったなあ、そんなギャンブルおそろしい。
とまあ、そんなこんなの明け暮れです。
『料理の意味とその手立て』から5年が経ち、書籍づくりのあれこれは忘却の彼方。また一から始めようと思います。浦島太郎をよろしくお願いいたします。