版元ドットコム

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[ニュースリリース]図書館のOPACなどで書影の利用が可能なopenBD

国会図書館『カレントアウェアネス-E No.327 2017.06.22』にて掲載されたものを転載しています。
http://current.ndl.go.jp/e1924

版元ドットコムは,書誌情報・書影を出版業界各所やインターネットで発信して,制作・発売した本の販売促進に役立てようと2000年に30社ほどで発足した,中小出版社の業界団体である(現在約240社が加盟)。

2017年1月に,図書館横断検索サービスの株式会社カーリルと協業して「openBD」(オープン・ビー・ディ)という,書誌情報・書影のAPI提供サービスを始めた。出版社の発信した書誌情報・書影の収集を版元ドットコムが行ない,高速なAPIを提供するシステムの開発をカーリルが担当している。

●openBDがAPIで配信する書誌情報・書影の種類と統計

現在,版元ドットコムが保持して,openBDに橋渡ししている情報は次の通りである(2017年5月30日現在)。
書誌情報 97万623タイトル
書影 50万634タイトル
掲載出版社 2万9,547社
近刊情報(発売予定の書誌) 3,460タイトル(366社分)
ためし読み(本文の一部が閲覧可) 1万3,448タイトル
書評掲載情報 3万9,984タイトル(5万9,112件分)
増刷情報 1,280タイトル
またこのうち,版元ドットコム会員社とその書誌情報については次の通りである。

版元ドットコム会員出版社 242社
会員出版社書誌情報 5万1,467タイトル
これらの数字は,版元ドットコムのウェブサイトのトップページに常に掲載・更新されている。ちなみに,国立国会図書館(NDL)の2015年度の所蔵図書は約1,075万点,年間受入点数は約22万点で,出版業界で現在入手可能な図書は140万から150万点,年間発行数は約7万点,と見られている。

●openBDのデータの特徴

版元ドットコムが収集し,openBDからAPI配信しているデータは次のような特徴がある。
(1)出版社の広報活動として発信したものを基盤にしているので,ネット書店が公開するデータに依存せず,図書館をはじめ,誰もが自由に利用できる。
(2)発行前の「近刊情報」が配信されている。
(3)書影が配信されている。
(4)内容紹介・目次・著者紹介などが書誌情報として配信されているものが多い。
(5)版元ドットコムが収集している本に関する情報である,新聞の書評欄に掲載された情報,ためし読み,増刷情報などがある。
●出版社が発信した書誌情報・書影を利用したopenBDのデータ

openBDは,出版社が発信した書誌情報・書影を収集して統合した版元ドットコムDB搭載データのすべてを,APIで配信するものである。
openBDで配信する書誌情報・書影のもととなっている第一のまとまりは,版元ドットコムが書店など業界各所に自動的に配信するため,会員出版社が近刊の段階から版元ドットコムシステムに登録している書誌・書影である。会員出版社の,約5万点の書誌・約4万点の書影が登録されている。

第二のまとまりは,日本出版インフラセンター(JPO)の出版情報登録センター(JPRO)が登録出版社から,近刊の段階から収集して,取次・書店・NDLなど関係機関に配信しているデータであり,版元ドットコムも受信している。

JPROは大手出版社から中小出版社まですべてのISBN出版社記号取得社を対象にしていて,書誌情報・書影の「ナショナル・センター」として機能している。登録出版社は925社で,月間4,000点の近刊・新刊のデータを収集・配信している。版元ドットコムも,JPROへのデータ登録を積極的に進めていて,版元ドットコムシステムに登録すると自動的にJPROにデータを送り出すシステムにしており,会員出版社のうち155社がJPROへのデータ登録も行っている。

第三のまとまりとして,NDLの国立国会図書館サーチや国立情報学研究所(NII)のWebcat PlusのAPI,出版社のウェブサイトからも,補完的に書誌情報・書影を収集している。

●版元ドットコム,JPROの利用規約

版元ドットコムのウェブサイトに掲載した書誌情報・書影に関する立場は,「このサイトのAPI」というウェブページに次のように記載している。
版元ドットコムサイトで公開している書誌・書影のデータはどなたでも自由に利用していただけます。(中略)個人のブログ,企業・個人の開発するiPhoneアプリ,図書館のOPAC,書店のデータベースなどなど,どのような利用でもかまいません。
また,版元ドットコムDBに統合している,JPROの利用規約のうち,「取次・書店・図書館」向けの利用規約である利用規約Bでは,

受信者は,受信した出版情報を,対象の出版物の販売促進を目的として,自ら利用又は第三者に利用させることができます。その際,出版情報提供者らの意図を損なわない範囲で,自らの責任で情報を要約・編集することができます。
として,本の紹介を目的とした自由な利用を可能としている。

したがって,版元ドットコムはこのJPROから配信された書誌情報・書影と,会員出版社の登録したデータ,補完的に収集したデータと統合して,openBDとしてAPIで配信し,自由な利用を呼びかけている。

●図書館での書誌情報・書影利用を拡大し,本をめぐる世界をより豊かに

図書館では,openBDプロジェクトの発信するAPIを利用してOPACなどで書誌情報・書影を,どんどん利用して欲しい。openBDからAPIで発信しているデータは,版元ドットコムのウェブサイトで確認できる。図書館では,2017年4月から,野田市立図書館(千葉県)が書影利用を始めている。

版元ドットコム/ポット出版・沢辺均

Ref:
 https://openbd.jp/
 http://www.hanmoto.com/
 https://openbd.jp/pdf/openBD_doc_20170123.pdf
 http://www.hanmoto.com/about_api
 https://jpro.jpo.or.jp/handout/list
 https://www.library-noda.jp/homepage/info/info2017.html#20170419
 http://www.hanmoto.com/800-2
 http://iss.ndl.go.jp/books/R000000004-I028094248-00

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