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輝く智慧に照らされて
- 初版年月日
- 2003年9月
- 書店発売日
- 2003年9月20日
- 登録日
- 2010年2月18日
- 最終更新日
- 2010年11月11日
紹介
人生の「肝心かなめ」を語ろう。
教育、家族、ひきこもり、差別、クローン人間、タマちゃん……、本書は、身近な暮らしの一コマや現代のさまざまな事象を、法華経の智慧の光を照らして見つめたものです。
法華経は宗教経典としてばかりではなく、思想書としても、哲学書としても、あるいは人生訓としても、読む者に新鮮な感動をもたらしてくれるすばらしい智慧の宝庫です。
底なしの不景気、犯罪の増加、教育の荒廃と難題山積の現代、そのなかで私たちは、どう生きればいいのでしょうか。本書は、法華経の一句一句が光を放って、私たちに語りかけてくれる人生論です。
目次
第一章 心の珠玉に目覚める
時代を超えた本質/常識では計り知れないものがある
知恵の限界/電子レンジ理論/人を敬う
第二章 惑いと教えのはざまで
自我心を離れても、なお「惑」の中
拝まれてはかえって迷惑/「おーい、火事だぞ!」
教育ということ/子どもは親の所有物ではない
それにつけても金の欲しさよ
第三章 道往くさなかで
差別を認めてこそ平等/ピンチを救う不思議な力
心に響くしなやかな言葉/深さゆえに、わかりにくい
心の勇気/社会に生き、社会を活かす
第四章 心すべき肝心要
本当の自信/魂の不老不死
仏教の肝心かなめとは/心の根っこを育てる
前書きなど
2003年のNHK大河ドラマは『武蔵 MUSASHI』というタイトルです。このドラマの原作は吉川英治の小説『宮本武蔵』。お読みになった方も大勢いらっしゃると思いますが、私も若いころに夢中になって読んだものでした。
テレビドラマの『武蔵』のほうは、私ははじめの数回を見たにすぎませんが、吉川英治の原作とは、印象があまりに違うので驚きました。テレビの武蔵は、役者さんは大熱演なのですが、脚本家が武蔵の人間像をとらえそこねているような気がしてなりません。あるいは、何か理由があって、意図的に原作から離れたものなのでしょうか。武蔵は、「強くなりたい」の一点張りで、どうも深みに欠けるようです。
そんな一点張りでは、本当には強くなれないのではないかと思えるのです。そこで、本当の強さとは何か? を考えてみたいと思います。
(中略)
私が本格的に法華経の勉強を始めた二十歳代のころのことでした。たまたま室町時代の日隆師(八品派祖、1385~1464)の教えを勉強していたところ、「古歌に……」と断り書きをして、次のような歌が引かれているのに目が留まったのです。
なかなかになお里近くなりにけり あまりに山の奥をたずねて
私は驚きました。これとほぼ同じ歌が吉川英治の小説『宮本武蔵』にもあったことを思い出したからです。
武者修業を重ねつづけて、天下無双の剣豪の名を得た武蔵ですが、その晩年は慎ましいものでした。徳川将軍家の剣術指南役に推挙されるという兵法者にとっては最高の栄誉が与えられようとするころになっても、小屋を建てて百姓仕事をしている、そういう武蔵の心境を表す歌として吉川英治は「なかなかに人里近くなりにけり あまりに山の奥をたずねて」を引いていたのです。
このエピソードで示されているのは、名人と達人の違いということだと思います。名人のうちはいかにも強そうだ、優れている、と誰もが思いますが、その道をさらにきわめて達人の境地に達すると、一見した限りでは誰が見ても平凡な人間にしか見えないものです。それこそが達人の境地に達した、あるいは近づいた武蔵の姿だと、吉川英治は言おうとしたのだと思います。 ……本書「心の勇気」より
版元から一言
◎ここがポイント
・科学技術は進んでも、ますます人が生きにくい時代になっています。そんな時代の生きる指針を考えます。
・教育、家族、ひきこもり、差別、クローン人間、タマちゃん……、身近な話題から、わかりやすく人生を考えていきます。
・人間の知恵には限界の壁があります。そこで智慧の宝庫といわれる法華経に照らして人間社会を見つめ、より人間らしい生き方を見いだします。
◎こんな人にお薦め
・難題山積の現代に、自分を見失いそうだと思っている方。
・これからの長い人生を、しっかりと見つめ、自分の生き方を見つけたいと思っている若い方。
・生きてきた長い人生を、もう一度見つめなおしたいと思っている方。
・仏教や法華経の教えを学び、人生に活かしたいと思っている方。
上記内容は本書刊行時のものです。