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満州 奇跡の脱出 ポール・邦昭・マルヤマ(著) - 柏艪舎
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満州 奇跡の脱出 (マンシュウ キセキノダッシュツ) 170万同胞を救出すべく立ち上がった3人の男たち (ヒャクナナジュウマンドウホウヲキュウシュツスベクタチアガッタサンニンノオトコタチ)
原書: Escape from Manchuria

歴史・地理
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発行:柏艪舎
四六判
352ページ
上製
定価 2,300円+税
ISBN
978-4-434-16055-4   COPY
ISBN 13
9784434160554   COPY
ISBN 10h
4-434-16055-9   COPY
ISBN 10
4434160559   COPY
出版者記号
434   COPY
Cコード
C0021  
0:一般 0:単行本 21:日本歴史
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2011年12月
書店発売日
登録日
2011年12月2日
最終更新日
2018年3月16日
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書評掲載情報

2021-10-04 産經新聞  
評者: 産経新聞 ビブリオエッセー
2018-05-22 国際貿易    第2241号
評者: 亜娥歩
2018-04-27 毎日新聞  
評者: 藤原章生
2018-03-31 北海道新聞    朝刊
2017-11-08 南信州新聞  
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重版情報

3刷 出来予定日: 2018-03-19
2刷 出来予定日: 2017-10-10
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NHK 特集ドラマ「どこにもない国」原案本! 大好評につき、重版出来!
3月24日・31日(土)NHK総合にて、夜9時から放送されます。
出演 : 内野聖陽、木村佳乃、原田泰造、蓮佛美沙子、満島真之介、片岡鶴太郎、萩原健一 ほか
http://www4.nhk.or.jp/P4600/

紹介

 終戦時、満州にはおよそ170万の日本人がいた。敗戦後の満州国解体、ソ連軍の侵入により、彼らは故国帰還の途を断たれる。死と隣り合わせの恐怖に脅える同胞を救おうと、決起した丸山邦雄、新甫八朗、武蔵正道。3人は、数々の危険や非道な拷問にもめげず、マッカーサーGHQ最高司令官、吉田茂外相(のち首相)など日米要人に直訴を続けた結果、1946年4月、ついに“在満日本人引き揚げ”を実現させた。
 使命に燃える3人の献身的な活躍を、当時の歴史的背景および満州における日本人の暮らしぶりとあわせてヴィヴィッドに描いた 感動のノンフィクション。

目次

 謝辞                   2
        本書カバーの『在満同胞を救へ』について  9
        序文                   12
        第一章  排日移民法との闘い       19
        第二章  立ち込める暗雲         30    
        第三章  ソ連の満州侵攻         39
        第四章  ソ連侵攻後の悲劇        51
        第五章  苦難の時            64
        第六章  誰が猫の首に鈴をつけるか    70
        第七章  脱出ルートの模索        83
        第八章  脱出計画            91
        第九章  家族を大連へ          104
        第一〇章 脱出              112
        第一一章 自由のない敗戦国        121
        第一二章 陳情活動の開始         132
        第一三章 コロ島を探せ          140
        第一四章 さらなる陳情          149
        第一五章 マッカーサーへの直談判     156
        第一六章 パトリック・バーン神父     164
        第一七章 ラジオ放送           174
        第一八章 ユートピアの到来        185
        第一九章 再び満州へ           205
        第二〇章 『在満同胞を救え』        217
        第二一章 ソ連占領下の港を開放せよ    233
        第二二章 虎穴に入らずんば……      239
        第二三章 世論喚起の演説         254
        第二四章 家族との再会          264
        第二五章 回避されたストライキ      275
        第二六章 大連に閉じ込められた少女    283
        第二七章 米ソ首脳への陳情書       293
        第二八章 間に合わなかった臨終      303
        第二九章 戦後八年目の引揚げ       311
        第三〇章 借入金問題           320
        第三一章 なぜ三人は成功したのか     327
        第三二章 最後の闘い           335
        訳者あとがき               342
        参考資料一覧               346

前書きなど

序文より抜粋
本書は、一九四六年に極秘に満州を脱出し、取り残された一七〇万同胞を救出すべく駆け回った勇者たちの物語だ。丸山邦雄、新甫八朗、武蔵正道の三人は、人目を忍んで鞍山から大連へ、さらに新京(現・長春)を経て奉天(現・瀋陽)へ、そこから中満国境の町・山海関へ向かい、万里の長城を超えて中国側に入り、ついに天津の塘沽港へとたどり着く。そしてそこから米海軍船の戦車揚陸艇LSTに乗り込み、日本への帰国を果たす(なおLSTは、戦後中国本土に残された二〇〇万もの日本人を引き揚げさせる際に活躍した)。こうした危険な満州脱出劇は、他の日本人の知らないところで遂行された。
帰国を果たした三人は、国民、政府、連合国軍最高司令官総司令部(以下、GHQ)に在満同胞の窮状を訴え、引揚実現のための積極的な運動を展開する。当時、中国本土、インドネシア、フィリピンなどからはすでに数百万人が引き揚げていたのに対し、満州からはまだ誰一人として引き揚げていなかったからだ。当時大がかりな引揚げを実現できるのは、ダグラス・マッカーサー率いるGHQをおいて他になかった。そこで三人はGHQに頻繁に足を運び、最終的にはマッカーサーとの面会を果たすが、まさにその直後の一九四六年四月二〇日、マッカーサーによって満州のコロ島への引揚船派遣命令が出されたのだった。なお、コロ島は満州でソ連占領下にない唯一の港で、蒋介石率いる国民革命軍(以下、国民党軍)の支配下にあった。
米軍の人道的支援とマッカーサー個人の理解もあり、一九四六年の終わりまでに、一七〇万同胞のうち一〇〇万人余りがLSTや日本の民間船で無事に引き揚げることができた(なお、どの引揚船も乗組員は全員日本人だった)。だが、コロ島からの引揚げが終わりに近づいた頃になっても、満州のソ連占領地域にいる何十万もの日本人には帰国の許可が下りなかった。そこで三人は、引き続き政府やGHQの関心を引揚問題に向けさせるべく、絶え間なく活動を続ける。こうした働きかけの結果、一九四六年一二月には米ソ間の交渉が実り、ソ連占領地域の港も引揚港として開放されることになった。
もちろん三人は全ての命を救えたわけではない。飢え、病気、寒さのために命を落としたり、ソ連軍や中国共産党軍(以下、中共軍もしくは共産党軍)、さらには「匪賊」と呼ばれる武装集団に殺されたりした日本人は何千何万にのぼる。とはいえ、三人が引揚実現に向けて奔走しなければ、犠牲者の数は想像を絶するものになっていたのかもしれない。

版元から一言

訳者あとがき

終戦後、戦地・外地から日本への帰還が進められた。帰還者は、軍人については復員兵、そして民間人については引揚者と呼ばれた。復員・引揚げともに比較的順調に進み、やがて日本は復興期の苦難を乗り越えて世界有数の豊かな国になった。敗戦によって一気に苦境に陥った七〇〇万もの同胞を外地に見棄てたままでは、平和で豊かな国づくりへのスタートは切れなかったに違いない。
だが、そうした帰還の流れから完全に取り残された地域があった。それが、ソ連軍の占領下に置かれた地域、とりわけ中国東北部の「満州」である。そこからの帰還について、民間人が経験した悲惨な逃避行や、シベリアに抑留された日本兵の話などはよく知られているが、民間人一七〇万人の帰還の途が完全に断たれていた事実に光が当てられることはほとんどなかったように思われる。本書が描こうとしたのは、命の危険にさらされていた一七〇万もの在満同胞を救い出そうと奔走した、三人の男たちの勇気ある行動である。
本書の原作である"Escape from Manchuria"との出合いは、昨年の米国旅行にさかのぼる。その頃私は、日系米国人の強制収容所についての本を翻訳中だった。第二次世界大戦中にコロラド州に作られた、アマチ収容所にまつわる話である。訳しているうちに、アマチの風や砂嵐といったものを肌で感じてみたいと思うようになり、昨年九月、著者のリリー・ヘイビー氏とともにアマチを訪れることになった。その折、コロラドスプリングスにあるコロラド・カレッジで、ヘイビー氏が収容所についての講演を行なうことになったが、その講演会の主催者が同大学で日本語を教えておられるポール・K・マルヤマ氏、すなわち本書の著者であった(以下、丸山先生と呼ばせていただく)。
実は丸山先生にお会いする前に、ご著書の"Escape from Manchuria"を日本であらかじめ読んでいた。主催者の方との話題作りにでもなればと読み始めたのだが、読んでみると非常に興味深く、話にどんどん引き込まれて一気に読み終えた。ぜひとも日本の読者にこの感動を伝えたいと思い、丸山先生にお会いした折、「この本を私に訳させていただけませんか」と持ちかけた。先生も日本での出版を望んでおられたので、「それではぜひ」という話になった。懐の深い先生は、私の熱意を買って下さり、訳者として出版社に推薦して下さった。
帰国後、昨年の一〇月の終わり頃から本格的にこの大作の翻訳に取りかかった。訳し進めるうちに、いつしか私は主人公の丸山氏になり切って、混乱の満州を追体験していた。手に汗握る脱出の場面ではともに冷や汗をかき、マッカーサーによって引揚船派遣命令が出された時にはともに喜び、大連から引き揚げてきた家族とついに再会を果たした時にはともに涙した。
四〇〇ページ近い原作をやっと訳し終えた時、ふっと肩の荷が下りるとともに、一抹の寂しさも感じた。本書の翻訳に取り組んだこの七ヶ月は、寝ても覚めても満州のことが頭にあって、現代を生きながら頭のなかは当時にタイムスリップしたような生活を送っていた。だが訳し終えた瞬間に、とうとうこの作品が私の手を離れ、独り立ちして行くのを感じたのである。丸山氏になり切った七ヶ月は、涙あり、スリルありの、とても充実した時間であった。と同時に、戦争の恐ろしさについて考えさせられた時間でもあった。侵略者である日本人に殺された中国人、ソ連兵や恨みを晴らそうとする中国人に殺された日本人、そして厳冬の満州で飢えや病で死んでいった何の罪もない女性や子供たち……。戦中戦後を通して、何と多くの人命が失われたことか。こうして死んでいった一人ひとりの命の尊さ、重さを考えるとき、どんな大義名分があろうとも殺し合いは悪であり、二度とこのような時代を到来させてはならないと思う。
邦訳版について、ここで一言お断りをしておきたい。原作の引用部分は全て原典に当たって確認し、演説や声明は基本的にそのまま抜粋しているが、読者に分かりやすいよう部分的に表現を変えさせていただいた。また、できるだけ史実に忠実に訳すという方針から、原作に誤りがあった箇所については丸山先生に確認を取り、先生の許可のもとで修正させていただいた。さらに、原作で同じ内容が繰り返されている部分も、先生や編集者と相談のうえで記述を一箇所にまとめている。
翻訳の作業を進める途中、不幸にも、あの東日本大震災が起きてしまった。今、日本は未曾有の苦境にある。被災地は決して満州のように離れるべき地ではなく、人々が早期に安全に帰還できるようにすべき地であり、今そのために各方面で様々な被災地支援がなされている。こうしたなか、命を賭してまで同胞を救い出そうとした本書の主人公たちの姿を重ね合わせてみるとき、彼らの勇気と行動力、そして決して諦めない強い意志は、私たちに大いなる励ましを与えてくれるのである。
最後になったが、この場を借りて、本書を翻訳するにあたってお世話になった方々に謝意を表したいと思う。まずは本書の翻訳出版を快諾して下さった丸山先生、柏艪舎の山本光伸代表、丁寧に原稿をチェックして下さった編集者の熊木信太郎氏に、心よりお礼申し上げる。前述のように、本書との出合いは昨年九月のアマチ収容所の取材旅行にあったが、その出合いを与えて下さった『一八二八六(仮題)』(近日発売予定)の著者であり、尊敬する友人であるリリー・ヘイビー氏にも感謝の意を表したい。そして何よりも、いつも私を励まし支えてくれた夫、息子、両親に心から礼を述べたいと思う。
不思議なご縁で満州という未知の世界へ足を踏み入れることになった。読者の皆様にとって、本書との出合いが新たな一歩となられることを切に願いつつ、筆を置きたい。

二〇一一年一一月
髙作 自子

著者プロフィール

ポール・邦昭・マルヤマ  (ポール・クニアキ・マルヤマ)  (

1941年、丸山邦雄と丸山・メアリー・万里子の三男として東京都久我山に生まれる。
サンノゼ州立大学を卒業しアメリカ合衆国空軍に入隊。1964年東京オリンピックの際、柔道選手としてアメリカを代表。空軍退役後コロラド・カレッジで教鞭を執るかたわら、現在は南コロラド日米協会会長の要職にある。

髙作 自子  (タカサク ヨリコ)  (翻訳

翻訳家。早稲田大学法学部卒。同大学院修士課程修了後、ユタ大学ロースクールにて環境法修士号取得。帰国後、環境関連の実務翻訳に従事。現在は、雑誌や単行本を中心に、主にノンフィクションの翻訳に携わっている。

追記

本書がドラマ化されます!
2018年3月放送 NHK特集ドラマ「どこにもない国」主演 内野聖陽さん
http://www.nhk.or.jp/dramatopics-blog/8000/278685.html

上記内容は本書刊行時のものです。