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TEN vol.3 河川災害から命を守る
フンガトンガ・ フンガハアパイ火山噴火 緊急特集
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2022年3月
- 書店発売日
- 2022年3月25日
- 登録日
- 2022年2月1日
- 最終更新日
- 2023年4月14日
紹介
■激甚化する河川災害、世界が注目する巨大噴火を特集する、最新の防災研究書。
世界中で脅威の度合いを増す河川災害。その被害から生命を守るために必要な方策とは?
深夜の日本各地に、想定外の津波警報を鳴り響かせたトンガ沖噴火。「未知の津波」の正体とは?
巨大噴火による「火山の冬」は、人類社会に災厄をもたらしてきた。トンガ沖噴火が地球気候に与える影響は?
第一線の研究者による最新論稿を掲載する、国際津波防災学会の機関誌が、本巻より一般販売を開始。
■フンガトンガ・フンガハアパイ火山噴火 緊急特集
今年1月15日、トンガ王国の沖合で発生した、フンガトンガ・フンガハアパイ火山の大規模噴火(いわゆる「トンガ噴火」)。「津波被害の心配はない」との当初予測にもかかわらず、想定外の津波が発生し、深夜の日本に警報を鳴り響かせた。
この津波は、未知のメカニズムによって発生した「謎の津波」であるという。その正体とは何なのか。
また、過去の巨大噴火が引き起こした気候変動「火山の冬」は、人類の歴史に、どのような災厄をもたらしてきたのか。そして、今回のトンガ沖噴火は、地球気候に影響を及ぼすものなのか。
火山学・気象学の最前線に立つ研究者による最新論文を、本巻に速報として掲載する。
執筆者:
石峯康浩(山梨県富士山科学研究所)
田家康(日本気象予報士会東京支部長)
■特集 河川災害から命を守る
いま世界各地でその脅威を増す、河川災害。人類は歴史的に、水を使えない台地では人口を維持できず、いまも日本の都市の多くは、浸水想定区域に立地している。
本特集では、令和元年、東日本台風により阿武隈川周辺に生じた被害・被災状況の分析から、水害時の防災・減災に必要となる事項が多面的に考察される。
また、かつて河川流域では、被害を防ぐ伝統的技術として、最終段階で建物を「浮かせる」ことで人々の生命を守ってきた。伝統構法の思想に基づく「浮く」構造物の研究報告も掲載。
執筆者:
小浪尊宏(国土技術研究センター 研究主幹)
畔柳昭雄(日本大学理工学部 特任教授)
増田光一(日本大学理工学部 名誉教授)
相田康洋(日本大学理工学部 助教)
居駒知樹(日本大学理工学部 教授)
戎崎俊一(理化学研究所 主任研究員)
江頭満正(理化学研究所 客員研究員)
■気候変動論など多様な観点に基づく最新論文を収録
丸山茂徳(地球生命研究所、東京工業大学 名誉教授)「地球平均気温測定の新手法の提案」、戎崎俊一(理化学研究所 主任研究員)「日本への水田稲作の伝搬:環東シナ海文化圏仮説の提案」をはじめ、現代科学の第一人者による論稿を多数収録。防災研究の発展に資することを目的に、現代社会の課題に対して多角的なアプローチを試みている。
執筆者:
清水宣明(愛知県立大学看護学部 教授)
小野寺清(理化学研究所 客員研究員 )
近藤秀将(ベトナム国立フエ科学大学 特任教授)
増田光弘(東京海洋大学学術研究院 准教授)
筒井千暁(東京海洋大学大学院)
浜田英外(防波システム研究所 代表)
丸山茂徳(地球生命研究所 東京工業大学 名誉教授)
戎崎俊一(理化学研究所 主任研究員)
目次
[巻頭言]
A Paradigm Shift in Human Security : Which Way to Turn?
山中燁子(国際津波防災学会代表)
[特集 河川災害から命を守る]
令和元年東日本台風による水害被害とその対応
小浪尊宏(一般財団法人国土技術研究センター研究主幹)
津波・河川水害に対応したFLOATING CABINの研究開発
畔柳昭雄(日本大学理工学部特任教授)
増田光一(日本大学理工学部名誉教授)
相田康洋(日本大学理工学部助教)
居駒知樹(日本大学理工学部教授)
戎崎俊一(理化学研究所主任研究員)
江頭満正(理化学研究所客員研究員)
FLOATING VEHICLEの研究開発
江頭満正(理化学研究所客員研究員)
[フンガトンガ・フンガハアパイ火山噴火 緊急特集]
フンガトンガ・フンガハアパイ火山の2022年噴火とそれに伴う津波の概要(速報)
石峯康浩(山梨県富士山科学研究所)
巨大火山噴火の社会への影響:過去の事例から
田家康(日本気象予報士会東京支部長)
[論稿]
災害弱者自身が個々の実情に合った避難対策を作成できる方法論
清水宣明(愛知県立大学看護学部教授)
津波避難行動を阻害する諸要因―克服の取組みに向けた一考察―
小野寺清(理化学研究所客員研究員 )
ホモ・サケルとしての外国人技能実習生
近藤秀将(ベトナム国立フエ科学大学特任教授)
岸壁係留船舶の津波被害予測データベースの構築について
増田光弘(東京海洋大学学術研究院准教授)
筒井千暁(東京海洋大学大学院)
津波防災対策のハード・ソフトの整合化
浜田英外(防波システム研究所代表)
地球平均気温測定の新手法の提案
丸山茂徳(地球生命研究所 東京工業大学名誉教授)
戎崎俊一(理化学研究所主任研究員)
日本への水田稲作の伝搬:環東シナ海文化圏仮説の提案
戎崎俊一(理化学研究所主任研究員)
前書きなど
我が国は、地殻の境界及びその周辺に位置し、常に、大規模な地震及びこれに伴う津波による被害を受ける危険にさらされている。2011年の大震災はその現実を改めて思い起こさせた。
多数の人命を奪った東日本大震災の津波の惨禍を2度と繰り返すことのないよう、また、人々のかけがえのない生命と財産を守るため、我々はこれに対処する英知を速やかに結集しなければならないと考える。
……津波防災は、科学分野の最新知見、ハード、ソフト両面での防災対策、教育普及にいたるまで、幅広い分野を横断し、研究者だけでなく、行政に携わる人々、企業やNPOなどの実践家、関心のある人々など多くの参加を得て、科学的かつ総合的に推進されなければならない分野であるといえる。
しかしながら、これまで、日本だけでなく、国際的にも、各専門分野の中での議論、課題の検討は行われてきたが、分野間の連携は十分とはいえなかった。
本会は、こういった現状を踏まえ、研究者、技術者、政治家、防災行政担当者、民間事業者、教育、メディア関係者等の各界識者、NPOや活動家、関心を持つ人々を広く有機的に結びつけ、ハード、ソフト両面での津波対策につなげるための議論の場を設けるとともに、国民一人ひとりが迅速かつ適切な行動をとることができるよう、津波防災に関する知見を広く社会に提供しようとするものである。
―国際津波防災学会 設立趣旨(2017年)より抜粋
版元から一言
近年、国内はもとより、世界的にも大規模な水害が多数発生し、その被害を広範囲に及ぼしています。また、22年1月にトンガ沖で発生した噴火に目を向けてみれば、その全貌や津波の発生原因、今後の地球気候への影響などが、今なお十分に明らかではありません。
国際津波防災学会『TEN vol.3』は、こうした問題に対する最新の研究報告を論稿として掲載し、専門家のみならず、地球科学・気候変動論・防災研究に関心を有する多くの方々にとっても魅力的な科学誌となっています。
上記内容は本書刊行時のものです。