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〈新生〉の風景
新装版
ロラン・バルト、コレージュ・ド・フランス講義
- 初版年月日
- 2025年4月25日
- 発売予定日
- 2025年4月17日
- 登録日
- 2025年1月21日
- 最終更新日
- 2025年3月6日
紹介
ロラン・バルト生誕から110年。バルトが最晩年にコレージュ・ド・フランスでおこなった「「新生」講義」の全容を紹介した、2002年刊行の同名書を新装刊。自身の老い、母の死、新生、小説……。バルト自身の声に寄りそいながら、従来のバルト像と「書くこと」をめぐる問いに変容をもたらした、小粒ながら意義ある仕事に、詩人/文学批評家の管啓次郎が解説を添える。
目次
イントロダクション
ⅰ 老い、新生
ⅱ コレージュ・ド・フランスのロラン・バルト vita nova, 1979-1980 冬
〈新生〉の風景
1 新生へ!
2 小説それともファンタスム シナリオ
3 マケットとしての「小説」
4 母性、幼少、詩の故郷 人生の罅、新生の開始
5 方法的生活
6 白い紙の上に手の働き
7 象徴の〈掟〉としてのエクリチュール
8 かりそめの結論
フラッシュバック
ⅰ 言語と社会
ⅱ 断絶 rupture et vita nova
ⅲ ロラン・バルトの数々の死に方
初版あとがき
何度でも新しい生を試みるために 管啓次郎
前書きなど
本書はロラン・バルトの講義をめぐる夢語りである。バルトが最晩年に講義を行ったコレージュ・ド・フランスに彼の存在はもうない。亡霊のつく講義室にひとり立って、あたかもバルトの《声》に耳を傾けるかのようにして綴られたファンテジーともいえる。〈わたし〉と〈バルト〉の想像的関係から書かれた、わたしの〈バルト〉をめぐる亡霊的なファンタスムの物語といってもよい。
版元から一言
原宏之『〈新生〉の風景』は、フランスの構造主義文藝批評家ロラン・バルトによる「新生 Vita Nova」をテーマとした講義を紹介し、注解を敷衍して読みやすい随筆とした2002年刊行の作品です。
ロラン・バルトが、フランスの最高学府コレージュ・ド・フランスで同講義を行ったのは逝去する直前の二年間、1978年から1980年のことでした。新生講義(正式講義名「小説の準備」I・II)の刊行予定がフランス本国でも確かではなかった2002年に、本書はバルトの「新生」の思考を初めて紹介することになりました。(その後、エリック・マルティ氏らの献身により2003年に講義録の原著が(スイユ社)、石井洋二郎先生による翻訳書(筑摩書房)が2006年に刊行されています。)
本書の最大の特色は、詳細な注釈を随筆本文として読みやすくていねいに敷衍している点です。講義の録音テープを一から文字にした上で翻訳したもので、緻密な読解が鋭く正確な解釈を可能にしています。
冒頭、ニーチェの晩年(小説「ニーチェの涙」で描かれるアルプス、イタリア時代)の日記や書簡を巡る、「書くことを頼りに生きる衰弱した身心」の思想から入り、これをバルトの講義全体と比較することになります。
バルトはつねに哲学に関心を抱いていたので、ライプニッツ、ルクレティウス、ハイデガー等々、時には引用元への言及もなくこの講義中も多岐に渡り援用されていますが、これらすべての引用元を著者自身の知見から確定し、原典の全体のコンテクストのなかでの意味を説明しています。
その後講義録原著が刊行されたものの、本書が指摘している上記の事ごとはフランスや英語圏の書物や論文でも指摘されていません。本書の小粒ながら貴重な読解、注釈は、バルト研究の発展に反映され貢献しうるものであり、刊行から二十余年を経た今もその価値は古びることがありません。新装版刊行に際して、詩人で文学批評家の管啓次郎さんが美しい解説を添えてくださいました。
- 旧版ISBN
-
9784925220071
上記内容は本書刊行時のものです。