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五七五の随想録 旅行記者40年コサブロウが詠む俳句漫遊紀行 木村小左郎(著/文) - ユニコ舎
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五七五の随想録 旅行記者40年コサブロウが詠む俳句漫遊紀行 (ゴシチゴノズイソウロク リョコウキシャヨンジュウネンコサブロウガヨムハイクマンユウキコウ)

文芸
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発行:ユニコ舎
四六判
縦188mm 横128mm 厚さ16mm
重さ 200g
206ページ
定価 1,600円+税
ISBN
978-4-9911368-2-5   COPY
ISBN 13
9784991136825   COPY
ISBN 10h
4-9911368-2-2   COPY
ISBN 10
4991136822   COPY
出版者記号
9911368   COPY
Cコード
C0095  
0:一般 0:単行本 95:日本文学、評論、随筆、その他
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2021年4月25日
書店発売日
登録日
2021年3月26日
最終更新日
2021年4月3日
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紹介

日本と世界の旅の記事を書き続けて四十余年。日本旅行作家協会理事のコサブロウが訪ね歩いたのは、47都道府県はもちろん世界43の国と地域に及ぶ。1998年から始めた俳句は早々のビギナーズラックで文壇の重鎮であった故・清水基吉氏に評価され、以来、23年間、俳句を詠み続けてきた。現代の松尾芭蕉、与謝蕪村ともいうべきコサブロウが自らの足跡を俳句と散文で綴る随想録。
紀行文の書き方の指南書、作句のヒントを伝える実用書、そして観光ガイドブックの要素を備え、さまざまな読み方ができるエッセイ集です。

日本と世界の旅の記事を書いて四十余年になる。
趣味で始めた俳句は今年で二十三年。
結社ではなく、同好の士による二つの句会に参加している。
旅行記事に比べ、俳句は十七音と短いから易しそうだが、
それがなかなか思うようにいかない。
俳句頭になっているときは
すっとフレーズが湧いてくるのだが、
そうでないときは、無理やりひねくり回すだけでものにならない。
それでも俳句は楽しい。
旅と俳句のエッセンスを、これからも書き続けていきたい。
(木村小左郎)

振り返ってみると、俳句を二十三年続けてこられたのはビギナーズラックで鯛を釣りあげてしまった勢いがあったからだと思う。が、それはそれとして、今では俳句をやっていて良かったとつくづく思う。年の差も肩書も関係なしに、互いに親しみを込めて俳号やファーストネームで呼び合うことができる間柄というのは、俳句ならではの世界といえるだろう。(本文抜粋)

小左郎という名前は明治生まれの父親がつけたものだが、「こさぶろう」と読む人はまずいない。「こさろう」が大半だ。実は父は当初、「小左佐衛門」とした。ところが役所の担当者に「いくらなんでも、この時代にあわない」と諭されて、小左郎になった。普通、「こさぶろう」なら「小三郎」だろうが、スタートが「小左佐衛門」だったので、小左郎になったという次第である。ちなみに明治生まれの父の名前は、晴彦。
今は昔の活版の頁をめくるたびに、そうした当時のことがふつふつとよみがえり、紐でくくる手が止まってしまった。(本文抜粋)

目次

はじめに

異国を詠む

沁みわたる柘榴ジュースやエルサレム
シベリアの川を下りてキャンプ地へ
迫りくるアフリカ象や秋の星
ラグビーの南アフリカ疾走す
サバンナの風に吹かれてビールかな
コーランの細き響きや南風
くらげなぞ砂でこすれと父の言
夏空に白き家並みエーゲ海
オタクサと呼ばれし国の濃紫陽花
滝壺の飛沫激しきナイアガラ
びしょ濡れのラオスの古都の水鉄砲
ラトビアの夏至の祭りの笑顔かな
晩秋の紳士の国の老舗パブ
芳醇な葡萄の里やオカナガン

酒と食を詠む

すっぽんの雑炊旨し京の町
春の宵ウツボ食いたる土佐の国
目も骨もありて無念のしらすかな
丸ごとのレタス炒める夕べかな
安心院てふ葡萄の丘の白ワイン
憂きことはひとまず置いて初鰹
寒月や息をひそめし大干潟
酒鮓や薩摩おごじょも呑みたかろ
どてら着て行きつ戻りつ朝の市
海のなき栃木で食す河豚料理
鮟鱇や仕切りうるさき鍋奉行
鰰や庄内の夜に酌み交わす

いで湯と名旅館を詠む

冬の夜の妖し楽しき温泉街
初戎たわし買いたる京の町
信濃路の里でいただく蓬餅
修善寺や春爛漫の頃にまた
心地よき素足で歩く北の宿
冬の朝美肌の宿の短歌膳
神鹿の声遠のくや奈良ホテル

産地を詠む

雲丹漁の磯舟浮かぶ利尻島
吊るされし塩引き鮭の面構え
床上げの一椀重き蜆汁
はじかれし甘露醤油や寒の鰤
富士を背に三浦大根引っこ抜く
もぎたての枇杷の旨さよ総の国
大柚子のごろりとおわす大雄山
メモ書きの上に置かれし青林檎
蓴菜の若芽摘みたる小舟かな

伝統を詠む

夏の夜のヤスで突きたる湖の幸
飲む酒を束の間忘る鵜飼かな
鯖鮓の味わい深き祗園かな
正月の神棚飾るしおかつお
鉄瓶の白き湯あかの余寒かな

史実を詠む

白蝶の石屋根越ゆる対馬かな
出雲なる国のロマンや神無月
鰊漁栄えし町のローカル線
少年の日のまざまざと青蜥蜴
風琴の調べ流るる春の海
蓑虫の糸一本の覚悟かな

自身を詠む

気兼ねなき一服空へ冬木立
遠雷やぴくりと右へ猫の耳
南蛮の一把残りし無人店
思うこといささかありて日記買ふ
土の香のふと懐かしく茗荷汁
無花果や母に呼ばれし勝手口
秋の夜の残らずくくる古雑誌

解説 芦原伸(作家・日本旅行作家協会専務理事)

著者プロフィール

木村小左郎  (キムラコサブロウ)  (著/文

1950年5月17日、東京都生まれ。日本旅行作家協会理事、日本旅行記者クラブ会員。日本と世界の旅の記事を書き続けて四十余年。訪ね歩いたのは、47都道府県はもちろん世界43の国と地域。旅と料理の編集プロダクション有限会社スタジオ・ペ-ジワン代表。旅の書籍や雑誌、ムック、新聞の旅行記事などを手がけている。著書は「岬・燈台・港町の旅」(金園社)、「全国岬・灯台・港町の旅―北海道から沖縄まで旅情を誘う100のコース」(金園社)、「鎌倉・横浜―三浦半島・湘南海岸」(山と渓谷社)、「ミニバンで出かけよう―改造実例集」(池田書店)、「実作・実例キャンピングカー―作る楽しみ乗る楽しみ」(池田書店)など。

上記内容は本書刊行時のものです。