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なんだか疲れる
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2022年5月29日
- 書店発売日
- 2022年5月30日
- 登録日
- 2022年5月15日
- 最終更新日
- 2022年5月19日
紹介
テーマはずばり!「なんだか疲れる」。うまく働いて、うまく休んでいるはずなのに、なんだか疲れるすべての人に。
この1年半で「妖精」になった藤村さん。
もうすぐ「懸案の62歳」になる嬉野さん。
そして、4人だけの旅に出た水曜どうでしょう。
そんな「疲れる」藤やん、うれしーからの提案は「成長のために休む」から「疲れるあなたへの処方箋」へ。
5月29日(日)、藤村Dの誕生日に『なんだか疲れる』を発売いたします!
[この本のみどころ]
・たっぷりカラー旅グラビア32ページ
・疲れない男、藤村Dの「疲れる仕事」への対処法
・疲れない男がやられまくった「妖精療養日誌」全文掲載
・嬉野雅道の長い長い書き下ろし最新エッセイ
・水曜どうでしょう最新作のウラ話特別対談 etc...
前書きなど
妖精のその先に
――あるいは、まえがき
2021年8月―
『水曜どうでしょう』ディレクターの藤村忠寿から連絡があった。
「なんと陽性でした。とりあえずこちらで10日間の缶詰ということになりますわ」
「まったく症状はないね。とりあえず今日のWOWOW出演は行けない旨、先方に連絡した。明日以降の出張もキャンセル、ほかの仕事もとりあえず延期だね」
番組出演のためのPCR検査で藤村Dが予想外の「陽性」。
直近までロケに同行していたスタッフ、そして『水曜どうでしょう』もう一人のディレクター・嬉野雅道も陽性を覚悟したが、検査の結果は幸いにも陰性であった。
「藤やんだけ、どーして陽性が出たんだろう?」
新型コロナウィルス感染症という「誰にも予想のできない禍」の真っ只中に身を置くことになり、疑問だけがつのる。しかし当然、答えは出ない。
藤村Dは北海道に戻ることもかなわず、東京で10日間の隔離生活。
仕事は延期、新規のスケジュールもまったく見通しが立たなくなった。
不安と緊張に包まれる中、療養中のホテルからは毎日日誌が届きはじめた。
「藤村でございます」
「検査結果を声に出して読んでみると」
「これが、〝結果は【妖精】でした〟と、聞こえましてね」
緊迫した空気が少し、緩む。
さっそく嬉野Dも反応する。
「ははは(^^)」
「藤村さんは良い言葉を思いついたね。『コロナ妖精』」
笑ってる場合か、という状況でも、しなやかさとしたたかさを失わない態度が、『水曜どうでしょう』という特異な番組を支えてきた。深刻に思える状況下だからこそ、批判を覚悟しながらも場を弛緩させる。全身全霊をかけて呑気でいようとする。そこにD陣の役割を見た気がした。
「明日発症するかもしれない無症状者」として過ごした10日間、藤村Dはひたすらに「自分の役割は何か」と考えたのだと思う。
医療者でもなく政治家でもない、一介のサラリーマンが、世界的な感染症の蔓延の中で、どういう行き方をすべきか。
身をもって感じた、感染リスクとはまた別の精神的リスク。
不安、恐怖、緊張―心身を「どっと疲れさせる」嫌な気分。
この状況は長期戦になる。
そのとき、テレビディレクターである自分はどんな言葉を発信するべきか。
病気を治すことはできなくても、塞ぎがちな日常にホッと息抜きできる場所はつくれないのか。
感染症を軽視したいわけでもなく、過激に社会を煽りたいわけでもなく、それでも「世間の空気をちょっとだけ読まない役割」を少しずつ果たしていくべきではないか。
本書では『藤村Dの妖精療養日誌』を、弱音もぼやきも含めて全文収録した。
「中途半端な当事者」だからこそ、考えられたことの記録である。
前作『週休3日宣言』では、状況の変化を前向きにとらえ、新しい働き方と休み方を提案した。ますます元気に走り出すつもりだった。
それから1年以上経って、わたしたちはあっさり疲れている。理由もわからない疲れである。
何もかも予想通りにいかない。快調にランニングをするどころか、一歩目で捻挫してしまった。
うまく働けているし、うまく休めている。それなのに、だ。
なんだか、疲れる。
本書は、ままならない現実にやり込められながら、それでもだましだまし日々をやり過ごしていく、ていたらくな生存戦略である。
この本について
――あるいは、あとがき
この本は、どうで荘文庫 巻の一『週休3日宣言 水曜どうでしょうハウスにこもって考えたこと』の続巻にあたります。
「賞味期限付きの言葉」として自費出版された『週休3日宣言』が、今なお多くの方に届いていることは予想外の驚きでした。
嬉しい反面、「緊急事態」の出口が今も見えないことを思わされ、なんだか、疲れます。
この間に、『水曜どうでしょう』は「最新作」が放送されました。
2018年に収録され、2年も塩漬けにされた密な海外旅は、結果的に「新鮮さ」と「懐かしさ」が同居する不思議な空気をまとって世に放たれることとなります。
この間に、藤村忠寿は「妖精」になりました。
10日間の療養中に考えたことがまるでガソリンとなったように、西へ東へ移動したかと思えば、何本ものアニメや演劇に出演し、そして時には水曜どうでしょうハウスの雪かきに追われているようです。
嬉野雅道は「懸案の62歳」となりました(詳細は前作『週休3日宣言』をお読みください)。
不安とともに帰札した2020年春から、「人間としての生活」を続けていくと思い至った夏、そして繰り返す秋、冬。先行きの見えない状況と向き合いながら、間もなく63歳を迎えます。
『週休3日宣言』と時を同じくして誕生した架空のアパート「どうで荘」も、入居者の期待や豪雪に押し潰されることなく存続し、今では現実世界に建つ「リアルどうで荘」のリノベーションも進んでいます。
細々とした自費出版本はあくまで旅の「前枠」「後枠」。
D陣の日々が「本編」です。
これからの毎日も、「旅に出ようや」を合言葉に。
本書のていたらくな生存戦略が、入浴剤のように心身を癒すことがあれば、これほど嬉しいことはありません。
いつもいつも、ほんとうに、ありがとうございます。
目的地もゴールも見えない旅ですが、これからもどうぞ末永くお付き合いください。
追伸――
この本の最後には、「あなたの持ち場から見た景色」を書き込むスペースを用意しました。
ぜひ、あなたにとっての「疲れ」を言語化してみてください。
そのページの写真をSNSに添えて教えてください。
「#なんだか疲れる」をつけて、D陣に届けてください。
お待ちしています。
上記内容は本書刊行時のものです。