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埼玉の風土がよくわかる本
やさしく学ぶ埼玉地域文化論
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2019年6月15日
- 書店発売日
- 2019年6月20日
- 登録日
- 2019年6月7日
- 最終更新日
- 2019年7月23日
紹介
地理的視点から見つめ直す埼玉の底力!
埼玉の気候・気象、農林業、自然災害と防災、水資源と産業、地域おこし・まちづくり。
目次
◆1 埼玉の気候・気象
・冬季の冷え込みを利用したエコ産業 長瀞の天然氷
・小鹿野町・秩父市・横瀬町 氷柱で観光客を呼ぶ
・国内最高気温を二度も更新 なぜ暑い 熊谷の夏
・強風域で暮らす工夫 中川流域の防風垣
・海のない内陸で生まれた 加須市志多見の河畔砂丘
・風土を反映した地名 吹上・日向・日影
〈コラム〉幻の奥武蔵スキー場
〈コラム〉中津峡の風穴
◆2 埼玉の農林業
・日本農業遺産認定 落ち葉堆肥で作る川越いも
・400年以上つづく栽培地 北限にあるみかん園
・埼玉の食文化の基礎にある 小麦とうどん
・北限の茶の産地 甘く濃厚な狭山茶
・全国的なブランド野菜 甘味あふれる深谷ネギ
・梅サミットの開催地 関東三大梅林の越生
・特色ある果物栽培 イチジク・カボス・イチゴ
・新しいブランドの開発 移り変わる養蚕業
〈コラム〉春日部の麦わら帽子
◆3 埼玉の自然災害と防災
・電柱に記された洪水時水位 カスリーン台風の記録
・洪水地域での自主防災 水害の記憶を残す水塚
・川に囲まれた川島町 連続する自然堤防上の集落
・地下神殿のような巨大水路 首都圏外郭放水路
・洪水と水不足に備える 荒川水系の4つのダム
・来たるべき震災に備える 西埼玉地震を忘れない
〈コラム〉東日本最古の間瀬ダム
◆4 埼玉の水資源と産業
・橋が織りなす町の風景 元荒川の親水空間
・後世に残したい 県内各地の貴重な湧水
・雨の少ない比企地方 ため池が支えた暮らし
・久喜菖蒲工業団地 クリーク地帯の変貌
・知られざる埼玉のお酒 清酒出荷量は全国第4位
・ユネスコ無形文化遺産 東秩父村と小川町の和紙
〈コラム〉首都圏の大動脈 武蔵水路
◆5 埼玉の地域おこし・まちづくり
・歩いて・見て・学び・味わう 川越の町
・日本遺産に認定 足袋と足袋蔵の街 行田
・彼岸花が赤く彩る 渡来人の歴史の里 巾着田
・広域的なつながりを活かす 県北の絹産業遺産群
・発掘から130年 貴重な古代遺跡 吉見の百穴
・地質・地形・文化・祭りなど 秩父の魅力を再発見
〈コラム〉今も残る伝統の団扇づくり
前書きなど
現在、大学で地域文化論を担当している。気候・地形などの自然と人間の歴史的かかわりの下で、地域の生業や文化景観が形成されてきた過程を学ぶ講義である。
しかし、全国から来ている学生に埼玉のことだけを講義していると興味関心が薄くなる。そのため埼玉というローカルなことを取り上げるにしても、世界とのかかわりや、日本の中での位置づけというグローバルな視点が欠かせない。つまりローカルとグローバルの両方を併せ持ったグローカルな視点からの地域理解が必須となる。例えば、埼玉の小麦栽培を取り上げる場合、世界の中での日本の小麦栽培、さらに全国における埼玉の小麦生産、そして地域の粉食文化にもふれてゆく。そのことで地域に対するより深い理解が得られるのである。
もう一つの視点は、過去と現在をむすび、未来へとつなぐ視点である。例えば災害である。埼玉は自然災害の少ない住みよい地域であるが、油断はできない。温暖化などによる気象の極端化が進む今、防災意識の向上のためには過去の災害を読み解くことが大切になる。
そして、これから重要なのが、地域づくり、まちづくりである。今、日本の人口は東京一極集中が顕著だが、一方で地方の人口減が深刻である。少子高齢化も進んでいる。そうした中で地域創生、地域再生など様々な事業が行なわれている。特に観光業は地域における新たな成長分野である。しかし最近の国内外の観光客は、名所旧跡巡りでない、知る喜びを体験できる創造的な学びを求めている。例えば秩父地方は昔からの観光地だが、大地の遺産を保護しながら活用する「秩父ジオパーク」という視点で見つめ直すと新たな魅力がたくさん発見できる。今後は地理的視点がどの分野でも欠かせないものとなるだろう。
この本を読んだ方が少しでも埼玉のことに興味を持ち、地域のことに目を向けていただければ幸いである。
上記内容は本書刊行時のものです。