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抽象と具体 創造行為を描き出すこと 栂正行(著/文) - 三月社
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抽象と具体 創造行為を描き出すこと

発行:三月社
四六判
214ページ
定価 2,200円+税
ISBN
9784990775544
Cコード
C0070
一般 単行本 芸術総記
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2020年5月
書店発売日
登録日
2020年3月24日
最終更新日
2020年4月14日
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紹介

抽象と具体の表現、その往還の意味を問う論考、思考のダイヤグラム。抽象と具体の表現の往還は創造行為に、芸術にいかに結実するか。この問いを原動とする著者は文学、絵画、写真、映像の作品を貫きながら思考のレールを延ばし創造行為の始発へと思いを巡らせる。カズオ・イシグロ、V・S・ナイポール、夏目漱石らをターミナルに、思考のメタ列車は今回もまた多数多様な作品の岸打つ波のごとく響く。
◉本書より
「抽象と具体という正反対の表現の営みが人の芸術とその創造にいかに寄与するか。本書ではそれらを探るため、絵画、写真、映像、文学、言語という入口を用意し、さまざまな作品をとりあげる」
「夜の帳は自然の具体を暗闇で覆い、抽象化に一役かう。深夜の思考が冴えるのにはそれなりの理由がある。画家は光のもとで絵筆をとり、小説家は日が落ちてから活動を開始する」
「モーリス・ド・ブラマンクはよく雪に覆われた街を描いた。普段、街は建物、通り、人などと具体的な構成要素から成り立っているし、それらがそのまま目に入って来るのだが、雪に覆われると一面の白、ないし灰色に景色が変わり、その単一な色彩が人を抽象的世界に誘う」

◉言及する作家など
カズオ・イシグロ、V・S・ナイポール、高野悦子、フォースター、ブロンテ、デ・キリコ、ウッディー・アレン、夏目漱石、谷崎潤一郎、ブラマンク、ウルフ、ナボコフ、カフカ、植草甚一、カンディンスキー、ブローティガン、西行、芭蕉、オースティン、エリオット、三島由紀夫、川端康成、吉田健一、安部公房、ガーランド、ウォン・カーウァイ、アガサ・クリスティー、グレアム・グリーン、ジョイス、永井荷風、井上光晴、サンド、キーツ、ポー、ヴェルレーヌ、マルクス、エンゲルス、シルヴィア・プラース、ウィトゲンシュタイン、アレハンドロ・ホドロフスキー

目次

はじめに 2


第一章 抽象と具体の相貌 言葉と都市空間のエスキス 15

抽象のことばの始まり 16
カズオ・イシグロ作品の抽象(一) 18
イシグロ作品と先行の英文学 21
都市の絵画、高層ビルの映す抽象 23
光と陰の抽象 27
ロンドンの霧の抽象 29
『忘れられた巨人』の霧と記憶の喪失 32
外装、雪、雨、音楽、服装、季節、自然の抽象 35
箱と移動、路線の抽象 43
五つの名詞 47


第二章 作家と作品の部屋─チャールズ・ディケンズの具体 51

不条理と観察 52
ディケンズ作品の衣と食 55
イギリス文学の住いと間取り 59
安堵できる家とスラムと 65
墓と阿片窟、不可視の場所 67
ロンドンを歩く、イギリス文学の具体を楽しむ 71
ディケンズの楽しみ 74

第三章 漱石の具体から抽象へ 81

漱石の具体、場所と旅 82
『吾輩は猫である』、『坊ちゃん』、『二百十日』 85
『草枕』、『虞美人草』、『それから』 89
移動と定点、具体から抽象の晩年へ 92


第四章 新宿と一九七〇年代東京 99

新宿文化 100
新宿はいつ行っても工事している 103
それぞれの新宿 104
七〇年代東京の抽象、植草甚一とカンディンスキー 107
ブローティガンの抽象化された日本 110
仮面の居留地 114

第五章 旅の具体から抽象へ 創作ノートとトラベル・ライティング
 ──三島由紀夫、エリオット、川端康成を巡って 117

『潮騒』の島の抽象と具体 118
旅とフィクション 122
西行と芭蕉への旅 124
抽象と具象の月 127
日記と作品ノートの抽象 129
三島の紀行文、川端『古都』の抽象 134
作品世界の抽象性 137
カズオ・イシグロ作品の抽象(二) 141
見慣れぬ土地という抽象化 144

第六章 抽象のアジア ウォン・カーウァイのメタフィクション 147

カーウァイ、非日常と仮面 148
『花様年華』のメタフィクション性、メタフィルム性 152
文学史のなかのメタフィクション 156


第七章 書くことの自意識 作家・詩人・哲学者の映画から 161

レールを運搬する列車 162
実在の作家の架空、架空の作家の実在 164
具体の死と抽象の生 166
配偶者の具体と抽象 169
自省的作品の抽象 171
書くことの強迫と作家の隠遁 172
代わりに隠された真実を書くという危険 175
リアリズムのルールと創造の秘密 177
作家でなくなるということ 180
作家の誕生と自己の分裂 181
芸術と人生、それぞれの意味と無意味と 184
現実の生活から本という抽象へ 188
詩と哲学の抽象と日常生活の具体 189
抽象と具体の往還、創造の持続 194

おわりに、そして、はじまりに 197
作品年表 199
地名さくいん 204

著者プロフィール

栂正行  (トガマサユキ)  (著/文

東京都立大学人文科学研究科博士課程中退。同大学人文学部助手を経て、現在中京大学教養教育研究院教授。著書に『創造と模倣』(三月社)、『引用と借景』(三月社)、『コヴェント・ガーデン』(河出書房新社)、『絨毯とトランスプランテーション』(音羽書房鶴見書店)、『土着と近代』(共編著、音羽書房鶴見書店)、『インド英語小説の世界』(共編著、鳳書房)、『刻まれた旅程』(共著、勁草書房)、訳書にアルフレッド・ダグラス『タロット』、リチャード・キャヴェンディッシュ『黒魔術』、『魔術の歴史』(いずれも河出書房新社)、マテイ・カリネスク『モダンの五つの顔』(共訳、せりか書房)、V・S・ナイポール『中心の発見』(共訳、草思社)、サイモン・シャーマ『風景と記憶』(共訳、河出書房新社)、カミール・パーリャ『性のペルソナ』(共訳、河出書房新社)など。

上記内容は本書刊行時のものです。