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けんかだま
巻次:第7巻
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2023年3月7日
- 書店発売日
- 2023年3月7日
- 登録日
- 2023年1月7日
- 最終更新日
- 2023年3月10日
紹介
紙芝居『けんかだま』は、高橋五山ならではの独自性のある表現を探求した、他に類を見ない作品です。腹をたてると相手も腹をたてる。それが「けんかだま」。この物語が不毛な争いごとやけんかやいじめを止めるヒントになれば幸いです。
あらすじは次のようなものです。子犬のポチが仲良しの黒ちゃんのところへ遊びに行く途中、道の真中に赤い小さい玉がころがってきた。ポチがよけるのに玉がよって来るので怒ったポチが玉をおさえると、赤い玉はぷっとふくれる。ポンとけると、玉はむくむくふくれて、道いっぱいになる。ポチの吠える声をきいてお母さんが来た。「あの赤い玉はね、けんかのすきな玉なのです。だからかまえばかまうほど大きくふくれて、しまつにこまってしまいます。しずかにそっとしとけばいいの」と言う。けんかのすきな赤い玉はだれも相手がなくなるとだんだん小さくなって、しまいにはきえてしまう。
この『けんかだま』の原話については、これまで指摘されたことも検討されたこともないですが、「相手にするほど大きくなる」という話の根幹はイソップ物語の「ヘラクレスとアテナ」に共通しています。ヘラクレスが道を歩いていると、リンゴのようなものが落ちていて、踏みつぶそうとすると2倍の大きさになる話です。五山はこの物語を参考にして紙芝居に仕立てたと推察されます。そして、犬を主人公に、かわいらしく、わかりやすく、楽しいはり絵で表現しました。
前書きなど
『けんかだま』の復刻を望む声が多数よせられ、それに応える形で、やっと製作できました。この作品は、昭和24年(1949)3月10日に高橋五山経営の全甲社から「保育紙芝居第1巻」として刊行されました。当初は8枚の作品でしたが、五山は11枚の紙芝居に構成し直しています。これは『ほるぷの紙芝居-黄金期名作選』(1984)に所収されました。8枚も11枚もストーリーは、ほぼ同じですが、11枚の作品には赤い玉のさしこみ(2枚)が取り入れられています。昭和24年当時は紙不足や印刷関係の悪条件(脚本は謄写版)で思うような出版ができなかったという事情もありますが、仕立て直したあたりに五山の作品に対するこだわりが見受けられます。本作品は両方の脚本を融合して、8枚の作品に再構成しました。画像は昭和24年版を用いました。大きさは一般の紙芝居と同様(B4判)にしました。
版元から一言
高橋五山は、子どもたちと一緒に作ることができる「はり絵紙芝居」を推奨しました。「貼紙画のもつ味、大まかな表現、色紙の明快な色感、これらが紙芝居画面の構成に実によく適している」と述べています。東京美術学校図案科出身でデザイナーでもあった五山は、折紙のもつ素材の美しさを紙芝居に取り入れてシンプルな色彩美と造形美を追求しました。
五山は「紙芝居は3歳から80歳まで楽しめる」という言葉を残しています。本作品では「犬の作り方」を紹介しています。これを参考にして手作り紙芝居に挑戦してみてください。初版から70年以上の月日が経っていますが、本作品には時代の潮流に淘汰されない力が秘められています。今に生きる高橋五山の紙芝居を多くの皆様に楽しんでいただければ嬉しいです。プレゼントにも最適です。ぜひ皆様でご利用ください。
上記内容は本書刊行時のものです。