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狂い咲く、フーコー  京都大学人文科学研究所 人文研アカデミー『フーコー研究』出版記念シンポジウム全記録+(プラス) 小泉 義之(著) - 読書人
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狂い咲く、フーコー  京都大学人文科学研究所 人文研アカデミー『フーコー研究』出版記念シンポジウム全記録+(プラス) (クルイサクフーコー フーコーケンキュウシュッパンキネンシンポジウムゼンキロク)

哲学・宗教
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発行:読書人
新書判
208ページ
定価 1,100円+税
ISBN
978-4-924671-48-5   COPY
ISBN 13
9784924671485   COPY
ISBN 10h
4-924671-48-7   COPY
ISBN 10
4924671487   COPY
出版者記号
924671   COPY
Cコード
C0010  
0:一般 0:単行本 10:哲学
出版社在庫情報
不明
書店発売日
登録日
2021年6月11日
最終更新日
2021年7月23日
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紹介

 2021年3月に刊行された『フーコー研究』(岩波書店)をめぐって、3月末に京都大学人文科学研究所主催で開催されたシンポジウム「狂い咲く、フーコー」の4時間半にわたる議論に、各発言者が加筆。400名にも及ぶ聴講者を集めたオンライン・シンポジウムの全記録。
 20世紀フランス現代思想の代表的知識人ミシェル・フーコー。その新たな研究が日本発ではじまっている。京都大学人文科学研究所が2017年より3年間にわたって活動した研究会の記録を基にして、『フーコー研究』が刊行された。その内容・テーマを各執筆者がダイジェストに紹介し、議論する。最新のフーコー研究への誘いの書。総勢32名の執筆者は、専門領域も異なり、それぞれの分野から、精緻なフーコー研究がなされている。フーコー研究者のみならず、初学者が紐解ける〈入門の書〉。

◆執筆者
相澤伸依・市田良彦・上尾真道・上田和彦・王寺賢太・隠岐さや香・重田園江・北垣徹・久保田泰考・小泉義之・坂本尚志・柵瀬宏平・佐藤淳二・佐藤嘉幸・柴田秀樹・武田宙也・田中祐理子・千葉雅也・立木康介・中井亜佐子・長原豊・西迫大祐・丹生谷貴志・箱田徹・廣瀬純・藤田公二郎・布施哲・堀尾耕一・前川真行・松本潤一郎・森本淳生・森元庸介

◆「まえがき」(小泉義之)より抜粋
 「フーコーは、こう語っていた。「権力から抜け出そうとする運動こそが、主体の変容や、主体と真理との関係を明らかにするのに役立つはずなのです」(『生者たちの統治』八九頁)。そして、真理のための生きざまの重要性を語ってもいた。「主体が真理に到達するために必要な変形を自身に加えるような探究、実践、経験は、これを「霊性(スピリチユアリテ)」と呼ぶことができるように思われます。このばあい「霊性」と呼ばれるのは、探求、実践および経験の総体であって、それは具体的には浄化、修練、放棄、視線の向け変え、生存の変容などさまざまなものであり得ます。それらは認識ではなく、主体にとって、主体の存在そのものにとって、真理への道を開くために支払うべき代価なのです」(『主体の解釈学』一九頁)。フーコーは、権力や勢力から抜け出す霊性でもって、真理の探究を進めることを呼びかけていたのである。
 本書は、小泉義之・立木康介編『フーコー研究』(岩波書店、二〇二一年)の刊行にあたりオンラインで開催された、二人のコメンテーターと執筆陣による合評会シンポジウムの記録である。これほどの陣容が一同に会するのは稀有なことであり、それはまさにオンラインのおかげである。しかも、その記録を新書の形で刊行するのも稀有なことである。現在は複数の意味においてまさにフーコー的であり、本書が、状況の只中で物事を考えようとする人々に届くことを願っている」

目次

まえがき――フーコー的状況の只中で物事を考えるために(小泉義之)
第一部 フーコーの全体像・読む「方法」・新自由主義
立木康介 フーコーの巨大な重力 
小泉義之 真理と虚偽、宗教と無神論、理性と非理性、文化と野蛮 
重田園江 フーコー像をどう捉えるか/フーコーを読む「方法」/フーコーと新自由主義/人的資本論/ポスト・ホモ・エコノミクスの経済学
佐藤嘉幸 新自由主義の「コスト=ベネフィット分析」/可能性を秘めた新自由主義論
中井亜佐子 ウェンディ・ブラウンがなぜフーコーを必要としたのか/あらゆる人間を「主婦化」する新自由主義
長原 豊  〈立派に自立した合理的な人間にしてあげる〉/冷戦と〈六八年〉の敗北//フーコーはどのような「マルクス主義者」になったのか
廣瀬 純 最初期から最晩年まで一貫していた「方法」 
前川真行 ウェーバー化するフーコー 
箱田 徹 フーコーが主流派経済学に注目した大きな理由 

第二部 パレーシア・生と死と文学・主体/精神分析
森元庸介 「なんでも語ること/忌憚なく語ること」から「真理を語ること」/パレーシアの核心にあるもの/「自身の理性を用いる勇気」と「真理(へ)の勇気」/主体の問題と精神分析/主体の生と死をめぐって/フーコーにとっての文学/哲学者メネデモスの逸話
柴田秀樹 例外的な本『レーモン・ルーセル』/二人の対話者が描く円環/
堀尾耕一 古典と向き合うフーコー
千葉雅也 キュニコス派の激烈な生き様 
布施 哲 哲学的、倫理的パレーシアスト/野良犬たちに向けられた統治や主権のからくりを探究する系譜学 
王寺賢太 フーコー/カント/理性による理性批判 
佐藤淳二 啓蒙への問い/フーコーの視点による啓蒙の展望/統治から逃れるために/『性の歴史』第一巻の生き詰り
田中祐理子 「cœur心」と「courage勇気」/原典の言葉へとさかのぼって読み続けるために
丹生谷貴志 なぜ西洋的な思考が生まれたのか 
市田良彦 真理――ドゥルーズとフーコーを分かつ論点 
立木康介 「精神分析の考古学」の着地点/狂気の言語と精神分析のアンチノミー/「主体の分裂」的な言説との決別
上尾真道 フーコーにおける精神分析の入口と出口/注目すべきフーコー晩年の治癒論/分裂に身をおく、分裂をやりくりする、分裂を生き抜く
柵瀬宏平 真理のステータスはどのようなものか/嘘つきのパラドックス/パレーシア的言語行為と言語遂行的言語行為との対比 
藤田公二郎 フーコーをフーコーのやり方で読む/『言葉と物』から『知の考古学』までの間で/〈動物〉でも〈物〉でもなく「主体化」へ
相澤伸依 中絶解放運動にフーコーが何を見ていたのか/「あることがないことにされる堪え難さ」への抵抗
上田和彦 無味乾燥化する「文学」とは何か/パレーシアに活路はあるのか
森本淳生 『言葉と物』以後の文学をめぐる模索の内実/一九七〇年のサド/フローベール講演
武田宙也 フーコーのイメージ論/「真にアーカイヴ的な芸術」としてのマネ
隠岐さや香 なぜフーコーは数学史における「断絶説」を否定したのか
久保田泰考 精神分析の考古学/ラカン派からのフーコー批判
北垣 徹 『監獄の誕生』における「エコノミー」の概念 
西迫大祐 『安全・領土・人口』におけるsécuritéは何を意味するのか
坂本尚志 一九六〇年代のセクシュアリティ講義/フーコーはいかにして自らの限界を打破したか
松本潤一郎〔特別寄稿〕――「言語には不在(死)が穿たれている」 
あとがき――四時間半に及ぶ「狂い咲き」の記録+(プラス)(立木康介)
附録 『フーコー研究』論文一覧 
著者紹介

上記内容は本書刊行時のものです。